初対人戦
「昨日はよくも恥をかかせてくれたな。」そう言いながら、男がもう一人アルアの後ろから前に出てきた。
っく、下水道に入る前に感じた視線はこいつらだったのか。気づけてたはずなのに。くそっ どうする、どうする、どうする!
「悪いが、お前はクエスト失敗でここで死亡だ。この女は、お・れ・た・ち・に助けられたお礼に楽しませてくれるってさ」そう言い下品に笑う。
前に出てきた男がナイフを取り出し、さらに近づいてくる。
こいつさえいなければ、全力身体強化で一気に距離を詰め、あのナイフをとれるのに。
せめてアルアを人質にとってる男の背後にいければ。下水道は狭いし。くそ。一瞬で行ける方法・・・ あっ
「じゃあ死ねや!!!!」そう男がナイフを突き立てると瞬間
「テレポート!」転移魔法でアルアの隣に移動
すぐさま、ナイフを持つ男の手を左手で握り全力で握りつぶす。
うぎゃあああ!!!男はナイフを落とし、その場で転げ回っている。ある亜から引き離すために思いっきりけとばす。
これでアルアは安全だ。
僕を刺そうとした男は、何が起きたかわからず、キョロキョロしている。
あとはこいつだけだ!
「エアカッター!」男の右腕がボトリッと落ちる。
「俺の手があああああ!!!!」落ちた右腕を拾いながら叫ぶ。
「うるせぇえ!! さっさと消えろ!!!!!! 次見かけたら殺す!!」僕が叫ぶと二人は逃げていった。
「良かったぁ……怪我はない?」僕は緊張が溶け、その場にへたり込んでしまう。
「ごめんなさい。ごめんなさい」アルアはホッとしたのか泣き崩れる。
「僕こそ、アルアを巻き込んでしまってごめん」
完全に前方にしか注意を向けていなかった。なにが絶対に守るぞだ。守る存在から意識を外してしまってはだめじゃないか。
自分で自分の頭を叩こうとした
ぶよん!! あれ?何この柔らかい感覚。
「ヒロハルあぶない、右手右手!!」
指摘され、僕は自分の右手をみてみる。あ・・・ナイフに刺さりっぱなしのネズミだ。
「あっぶな! 自分の頭、刺すところだった…… これで死んだらアホすぎる!」
「気をつけてください」ゲホゲホッ泣きながら笑ったアルア。元気が出てよかった。
ナイフからねずみを外し、尻尾を切り取り回収する。魔石結晶はもういいや。つかれた。
「アルア怪我はない?」
「はいっ、おかげで助かりました」
「よかった。とりあえず戻ろうか。」
転移魔法で冒険者ギルドまで戻りたかったが、1ヶ月前まで王都の中で転移魔法を使えなかったことを思い出した。これはアルアに口止めしといたほうがいいな。
「アルア、転移魔法のこと秘密にしてもらっておいていい?本当は街なかで使いたくないんだ。」
「わかった。一瞬目の前から消えたからびっくりしたよ。秘密にするね」
「じゃあ冒険者ギルドにもどろうか。年のため僕にピッタリくっついててね」
「はい」アルアは返事をすると僕の服の裾を掴む。
男たちに用心しながらもその後は現れることなく、無事に冒険者ギルドにたどり着けた。
「おかえりなさい。無事で何よりです。」受付のお姉さんが出迎えてくれる。
僕らはクエスト報告よりも先に洞窟で襲われた件について報告した。
「なるほど。念の為に確認しますが、殺さずに、それぞれの腕を破壊したと」
僕らはうなずく。
「殺していたら、王国憲兵に捕まるなど面倒なことになってました。よくぞ我慢してくれました。対象者については事情聴取の上ギルド追放などを行います。ご報告感謝します。」
良かった殺さなくて。というかまだ人を殺す勇気は僕にはなかったけれど。
「では、クエストの結果報告をお願いします。」
僕らは大ネズミの尻尾を提出した。
「クエストクリアおめでとうございます。これで晴れてアイアンクラスに昇格ですね。それではこちらのアイアンプレートに手をかざしてかざしてください。ブロンズプレートは回収させて頂きます。」
僕らはアイアンプレートに手をかざし名前を言うとプレートが光る。
「ヒロハルさん、アイアンのゼロナンバー…… すごい」アルアと受付のお姉さんが驚く。
「ありがとう。でも戦いの実力がともなってないから…アルアは?」
「私は地道に頑張ります」そういって見せてくれなかった。
「ヒロハルは、明日にはシルバープレートですね」アルアがちょっとさみしげに言う。
今日のことを考えると、ランクをすぐに上げるより、もっとパーティーでの戦闘になれたほうがいいな
「お~い、ハル。こっちこいよぉぉ~!」酒場の方で誰かが僕を呼んでいる。視線を向けるとそこにはフィンさんとソフィさんがいた
僕らが席につくと、そこにはすでに2杯のエールがすでに注文されていた。
「まぁまぁ、座れ座れ!嬢ちゃんもそこに」
「は、はじめまして。アルアといいます。よろしくおねがいします。フィンレー様とソフィア様ですよね。お目にかかれて光栄です。」緊張でガチガチだ。
「こちらこそ」フィンとソフィは返事をする。
「さっき受付の方で手もと光ってただろ。ランクアップしたのか?」
「はっはい!二人でパーティー組んでクエストクリアでアイアンになりました」
「やっぱりな、なっ言ったろ」とソフィに自信たっぷりに言う
「おめでと」ソフィさんは相変わらず淡々としている。
「それでやっぱり次のプレートもゼロナンバーか?」
「はい。でも……」
僕はダンジョンであったことを二人に報告した。
「だから、ランクよりも、パーティーが生き残れる戦い方を学びたいと思っています。」
僕は少し悩んで、アルアの方を向いて彼女に告げる。
「もしよかったら、これからも一緒に僕とパーティー組んでもらえませんか?」やばい好きな女の子に告白するときってこんな気分なのかな?
「え!? 私なんかでいいんですか?足手まといになってるだけで……」
「そんな事ありませんもちろん!おねがいします。」
「こういうときの返事は『はい』」ソフィがいう。
「はい!ありがとうございます。これからよろしくおねがいします。」
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