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Corona  作者: hitori
4/4

町の夕暮れ  人影が消えた

このあたりで、やっと奇妙な敵が見えてきます。

町の人々の描写はあえて書いていません。残酷すぎることになりそうだから。

 モスルーシの町の北側に、仮面をつけた一団が立っていた。

 デーモン・クイーンとマッスル・キングが一団の前に立ち、モリノミ仮面たちが後ろに並んでいた。

 デーモン・クイーンは右手の杖を前に突き出した。

 「ハプン・フリーズ」

 大きな声でその言葉を唱えながら、町に入って行った。


 しばらくして、デーモン・クイーンと一団が町の南から、コロポルの洞窟へと向かった。町の人々が後ろに続いて歩いていた。



 陽が傾き始めた頃、アルアたちとエル婆さんは、モスルーシの町に戻って来た。ショードウさんは、ロバに荷車をひかせていた。

 町に入るとエル婆さんがゆっくりと辺りを見回した。

 「やけに静かだね」

 そう言われて、アルアたちも周りを見たが、人影もなく静かだった。

 「エル婆さん、今日はありがとう。またね」

 アルアはエル婆さんにお礼を言って、家に向かった。

 「楽しかった。またお菓子買いぬ行くよ」

 ロールは、エル婆さんとショードウに手を振りながら、アルアのあとを追いかけた。

 サマンサも「ショードウさん、あとよろしくね」と言うと帰っていった。

 「みんな、またね」

 エル婆さんは、ショードウと店に向かった。店に着くと、エル婆さんは荷物を中に運び、ショードウは荷車をロバから外した。そこにアルアが走って来た。

 「ショードウさん、変なんだ。家に誰もいないんだ」

 「どこかに出かけたんじゃないのか」

 アルアは首を横にふった。

 「夕方から出かけるなんて聞いてないよ」

 店から出てきたエル婆さんが「何かあったのかしら。町に戻ってから誰にも会ってないわ」と言い終えると、サマンサとロールも走ってきた。

 「どうしたんだい」

 エル婆さんがロールとサマンサの顔を見つめた。

 「誰もいないんだ」

 「私のとこもいない。隣りの家も覗いたけど、いなかった」

 ショードウが荷物をエル婆さんに渡しながら、「じゃ、いるのは昼間いなかった俺たちだけか」と不思議そうに言った。

 荷物を受け取ったエル婆さんは店の中に入りながら、

 「とにかく中にお入りなさい。今日はここで一緒にいましょ」とアルアたちを誘った。

 ショードウは子どもたちに荷物を一つずつ渡して、目で中に入るように誘い、まだ残っていた荷物を店の中に置いた。

 「わしは、荷物を下ろしたらこいつを裏に連れて行く」

 「ああ、お願いね」

 


 エル婆さんに案内された部屋は、暖炉のある広いもので、町の南側が見える窓があった。

 「エル婆さんの家の中なんて初めてだ。広いんだね」

 ロールはソファーを見つけて座った。アルアもその横に並んだ。サマンサは暖炉の上にある絵を見ていた。

 「シチューの残りがあるから、温めてみんなで食べましょ」

 エル婆さんはランプに火を着けた。

 「この絵、誰?」

 「モルル・シャルル1世。今の国王のおじいさんよ」

 サマンサだけでなく、アルアも知らない顔の絵だった。

 「なんで飾っているの」

 「昔はたくさんの家で飾られていたけど、最近はしなくなったみたいね」

 そこにショードウが入って来た。

 「ありがとう。お疲れ様。助かったわ。ショードウさんもシチュー食べて、今夜はここにみんなでいましょ」

 「そうするよ」

 ショードウは暖炉の上の絵を見ながら、「平和ボケってやつさ。国がたいへんな時のこと忘れるんだ。だから、ただのじいさんの絵だと思ってんだよ」。そう言いながら、サマンサにエル婆さんについて行くように、背中を押した。

 「じいさんねぇ。シチューを温めてくるわ」

 エル婆さんは、笑いをこらえた。

 「そういやぁ、コロポルの方にカラスがいっぱいだぞ。今まであそこにカラスの寝座なんてあったか」

 ショードウはみんなの顔を見回した。

 「カラス?」

 「あまり見ないわね」

 エル婆さんはサマンサと部屋を出た。





かなり不定期な投稿になりそうですがお付き合いください。

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