第20話「出立の朝」
眠い眠い。ふぁあああ。もうちょっと寝ていたかったねえ。今朝もユキに起こされてしまった。転生しても舐められてしまうとは。
「ちゃんと起きないから舐めちゃうんだよ」
いやいや、その理屈はやっぱりおかしい。どうして笑顔を向けてくるんだ。舐めたかった、とか?
「ユキ様が私よりも早く起きていたことには驚きでした。きちんと睡眠の方は摂られましたか」
「うん。すっごく目覚めがよかったの!」
「……そのようですね。ユキ様はお顔に表れますから」
「え!? わたしってそんなに顔に出やすい」
少なくともポーカーフェイスは苦手だな、ユキは。
「ミア様、ユキ様。ご準備の方は万端でしょうか」
「ボクは準備万端だ。もしものときは作ればいい」
「わたしも大丈夫だよ」
「いいお返事です。王様にご挨拶を済まし次第、すぐに出立いたしましょう」
王室に入るのなんて久々だなあ。普段は入る用なんかないもん。普通の人はガチガチに緊張するらしいが、ボクはそうでもない。言っちゃえば家主だぜ? 別に構える必要もないもん。
「王様。リンでございます。ミア様とユキ様をお連れいたしました」
王室の扉の横には近衛騎士のサイさんとキョウが立っている。立派な白い鎧は父さんを思い出すねえ。
「王様に粗相のないように」
「アンタこそしっかりやれな」
キョウは父さんの部下だった男だ。父さんが死んだあと、ボクとユキを必要以上に気にかけている。その気持ちには感謝しているんだけど、ちょいとウザったくなることもある。
「ミア、ユキ、そしてリン。非常に申し訳ない! 3人に辛い選択をさせてしまった。王として情けなく思う」
「ご自分をお責めになさらないでください。王様はご自分でできることを。私たちも自分たちでできることをするまでです」
「折角の休暇を台無しにしてしまった。重ねて謝罪しよう」
「いえ。宮殿から離れる時点で私にとっては休暇も同然でございます。お気になさらず」
リンさんは言うことが違うねえ。普通なら駄々をごねるところだってのに。
「わたしもお姉ちゃんも気にしていません。みんなの平和のために頑張ります」
「まあ、適当に頑張ってくる。その代わり、ちゃんと生きててくれな。王様」
「無論だとも」
民なくして王はない。王なくして民はない。持ちつ持たれつってやつだ。
よし! それじゃあ、レイダスの闇を滅ぼしに行くとしますかねえ!
「……死ぬなよ……ミア嬢」
「……けっ。アンタもな……キョウ」
なーにボクだけを心配してるんだ。ユキにもリンさんにも気を配れっての。行ってくる!




