苫小牧
短めです。
列車は早くも札幌の街を抜けた。
車窓から入る光は時々通る普通列車だけになった。
日頃の疲れが身体にくる。横になって上を見つめる。なかなかこの狭い空間は落ち着くものだと思った。
そういえば隣の寝台には女子大生らしきグループがいた。話を盗み聞きするに東京の女子大生で雪まつりを見に来た帰りらしい。充実した北海道旅行を送ったらしい。しかし、そのキラキラした話は今の僕には刺さる話だった。直ぐに聞くのをやめた。
寝ようかと思ったが、列車の音でなかなか眠れない。通学用の鞄を適当に漁ってたら夏目漱石の短編集が出てきた。確か、大学前の古本屋で100円で買ったものだ。夏目漱石といえば『こころ』を思い出す。高校の頃、現代文の授業で話に共感したのを覚えている。それ故に今読むべき内容ではないと思った。
列車に乗って30分が過ぎた頃、列車は南千歳の駅に着いたらしい。チラッとホームを見たが誰もいなかった。食堂車にでも行こうかと思ったが駅弁を買っていたのを思い出した。買った時はほんのり温かったが今は冷めていた。駅弁を食べていると苫小牧に着いた。何人かホームに立っていたがこの車両には乗ってこなかった。
腹が膨れた僕は暖房も幸いし眠気を感じはじめた。横になったら寝れそうである。
僕は寝てしまった。