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世は情け
地図を見下ろしながら
案内板を見上げながら
眉根を寄せて首を傾げていると
道を教えてくれる通りすがりの男性がいた
電車の乗換に気を取られて
ぼんやりと車窓の景色に見入っていて
座席に置き忘れていた携帯電話を
わざわざ追って届けてくれた女性がいた
日常から少し離れて
異境の地で異邦人として居るからこそ
小さな親切が心に染みる
咄嗟のことに戸惑って
「すみません」
そうとしか言えないのがもどかしく
「有り難うございます」
そう言えるようになりたいと思った