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聖母のおしおき ~賢者の母と石~  作者: きゅうどう のえ
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■ 日常から非日常へ その1

ドキドキの初投稿です。

興味を持っていただいて有難うございます。


「ちょっ!大丈夫っ!?」


数メートル先で崩れる様に倒れた子供を目撃して反射的に駆け寄った。


私達の周囲は崩れた道路と瓦礫や土が散らばっていて、ほんの少し前の長閑な山間の風景は見る影もない。


遠くでは未だに『ドーン!ドガーン!!』という破壊音が響いている。


「ねぇ!あなたっ!」


うつ伏せに倒れている子供の脇に膝をつくと抱え上げた。

綺麗な造りの顔の眉間がピクッと動いたから意識は無いけど死んではいないはず。


たしか突然倒れたなら、軌道確保して動かさないのが良いんだろうけど

今は緊急事態で此処は安全じゃない!

在るはずの道路があと数十センチ先で崩れて無くなってるし少し離れているとはいえ、ドンドンと破壊している様な音がしてるし危険極まりない。


周囲を見回してみてもやはり安全そうなのは・・・

ボディがちょこっと凹んで土をかぶりまくってる愛車かも。


子供は思った以上に軽くてこれなら抱えて愛車まで走れそう・・・たぶん・・・

私のひ弱な体力が悲鳴を上げても頑張るしかないよね・・・


頑張れ私!やれば出来る子!


自分で自分を鼓舞すると目の前の小さな膝の下と首に腕を添わせて一気に持ち上げて瓦礫が散乱した足元に注意しつつ走った。


コケたら目も当てられない。

少しくらい速度が落ちても安全第一で走って、その勢いのまま開け放していたドアから車内に飛び込む。


久々の疾走でつらい・・・


酸素を欲して荒れる呼吸を整えながら、何気なくフロントガラスに目を向けて・・・


「ひぃっっ!!」


目に入った光景に一瞬息が止まった!


危なかった!間一髪だった!!


背後で大きな破壊音がしていたけど振り返る事無く無我夢中で走ったのは正解だった・・・


だって・・・さっき子供が倒れた場所は木っ端微塵に無くなっていたから・・・


あと少し判断が遅れていたら・・・私達も木っ端微塵に・・・と考えるてゾッとする。


私!よくやった!ファインプレーだよ!誰も誉めてくれないけど・・・



だって見つけてしまった以上、助けないという選択肢は無かったからね。

子供も自分も助かって本当に良かった・・・


いや・・・厳密に言えば、まだ助かっている訳じゃないんだけど・・・



道路は破壊されて行くも帰るも出来ない状態だし遠くでは山間部のせいでドンドカ!ドンドカ!なおも破壊している音が木霊して響渡ってる状況だし・・・


いきなり世紀末に突入したみたいな状況で意味も判らず何をすれば良いのかさっぱり判らない


流れ弾に当たらない事を祈りつつ下手に動き回らないでじっとしてるのが正解かもしれない。


車の中だからシートでゆったりと座る事も寝転ぶ事出来るし、雨風砂埃を防げるから外よりは断然快適だし


問題は食料かな・・・?


お菓子、ラーメンにレトルト食品と酒は後部座席にギュウギュウに積まれてるけど・・・

全て特産品で頼まれて買ってきたお土産だし、圧倒的に飲み物が無い。


この破壊行為は暫くしたら治まって、敵?も居なくなるとしても

私達を見つけて救助してもらうのは早くて明日、遅ければ3日位か?


それ位なら衰弱はしても死ぬことは無いハズ。


頼まれたお土産の大半は無事に送り届けられそうだ。


「&%#&#$%・・・」


うんうん唸りながらささやかに詰まってる脳を回転させてると

頬で冷たく柔らかいものがサワサワと優しく動いて意識が現実に戻ってきた。


頬の冷たく柔らかいもの・・・子供の手を包む様に掴むと、私はその手の主へと視線を下げた。


この異常事態に私は自分だけでなく、この胸に抱えた小さな命をも守りながら数日間(・・・)を乗り越えなければならないのだと自分自身の心に言い聞かせながら・・・



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