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初クエスト

目が覚めると、もうすぐ昼になるぐらいだろうか、日がある程度高くなっている。急いで着替え冒険者ギルドに向かう。今日の目標はクエストを1つクリアすることだ。


冒険者ギルドに入ると、周囲の目線が僕に集中するのがわかった。まさか、もう正体がバレか?不安でいっぱいになった。とりあえず周りの声に聞き耳を立てる。


「あいつが昨日のフィンさんと一緒に飲んでた男」

「ブロンズのゼロナンバーらしい」

「フィンさんを殴って痛いって言わせたらしい」

「いや酔っぱらいに殴られてたらしいぞ」


とりあえず、昨日の件が噂になっているようだが、本当の正体はバレていないらしい。


「ヒロハルさんおはようございます。一晩で有名人ですね」受付のお姉さんが声をかけてくれた。


「参っちゃいますね。殴られて蹴られただけで」僕は苦笑いをする

「でもあのパンチすごかったですよ!それにアダマンタイト級のフィンレーさんとお酒を飲める人なんてそうそういませんからね。」

「そんなにすごいんですか? 」

「それはもう!アダマンタイト級の冒険者さんは10人もいませんし。」


そんなすごい人達と僕は知り合いになれたのか、ちょっと得した気分だ。


「あ!そうだヒロハルさん、今日はクエストを受けに来たんですよね」

「アルアさーんこちらに来ていただけますか?」

「あ、はい。」白い服で金髪のスレンダーな人間の女性が返事し、をこちらにやってくる。


「こちらのアルアさんはブロンズの回復職の方で、クエストに一緒にいける方を探していたんです。」


お互い会釈をする


「ちなみにどんなクエストなんですか?」

「この街の下水道にいる大ネズミを5匹以上退治するクエストになります。討伐証明にネズミの尻尾を切り取ってお持ちください。」受付のお姉さんが答える


「僕なんかでいいんですか?初めての戦いどころかクエストなんですけど……確かに一人より二人の方が心強いですが……」ヒロハル不安げに返答する


「もちろんです。あなたさえよろしければ。朝から一緒に行って頂ける人を探していたのですが、なかなか相手が見つからず。どうしたものかと。えっと……」


「ヒロハルといいます。ハルとよんでください。攻撃魔法の基礎は一通り使えます。あとは魔力で身体強化しています。」

「アルアです。よろしくおねがいします。回復魔法や支援魔法が使えます。」


堅い自己紹介を交わしつつ、パーティーを組むこととなった。


「大ネズミはよくいるモンスターで60cmほどのサイズです。前歯が鋭利なナイフだと思って気をつけてください。噛まれたら指ぐらいかんたんに切り落とされてしまいます」


僕は手を広げてサイズを確認してみる。中型犬ぐらいのサイズかぁ。と想像を膨らます


「あとモンスターは体内に魔力結晶があります。お金にもなりますし、様々な材料にも使われているので余裕があれば回収をおすすめします。それではお帰りをお待ちしています。」受付のお姉さんが元気に送り出してくれるが、こちらは不安でいっぱいだ。


下水道の鍵を預かり、僕とアルアは冒険やギルドを出て、街の外れにある入り口を目指しながら作戦について話を詰めることにした。


「自分は魔力で生身でも防御力を鎧並みに硬くできますし、戦闘もナイフと攻撃魔法が使えるのですが、アルアさんは護身術などは使えますか?」

「すみません。護身術は元より攻撃魔法も使えません。ごめんなさい。」


「いえいえ! 気にしないでください! では、アルアさんは僕より後ろにいて、自分自身を守ることだけに専念してください。やばくなったらすぐに逃げてください」僕は慌ててフォローする。

「それだとただの足手まといになっているだけじゃ……」申し訳無さそうにうつむいてしまう。


「そのかわり馬鹿みたいですが真面目なお願いがあるです。」

「お願いですか?私にできることなら何でも」


「笑わないでくださいね! お、応援してもらっていいですか?」僕は恥ずかしくなって顔を背けた。耳まで赤くなっているのがわかる。


「っぷ あはは!笑って、ごっごめんなさい!応援もちろんします♪」


「実は、知らない人とか知らない場所だと不安や緊張で動けなくなることがあるんです。昨日、それでボコボコにやられて…… 檄を飛ばされてやっと我に返りました。」


「そうだったんですね!い~っぱい応援しますから!!」両腕でガッツポーズする

「お願いします。緊張していると身体強化の効果も弱くなっちゃうので」


ギクシャクした空気が一気に和やかになった。


そんな話をしていると下水道の入り口についた。


ん?誰かに見られてる?? あたりを見回したがとくに誰もいない。


「どうかしました?」アルアが訪ねてくる。

「なにかの視線というか気配を感じたんだけど……」不安になってきた。

「きっとこれから倒すネズミの気配ですよ!不安にならないでください応援しますから!」アルアが僕を励ましてくれる。


「入り口についたせいか緊張したのかも! ありがとアルアさん」リラックスリラックス彼女になにかあったら大変だ。絶対に守るぞ。


「じゃあ、鍵を開けるね」

「はい。お願いします」


僕は預かっていた下水道の鍵を使って入り口のドアを開けた。


奥のほうが暗くてみえない。


「いま明かりをつけるから待っててね。マジックトーチ!」僕が唱えると少し前に浮遊した光の玉が現れ下水道を照らす。


「おお~すごい!実際に見るのは初めてです。私も練習しなきゃ」

「うん!その時は付き合うよ」


10メートルほど進むと、闇の中に4つの小さい赤い光。


「ヒロハルさん! あれ! 大ネズミの目かもしれません。ちょっとお待ち下さい。」そういうとアルアは呪文を詠唱しはじめた。


「慈愛に満ちた天使たち 衣の加護を我らに与えたまえ プロテクション」 光が僕らを包み込む。

「これで防御力がアップしましたので、頑張ってくださいね」アルアが応援してくれる頑張らなきゃ。


慎重に前に進むと光がその正体を暴き出す。やはり大ネズミだ。


これが本当の初戦だ。遠距離から安全にやらせてもらう。


「エアカッター!」横一文字に風の刃が飛んでいく。いき2匹の体を横切る。


おかしい。変化がない。そう思った瞬間。鮮血が飛び散り、大ネズミの体が真っ二つに割れた。


「「た……倒した?」」僕とアルアは口を揃えていった。


「ねんのため、確認してみる」僕は近くにあった石を2個拾い、それぞれの大ネズミに投げつける。あたったが反応はない。


僕はナイフを取り出し、近づき突いてみる。ツンツン 反応がない。


「アルア!!死んでる。倒せた!」僕は喜んで報告する。


初めて生き物を殺してしまった罪悪感よりも、倒せた喜びのほうが勝っていた。もしこれが、日本での出来事だったら後悔に包まれていたに違いない。


「やったね!ヒロハル。すごい」

「ありがとう。アルア」


さてあとやることは……。お互い目を合わせた。やることはわかっている。


「尻尾と魔力結晶はそれぞれ一匹ずつ担当で」アルアに伝える。

「うん。頑張ろ♪」なぜかアルアは平然としている。


僕がうわぁ死体嫌だなあっと思ってしっぽを切っていると、アルアが話しかけてきた。


「なんとか回収できたね。魔力結晶は心臓のそばにあったよ」

「え!?はや!気持ち悪くないの?」

「普段からうさぎや豚とか捌いているから全然平気だよ」

「そっそか……アルアさんが一緒に来てくれてよかった。一人だったらこの作業耐えられない」


「そんなことないよ~!ヒロハルお世辞うまいね。ではあと3匹頑張ろ~!」


アルアは元気いっぱいのようだ。


そういえば、さっきの戦い緊張しててナイフを鞘に入れっぱなしだった。急いでナイフを構えて更に奥に進む。


先程同様2匹を発見し退治、残りは後1匹。


見つけた!ちょうど1匹。


今度は、魔法ではなく、直接ナイフで倒す練習をしておこう。


「アルア、今度はナイフで倒してくるから」アルアを残し倒しにいく。


ナイフに魔力を込め姿勢を低くして後ろを向いているネズミにそっと近づく。


がしかし!気配を察知し逆に飛びかかってきた。


「うおぅぅ!!!」びっくりしてナイフを突き出すとネズミの頭部に刺さり、そのまま一撃で倒せた。


「倒せたよ!」そう言って振り返ると、アルアが男によって首元にナイフをつきつけられていた。


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私に愛を~!

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