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青空の底

作者: 海之本

青い空を眺めたまま

体を投げ出せば

まるで海の底かと錯覚し

これまでの過去を

鮮やかに色づける


私がもし

空の魚なら

歌う声は

泡になって

空を漂い

慰めが

心底必要だった

あの日の自分へ

待ちぼうけてもしょうがないと

分からせてやりたい


雲の流れをぼんやり見つめて

あれが私の泡なのだと

気づいても

届かない空に

手を伸ばしては

悲しくなるだけだった


だけど

掴みたかった

両手いっぱいに

抱きしめて

頰ずりしながら

思いの丈を

腹の底から

叫びたかった


無駄だと分かっているのに

どうしても

よぎる一瞬を

待ってしまう


私はきっと

我が儘なウツボ

苦しめるだけの

厄介者に成り下がり

きっと小魚たちは

雲の割れ目に

隠れてしまう


澱んだ黒い雲が満ちると

言いしれようのない

やるせなさで

手当たりしだい

草花を千切っては

蹴散らしたくなる


重たい雲の影に

窒息しながら

もがくほどに

四方八方

折り曲がった手足

ぶら下げてる


青空の底で

思い描くものは

風に吹かれ

雨雲を

思い出すことすら

面倒で


私がもし

空の波なら

地の果てまで

揺れ打ちながら

温もりを

心底求めていた

あの時の自分へ

待ちぼうけてもここにはないと

教えてやりたい


掴めぬ雲でも

願えば

降り立つことができると

信じていた

そんな自分を

笑うことは

まだ出来ないから


青空の底

ゆったりと

漂いながら

風の波に揺れる私は

イソギンチャク

空を見上げながら

思い出を飛ばしている


遠い遠い日のことに

早く速くなるように




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