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蝕まれゆく世界のディストピア  作者: 剣龍
第一章 紅の空間
4/19

Ⅲ ~Encounter? Reunion?~

   ◇


「――つまり、お前のいた世界ではお前が属する魔人族を含めていくつかの種族が生活していた、と」


「そうよ」


相変わらず空は不気味に赤いままだが、それでも時間で言えば既に夜だ。


とりあえず境内の一角で焚火を囲み、缶詰を摘まみながらシャーリーと青年はそれまでの互いの生活していた場所そのものの説明をした。


要約すると、シャーリーの所では明確な神が存在し、その加護の元で互いの種族が共存して暮らしていたという。


そしてその生活はおおよそ青年達とはかけ離れており、何より魔力と呼ばれる力を行使し魔法と呼ばれる現象で物事を解決する事も少なくはなかった。


現にこの焚火も集めてきた枝にシャーリーが人差し指を軽く振って発生させているので信じざるをえない。


と、ここまで掻い摘んで説明してもらったが、その時点で青年達の常識を大きく上回っていた。


そういうのは空想の中のファンタジーでしかなかった。


「あたしの方もあなた達の生活を全く知らないのよね」


逆に青年達にとって当たり前の事をシャーリーは全く知らなかった。


試しにスマホを渡してみると……。


「え?このボタンを押すの?あ、何か映った!」


何と言うか、テレビを初めて見た昭和の人の様な反応をしていた。


勿論コンクリートジャングルどころか、この街の様な造り自体も見た事がないという。


そして出た結論は。


「お互い、あまりに互いの事を知らなさすぎる」


「もしかしたら世界そのものが違うのかもしれないわね。そもそもあたしの暮らしていた世界では人間は存在しないし」


と、ここにきてシャーリーは爆弾発言を投下してくる。


「存在しない、だと?」


「世界全土を巻き込んだ大きな戦いで絶滅したって聞いてるわ。その時はあたしもまだ生まれてないし、よくは知らないけど」


「……世界が違う、なるほどその通りだ」


その話を青年達が暮らすこの現代社会に当てはめると、青年達の存在そのものが怪しいものとなってしまう。


世界が違う、つまりシャーリーは異世界から来たと言う事にした方がまだ合点がいく。


「さっきから思ってたけど、あまり驚かないのね」


「今、現時点でこんなわけのわからない事態になってるんだ。今更ちょっとやそっとでは驚かん」


「……そうね、その方が話が早くて助かるわ。――あら?」


同じ様に焚火の前にいるアリアを見ると、うつらうつらと頭を揺らしていた。


ちなみに汀やアリアは既にわからない事が多過ぎて話についていけず、聞く事を放棄して食後のお茶を傾けていたのだが、ここにきてようやく安心したのか一気に疲れが出た様だ。


「汀、アリア連れてもう休むね。……えっと」


「大丈夫よ。ここには化物は来ないから」


「そっか、じゃあおやすみなさい」


シャーリーの言葉に安堵した渚はアリアの手を引いて境内の片隅にある詰所に連れていく。


「……ねぇ」


その背を温かく見守りながらシャーリーが青年に聞く。


「?」


「初めて出会った時から気になってたんだけど…………アリアって」


「……ああ」


微笑みから一転、複雑な表情に変わるシャーリーに青年はマグカップを傾けながら平然と返す。


シャーリーと出会って間もない青年も、シャーリーがそこまで鈍くない――寧ろ聡い方である事はわかっている。


となればアリアを見て気付くのは至極当然である。


「察しの通り、あいつは目が見えないんだ」


「……ふ~ん」


割と素っ気ない返事だったが別にどうでもいいわけではない。


一応聞きはしても、聞いたところで自分にはどうしようもできない。


シャーリーにとってはたったそれだけの事なのだ。


「俺からも聞くが、化物が来ないとはどういう事だ?」


「このジンジャ(?)と言う場所全体を神聖なる魔力が覆ってるわ。これなら不死者くらいは近付けないわ」


「不死者、か」


「一応聞くけど、今までああいうのが現れた事は?」


「ない。魔力や魔法同様、空想の産物だ」


「とすると、今いるこの世界(?)は場所はあなた達の世界、空気はあたしのいた世界かしら?」


「どういう事だ?」


何か仮説に行き着いたシャーリーにとにかく情報が欲しい青年が問う。


するとシャーリーは苦しみすら感じるほどに表情を歪めて話し始める。


「あたしの世界では死を迎えた者は全て決められた手順に則って埋葬しないといけないの。じゃないと肉体がまだ残っている=まだ死んでいないと魂が勘違いして現世に留まり続けるからと言われてるわ」


シャーリーの説明に青年は相槌を打つ。


現代社会においても、まぁ似た様なものだ。


「でもね、モンスターに襲われたり誰かに殺されたり、そうやって人知れず非業の死を遂げた魂は当然埋葬される事なく、恨みや憎しみと言った負の感情が大気中の魔力と結合して骸を取り込み、新たなモンスターとなるの」


それも多少違えど似た様なものだ。


非業の死を遂げた者は悪霊となって現世を彷徨うとはよく言われている。


尤も、現実主義者の青年は全く信じていないが。


「……つまり、空が赤くなった時に現れたゾンビ――不死者の正体はお前の世界に存在するモンスターだと」


御明察、とシャーリーは指を立てる。


だが表情は曇ったままだ。


「そして今、この世界の大気中にはあたしがいた世界と同じ様に魔力を含んでいる」


「不死者に襲われ非業の死を遂げた人間が更に不死者となる?」


そこから導き出された最悪の答えに青年は本気で頭が痛くなった。


似た様な展開は創作に限って確かに聞いた事はあるが、現実に起こるのとは重要性は変わる。


「とりあえずあの不死者達とそれが更に増えるという事はわかった。あと1つだけ、聞きたい事がある」


「なにかしら?」


「最初にお前は自分をここに誘導したと言った、実際に自分も誰かに見られてる様な違和感も感じたし時に囁きも聞こえた。今となってはお前が人間とはまた違う人種である事と、魔法を使ったと解釈した」


そう、これこそが世界の異変や不死者達以前にシャーリー自身でまず最初に気になった事だ。


「だがそれなりに手間暇を掛けてわざわざ自分を呼び出した目的は?汀達が捜してたから?情報交換したかったから?……どちらも違うよな?」


射抜く様に見据える青年の視線にシャーリーは一つ深いため息を吐いた。


「やっぱり、そこに気付いちゃうのね。いや、だからこそ……か」


「?」


「あーはいはい、わかったから、そんなに睨まないでよ」


「別に睨んでない。と言うかこの顔は生まれつきだ」


「え、そうなの?」


言われてみればさっき警戒してた時はもっと険しかったなぁ、と少し逸れた話をシャーリーはコホンと咳払いして戻す。


「言っておくけど、あの子達があなたを捜していたのも少しでも情報が欲しかったのも事実よ。あの子達だけだと要領を得なくて」


2人はまだ9歳、ただでさえパニック状態なのに正確に物事を教えろという方が無理な話である。


「あなたを見つけたのは、大きな建物の前であなたが行動不能にした不死者に黙祷してたところから」


小学校での一件から……大分最初の方からという事になる。


「あんな短い剣で全く臆する事無く不死者を行動不能にした戦い方、あれは文献でしか見た事がない『武』と言うものだと」


「基本素手だからな、武器を使っての立ち回りはその応用に過ぎない。お前の世界にはないのか?」


物珍しそうに語るシャーリーだったが、青年の問いに「あー……」と微妙な表情を浮かべる。


「あたしの世界ではさっきも言った通り人間は絶滅してるのよ。『武』も人間独自の文化だったから一緒にね」


そういえば確かにそう言っていた。


強いて言えばシャーリーの口振りから、こと戦闘に関しては魔法主体の戦法が主だったのだろう。


「だからこそこの状況を打破するのに不可欠だと判断した。後は……辛うじて聞き取った人柄からあなたと判断したからついでにあの子達の元へ連れて行く為にね。最終的にはちょっと爆破する事になったけど」


「ちょっと、な」


出来過ぎだとは思ったがやはり神社前のあの爆発はシャーリーの援護だったらしい。


あれでちょっとなら本気とは?


頭の片隅でそう思ったが敢えて触れる必要もないので口にはしなかった。


「そして、もう一つあるけど、それはまた明日の朝でいいかしら?」


「構わないが、何かあるのか?」


「わからない。ただ、最悪ここの魔除けの効果がなくなるかもしれない。そうしたら次はまたいつ休めるかわからないでしょ?」


これには青年もただただ肯定する。


元々鍛えてる青年と魔人族故に身体能力が高いらしい(本人談)シャーリーはともかく、汀とアリアはまだ状況の整理が付いていない。


体力面でも劣っている上にそんな状態で先の見えないデスサバイバルは酷だ。


「そうと決まればとりあえずお前も休んできたらどうだ?」


「ううん、これでいい」


詰所を指差すもシャーリーはさっき羽織っていたローブをまた頭からすっぽり被って丸くなる。


今は冬である、赤い空でもそれは変わらず気温は低い。


外で休むのならどの道火を絶やすわけにはいかないので青年もシャーリーに付き合う形で火の番をしながらここで一夜を過ごす事となった。


   ◇


「ん……しょ、相変わらず建てつけが悪いわね」


翌朝(相変わらず空は変わらないが)、シャーリーは青年達を連れて神社の奥、おそらく物置か何かであろう少し大きめの小屋の戸に手を掛けていた。


青年は少し下がって改めて小屋を見上げると、屋根が大きく壊れているのがわかる。


よほどの衝撃だったのか、小屋全体が僅かに歪んでいる。


「?」


ふと汀を見ると、かなり強張った表情でシャーリーの背を見つめていた。


「この中にあるものを見たのか?」


「うん、でも………………いや、見た方が早いかも」


言葉を濁して汀は視線を逸らした。


それほどまでに心の整理がつかないのだろうか?


「ふぅ、やっぱり動かさずに開けっ放しにしといた方が良かったかしら」


どうにか半分まで開けてシャーリーは中に入る様に促しながら入っていく。


続けて入ると中は少し崩れているも、何より目を引くのがその中央に不釣り合いな物が鎮座していた。


「なんだあれ」


まるで棺の様な金属の塊、なんとも幾何学的な模様のある鉛色の棺の様な物だった。


「どこからか……と言っても空から落ちてきたのか」


棺は床にめり込み、そのちょうど上の天井に当たる部分から屋根は見事に大穴が空いている事からそう推測できる。


「もっと近くで見てみて」


更に促され青年はゆっくり近付き観察してみる。


どうやら上部はガラスの様になっていて中が見える様になっていて、本当に棺の様だ。


だがその中身を見た瞬間、青年は強い衝撃を受けた。


「っ!?…………………………………………ありえない」


辛うじてそれだけを口にし、数歩後退りながら頭を横に振る。


その様子に汀も「やっぱり」とため息を吐き、前に汀の様子も見ているシャーリーも同様の反応を見せる。


そしてその衝撃は昨日シャーリーと初めて出会った時と同じものだった。


まるでRPGゲームのキャラが着てそうな白いローブを着たその女性は――どちらかと言えば少女……いやそんなのはどっちでもいい。


白い肌に銀色の長い髪、それにお世辞抜きに美少女と取れる整った顔立ち。


それはよく知った顔だったが、問題はそれじゃない。


そう、青年や汀達が知るこの少女がここで眠っているわけがないのだ。


「……ショックを受けているところ悪いけど」


さっきから黙って様子を見ていてくれたわけだが、敢えて何事もない様に話を進めているのがそれとなくわかる。


「この棺からね、清浄な魔力が溢れてるのよ」


「つまり、ここに不死者共が来ないのはそのおかげだと?」


「恐らくは。とりあえず眠っている娘はさておき、この物体よ。見覚えは?」


「ない」


「そう、ないか……」


「お前も知らないのか?」


「あたしは、ね。ただ、あたしの世界には駆動する鋼の身体を持つ種族の機人族(アンドノイド)というのがいるけど、もしかしたらそこの技術の産物かとも思ってた」


肩を竦めてお手上げのシャーリーと並んで改めて棺を覗き見る。


そこには変わらず見覚えのある少女が眠り続けている。


「…………」


「あ、あの……」


流石に空気が重くなるとはわかっていても耐えられないのか、シャーリーは何か言おうとする。


だが青年がふと棺の隅の方に手を置いた次の瞬間、突然棺が駆動音を響かせ、刻まれた模様が光り始めた。


「!?」


「た、ただ手を置いただけよね!?」


「それ以外に何かしたか?」


青年もシャーリーも突然の事に数歩下がり、これから起ころうとしている事を見守る事しかできなかった。


だがそれ以上これといった事は起こらず、やがて棺の蓋が開き駆動音と光が収束していく。


「…………ん」


少し間を置いて中で眠っていた少女がゆっくりと上体を起こした。


「ここは……??」


まだ少し頭が覚めてないのか、ボーっとした様子で辺りを見回すが……。


「!」


青年の顔を見て突然弾かれた様に息を呑んだ。


「自分の顔に何かついているか?」


改めて顔を合わせると胸が疼くが、努めてそれを表に出さずに問う。


「あ、いえ……」


だが曖昧にはぐらかし、少女は棺から出て床に立とうとするも、そのまま倒れそうになる。


「っと」


だがその前に前に出て両肩を掴む。


「あ、ありがとうございます」


「いや……」


どれだけ眠っていたのかわからないが、多分そのせいだろう。


「ところで、何故あんなのの中に眠っていたんだ?」


同じ疑問を抱いていたシャーリーも横で頷いている。


だが返ってきた答えは予想の斜め上を行くものだった。


「何故……?何故……私は……ここにいるのでしょう?」


『………………はい?』


青年達は声を揃えて思わず聞き返してしまうのだった。


   ◇


「――どうだ?」


「大丈夫。やっぱり中を調べてもさっぱりわからないけど、とりあえず魔除け効果はまだ残ってる」


起動後の棺を改めてシャーリーが調べるも予想通りの結果、最も懸念していた問題はなさそうだ。


「……さて」


棺に頭から入って調べていたシャーリーは体を起こして少女に向き直る。


「まさか記憶喪失なんてね……」


シャーリーが棺を調べている間、青年は少女から話を聞いていた。


だが少女は殆どの記憶を失っている様で、自身の名前と必要最低限の事しか覚えていなかった。


眠っていたせいか、それとも……。


「うーん……」


再度大穴の開いた天井を見上げる。


何処から飛んできたかは定かではないが小屋全体が歪むほどの衝撃だ、特に怪我をしている様には見えなくても少なからず影響はあるのかもしれない。


「アイリス、と言ったわね。僅かに魔力を感じるからあたしの世界の住人だとは思うけど、種族は?」


シャーリーの問いに少女―アイリス・ローグ・アルカディアは首を横に振る。


「それも覚えてないか。多分精霊族(エルフ)天使族(エンゼル)だとは思うけど」


「そうなのか?」


「あたしの世界ではもう6つの種族しかいないんだけど、この棺を作ったと思われる機人族はそもそも鋼の体が必要不可欠だし」


棺をポンポンと叩きながらシャーリーが説明していると、僅かにアイリスの方が震えた。


ただアイリス自身は無意識だったらしく特にこれといった発言もなかった。


龍人族(ドラグノイド)獣人族(ビーストノイド)も見た目でわかるし、魔人族にしては魔力の質が光寄りだし」


「ほぅ」


軽く説明を受けている青年の隣でアイリスはまた少しふらふらしている。


「まだ少し落ち着かない様だな。戻るか」


「そうね」


アイリスに肩を貸しながら青年は小屋を出、シャーリーもそれに続く。


「……」


しかしその背を汀は複雑な表情で見つめていた。


「汀?行かなくていいの?」


「あ、うん。行こう」


アリアに手を引かれて我に返り、汀もその後に続いた。


   ◇


「さて、これからどうするか」


昨晩同様、再び焚火を囲みながら今度は今後の行動方針を決める事となった。


通常なら詰所などには暖房などの暖を取るが、電気やガスは止まっているのでどのみち意味がない。


こうやって外で焚火に当たっていた方がまだマシなのだ。


「まずはこの世界――とりあえず(あか)の空間と呼称するわね。その脱出方法の模索だけど、この街から出るにはどうすればいいのかしら?」


「中心街の南にショッピングモールがある。その脇を抜ければそのまま街の外まで続いている」


「しょっぴんぐもーる?」


「娯楽施設も併設されている規模の大きい市場、と言えばわかるか?」


「いまひとつピンとは来ないけどとりあえずは」


「もうひとつはここから中心街に行かず東に行った先に今は使われていないトンネルがある。そこから外に出る事はできる筈」


「その2つだけ?」


「あくまで道だとそれだけだ。この街は山に囲まれているから強引に突破しようと思えば行けない事はないが……」


「得策ではないわね。こちらは子供2人にまだ本調子ではない娘が1人いるわけだし」


「それに素直に出してもらえるかもわかりません」


と、ここで黙って話を聞いていたアイリスも意見を述べ始める。


「そう、そもそもこの世界が何の目的で発現されたのかがわからないけど、こういう場合大抵は出れない様になっている筈よ」


「ではまずはこの後、トンネルの方に行ってみるか?」


「そうね。中心街の方は不死者が増殖を続けていそうだし……」


とりあえず次の行動を決めたところで、シャーリーは「ところで」と改めて青年に向き直る。


「あなたは……これから協力してくれるかしら?」


言われてそういえばと青年は思い返す。


汀とアリアの事があるとはいえシャーリーから接触してきて、そのままなし崩しで一緒にいるが今後どうするかは明確にしていなかった。


「汀やアリアが世話になった恩もある、それに俺如きの力がどこまで役に立つかわからないが状況的に協力するのが最良だろう」


不死者相手にそこそこ立ち回っていたとは思うが、魔法を使えるシャーリーの方が単純な戦力としては大きいだろう。


まぁそこは異世界育ちであるが故の考えがあるとは思うが。


「……そう、よかった」


青年の返事にシャーリーは安堵したが、どこか表情は晴れない様な気がする。


「では準備を済ませたら早速向かおう。汀とアリアはその娘と留守番だ」


「うん」


「その前に聞きたいんだけど……」


荷物を手繰り寄せて改めて手持ちの武器の確認を行おうとした青年にシャーリーが呼び掛ける。


「協力する以上、名前聞いていいかしら?」


「………………あ」


失念していた。


てっきり汀やアリアから聞いていると思ったが、どうやら2人とも普段の呼び名である「兄さん」としか言っていなかった様だ。


苦笑交じりで咳払いを一つ。


「名乗りが遅れてすまなかった。自分、賢木(すぐるぎ)零夜(れいや)だ」


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