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始まり その2

彼女の名前は『須田菜花すだなのは』というらしい。

それはクラスが何処かを示す紙で同じクラスのところを見てたら教えてくれた。

「偶然だね!三崎くんと同じクラスでよかったぁ!」

心から嬉しそうに反応してくれる彼女、尊い。

勢いに飲まれた告白だったが、俺は彼女に本気で好きになったようだ。

「俺もだよ、話せる相手がいて良かった。」

そんな他愛もない話をしながら決められた教室へ向かう二人。

その途中、俺の背後に凄まじい悪寒が走った。

背後から聞こえる。「世弥せいやくぅぅぅぅぅぅぅぅぅんん!」という声と共に。

「わゎっ!?」と可愛らしい声とともに後ろを振り向く菜花。対照的に俺は振り返らず、前を向きながら菜花には見せられないような顔をしている。

すぐ後ろに人の気配を感じた瞬間、俺は肘を上げ顔面にぶち当てた。これなら体が細い俺でも、ダメージは入るはずだ。

案の定後ろの奴はうずくまっているのが分かる。

「痛ってー…相変わらず容赦ねぇなぁ…。」

そしてようやく俺は後ろを振り向いた。…案の定いつもの奴だ。

孝俊たかとし。いい加減その無理やり出した高い声で俺の名を呼ぶのをやめろ。」

「中学の頃ならあんなに可愛い顔をしていたのに…って痛い痛い!!チョップやめて!」

「たしかに俺は中3までは童顔だったが、今関係ないだろうが!」

コイツとはつくづく縁があるな。竹田孝俊。俺の幼馴染だ。コイツがクラスの中心にいたおかげで暗くあまり喋らない俺が孤立せず済んだというありがたいことがある。ただ、性格はウザい。

「あ、俺お前と同じ1組だから。これからよろしくねー?」

「…声を聞くだけでぶん殴りたくなったのは久しぶりだ、よろしく頼む。」

中学の頃のいつものテンションで話していたら菜花のことを忘れていた。顔を見ているともの凄くボーッとしている。

「孝俊、紹介しよう。こちら須田菜花さん。」

「お、よろしく!君も同じクラスなのかな?」

急に話しに加えられた菜花は、ピクッと体を揺らして反応した。

「あ、うん。そうだよー。よろしくね孝俊くん!」

「ちなみに俺の彼女だ、手は出すなよ?」

瞬間。場の空気が凍ったように見えた。

「えっ?ちょっと待って?」

孝俊は菜花の方を見る。

「…マジで?」

にへっと顔を緩ませて頭を縦に振る菜花。

「まじかよ…俺より先にお前にできるのかよ…まだ入って一日目だぞ…。」

どんな才能だよおぉぉ…。と喚く孝俊。

「そんなに不思議か?」

「だってお前!!あんなに…」

そこまで言い言葉を止める孝俊。少し考えて言葉を紡ぐ。

「ハァ…いやなんかもう…いいわ。」

「…そうか、ありがとな。」

「いや良いよ、んじゃ、先行ってるわ。」

シーユー!と高らかに片手を上げ、孝俊は去っていった。

「…相変わらずうるさいやつ。」

「楽しそうな人だったね。」

「…捉え方は人それぞれっと。それよりそろそろ俺達も行かなきゃな。」

すでに時計が写す時間は、集合五分前となっている。

「わわっ!ホントだ!!急ごう!」

そう言って彼女は俺の手を引っ張っていった。

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