3話
さっきのお菓子は何なのかとかあなたは一体誰なの?とか色々聞きたいことはあるが名前とかの身元に関して聞かれて困るのは私だしあちらが言ってこないのならそれに甘えていようと思う。
「ひとまずここでいいかな」
彼女に連れてこられた先は森だった。考え事をしていたせいでどんな道を通ったのかすら分からないし時間感覚も曖昧だ。瞬間移動でここにきたと言われても不思議と納得してしまいそうだ。
「お姉さんはあんなところで何してたの?あ、言いたくなかったら言わなくてもいいよ」
彼女については分かってることの方が少ないそんな謎の存在だが彼女になら話してみてもいい気がする。彼女の近くにいると記憶を失ってる自分がなにものかになれている気がする。
これがただの依存で、彼女と対話することで自分が求められている感覚に酔ってるなんてことは、百も承知だ。それどころか彼女がバイバイといって別れようとしてしまえば私にはどうしようもない、そんな一方的な歪んだ感情でもある。
もしかしたら私は自分の境遇を話すことで彼女との結び付きを少しでも強くしているのかもしれない。そんなこちらの感情に気づいているのか、ただ見ているだけなのかは分からないが彼女は綺麗なみどりの目でこちらをみつめている。
まあこんな利己的でしかない事情もあり私は彼女に話すことにした。自分が違う世界から来たことも記憶喪失で名前も分からないことも衛兵に詰め寄られて逃げた先が路地裏だったことも全て話した。醜いこの感情については言ってないが彼女なら気づいてそうではある。さあ彼女はこれを聞いて何を思うのか、同情してくれるのかそれとも厄介な人間に巻き込まれたと思うのか
「そっか、じゃあ一緒に旅をしよう」
果たして返ってきた彼女の反応は同情でも軽蔑でも失望でもない旅の勧誘だった
どういうことだろうか?
色々と変な部分(内容、誤字脱字等)あるかもしれません