冒険者ギルド
「今日は何でここで食事を?」シルア様の家の居候になりきっていたのを思い出して少し恥ずかしくなった。
「今後の方針とか気兼ねなくいろいろと話せればなと思って」どうやらカノンの計らいのようだ。
店員「おまたせしましたりんご酒3つでーす!」
「え・・・お酒?僕未成年だから・・・」
「ヒロハルは何歳なの?」
「16歳です」
「じゃあ2歳年下か!ヒロハルがいた日本って今はどうなってるの?平和?」
「平和ですよ!元号が令和になって…。」それを聞いて、カノンは驚く。
「そうよね。400年経てば元号も変わってるか。」
「湿っぽい話はなしにして今を生きようぜ!」クロードが励ましてくれる。
「ではトレーニング1ヶ月完了記念を祝して祝してカンパーイ」
「なにこれ!ジュースみたい おいしぃ!!」初めて飲むりんご酒の味に感動していた
「でしょでしょ~!
の村で採れる林檎は他の村では食べることすらできない秘蔵の品なのよ!」
「今後の方針だけど、二人はどうしたい?」カノンが尋ねる
「あの、この世界には冒険者が集まる冒険者ギルドみたいなのはあるんですか?」
「あるぞ、ヒロハルは冒険者になりたいのか?魔力はあるが精神面で軟弱だからすぐにでも元の世界に帰りたいのかと思っていたよ」
「クロードそんないい方しないの! ヒロハルも頑張ってるんだから」カノンはほっぺを膨らませている
「いやカノンさんいいんです。自分に自信がないのは事実だし。でもカノンさんやクロードさんが鍛えてくれたおかげで、すこしはやれる気がしますありがとうござます。」深々とヒロハルは頭を下げる
「当面は冒険者になって元の世界に戻る方法を王都で調べてみようと思います。カノンさんが王都に行ったら警戒されて調査進まないでしょうし。今の僕なら捕まった時とはまるで別人だから大丈夫かと」
「えらい!さすが私を助けただけある!」カノンはヒロハルの頭を抱きしめてナデナデしながら続ける
「私はそうね。まずはレジーとトビーのお墓参りをしたいわね。人間もドワーフも流石に400年は生きられないし。」少しだけ悲しい顔をした。
「彼らは元気に生きたよ。もしよければ俺が案内するよ」クロードはさっきまでカノンをみていたのに、このときだけは目線を外していた。
「ありがとうクロード。ヒロハルごめんなさいね。湿っぽい話をして」カノンは申し訳無さそうにいう。
「気にしないでください」僕はそれしか言えなかった。
「そのあとは、変わった世界を満喫しつつ私も元の世界に戻る方法を探すとするわ!!!あ!おねーさーん!りんご酒3つ追加ね」
店員「は~い!!!おまたせしましたぁあ」
「ではヒロハルの冒険者の道と新しい世界にかんぱーい!」
次の日の朝
「ヒロハル忘れ物ない?お弁当持った?ハンカチも持った?」カノンが立て続けに僕に質問する
「カノンさん平気です!おかあさんじゃないんだから!」
「418歳だからむしろ人間で言うなら婆さんだな」クロードが突っ込む
「コラーーー!」
「そういえば、あの最初の町って名前なんて言うんですか?」
「憎き街王都ヴィトレヤールよ!!!」名前も聞きたくないぐらいのようだ
「ヒロハル、一人で転移魔法で行ける?」
「あ!前回、街の中にしか言ってないので、転移の魔法が街なかしか行けないんです。できれば、街から離れたところに連れてってくれませんか?」前回のようなトラブルはゴメンだ
「オッケー!!!」
カノンに転移の魔法で王都ヴィトレヤールから歩くこと30分の場所に送ってもらった。
「私達も落ち着いたら合流するからね。あとこれ。2~3ヶ月分のお金と餞別の魔法のナイフ。あなたの魔力強化にも耐えられる品物と緊急連絡用のクリスタルを3つ。使うと私に救難信号を出せるわ。自体が悪化する前に使ってね。すぐにヒロハルのところにいくから。」
「困ったことがあったらまたエルフの村にくるといい」めずらしくクロードが優しい。
「何から何まで本当にありがとうございました。」
「俺たちもいくか。」
「そうね。じゃあ頑張ってね」
カノンとクロードも旅立っていった。
1ヶ月前にいきなり王都に召喚されたときはびっくりしたけど、今はもうあのときとは違う。
服装も体力も魔力も全く違うし、髪の毛の色まで銀に変わってしまった。バレることはないはずだ。
冒険者ギルドは王都の正門から入ってまっすぐいった左手にがあるって言ってたな……。あったここだ。ドキドキしながらドアを開ける
正面には受付カウンターのようなものがあり、そこに女性が座っている
「あ…あの…」勇気を出してみる。
「冒険者ギルドにようこそ。あら、初めて見る方ですね。」
「は...はい。」
「冒険者ギルドにお仕事の依頼ですか?それとも…登録ですか?」僕の格好を見て冒険者じゃないと思っているようだ。格好は村人Aだからなぁ
「あの!冒険者登録したいです。」勇気を出して答える。
「冒険者は危険な職業なので誰でもなれるわけではないんです。審査がありますが大丈夫ですか?」
「はっはい。もちろん。」
「ではこちらのギルド登録のためのブロンズプレートに手を重ねて名前をおっしゃってください。審査通過ならあなたの名前が浮き上がります。さらに次のランクまでの数値が表示されます」
「上杉陽春」つぶやくと手のひらとプレートの間から光がこぼれる。手のひらをどかしてみると、そこには自分の名前と0000の文字が刻まれている。
「まさかゼロナンバーなんて・・・」受付の人が驚いている
「あの…。冒険者になれないとか?でもプレートには名前が表示されてますし」不安でいっぱいになった。
「あ、すみません。ゼロナンバーとは次のランクまでが残り0表示のことです!あなたはすでにブロンズクラス以上の能力があるという意味です。先程の態度失礼しました。人は見かけで判断してはいけませんね。」
「珍しいことなんですか?」
「はい。まれに魔力が強い人でこういう事が起きるんです。」
「すみません。ブロンズクラス以外にはどんなクラスがあるんですか?」ゲームではよくある設定で少しワクワクする。
「はい。ランクはですね、下からブロンズ、アイアン、シルバー、ゴールド、ミスリル、プラチナ、オリハルコン、アダマンタイト、の8段階になっております。冒険者ギルドのクエストや王国からのお仕事などを達成していけば行くほどポイントが増え、昇級していくシステムです。」
「なるほど。説明ありがとうございます。」
「ちなみにクエストはあちらにある掲示板に張り出されています。目安のランクや危険度なども書かれていますよ。まずは冒険者ギルドのシステムに慣れていただくためにアイアン案件をクリアしてひとまずアイアンに昇級することをおすすめします。」
「わかりました。色々ありがとうございます。ちょっと眺めてみます。」
「はい。またわからないことがありましたらお気軽にお声がけください。」
冒険者ギルドの中を見渡してみると、たしかに掲示板に色々張り出されている、あとここはどうやら簡易的な酒場も併設されているようだ。
とりあえず登録できてよかった。ほっと胸をなでおろす。緊張したせいで喉がカラカラだ。酒場エリアの一番奥の角に座った。
「あの~お水ください。」ウェイトレスさんにお願いしてお金を払う。すぐにお水を持ってきてくれた。
飲もうと思ったその時
「お~新人冒険者さんじゃないですかぁー。登録時にまわりが驚いていたじゃん。ちょっとプレート見せてちょうだいな」酒臭いガラの悪い男達が無理やり僕の冒険者プレートを奪い取る
「なんだ、ただのブロンズじゃねーか。0000何だこりゃお前の攻撃力の数値か?」
「こんな奴見たことねー!攻撃力がスキルなしって意味かもしれねーなー」
馬鹿にして笑う。
怖くて体がすくんで動けない。この感じいじめられていた頃をどうしても思い出してしまう。
「お前ここは酒場なんだぜ、酒飲めよ。」僕が頼んだ水を頭にザバッとかける
「こぼしてんじゃねーよ!しっかり飲めよ」頭を思いっきり机にガンッと押し付けられた。
「お~よさげなナイフ持ってるじゃん貰っとくわ」いつの間にかもうひとりの男に大事なナイフを取られていた。
「か、かえし……」勇気を振り絞るがか細い声で声にならない。
「何言ってるか聞こえねーよ」今度は思いっきり蹴られ吹き飛んだ。その拍子に別の男性客にぶつかった
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