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第八話


「はーい皆さんできましたよー。」



今日でクイードさんの隊について町まで旅することまる二日。この隊の人が心配しているように誰かが襲ってくるなんてこともなく平和な二日間だった。

犯人は私なんだから当然なんだけどね。


いまだに町には着いてないけど明日には着くって言ってた。

こんなに遠かったなら体力があろうがなかろうが歩いて行くのはムリだったろうな~。



この二日で隊員さんたちとかなり仲良くなった。

とっても紳士な隊長のクイードさん、実はいい人ガルマンさん、おもしろい副隊長のマウロさん、そして特に仲良くしてくれる名もなき隊員Aさん、Bさん、Cさん。皆いい人だ。

隊員Aさん、Bさん、Cさんは名前がないわけじゃなくて、私の脳のキャパが少ないから名前が覚えれてないだけ。本当にごめんなさい。




で、今私が何してるかというと・・・なんと晩ご飯づくりです。

なんで急にこんなことしてるかというと、昨日やっと筋肉痛が取れて動けるようになったので、つれてってもらうだけじゃ悪いなぁ~と思い自分から何か手伝えないかと申し出たのだ


それでいろいろやってみたらどれもそれなりにうまくできたけど、特に好評だったのは料理だった。

料理は昔からやっていたので超得意なのだ。


昔からやっていてもこんなにたくさんの人に料理をつくるのは初めてなので楽しみだな~と,意気揚々と腕を振るった。


ただ腕をふるうっていっても食材がね~。

ほとんどがみたことない食材ばっかりでさっぱりだね。


キュウリかと思ってかじったらジャガイモの味がしたし。

見た目の中身がごちゃまぜになってるんだよね。


幸い材料は魔法で送ってるらしくたくさんあったので,どの食材が何の味か教えてもらいながら作ってみた。



まず悩んだのが何をつくるか、だ。

ここには私が知っている調味料もなければ食材もないしなー。

それにキャンプでできる料理かー、なにがあるかな?


ここじゃああまり手をこんだものはつくれないし。

定番はカレー、バーベキュー、焼そば、かな?



私が昔キャンプで料理つくったときはパエリアをつくったけど、流石にムリだろうな、サフランとかないだろうし。

あれつくるのに時間かかりすぎて、せっかくキャンプいったのになんにもできなくなって皆にひかれた記憶があるしね。


カレーはスパイスが足りないっつーかどれがどれになっているのかわかんないし、バーベキューは料理の腕関係ない。




つーことで焼きそばにしました。

ソースはなかったから塩焼きそばだけどね。



中華スープのもともないのがいたかったけど、鶏ガラはあったのでなんとかなった。

鶏ガラでスープをとって、よく分からない野菜を適当にぶちこんで、麺と炒めて、塩胡椒で味を整えて完成。


肉も野菜もよくわからないまま大量にぶちこんだ。

焼きそばはたいてい何入れても大丈夫だし。


人が多いのでいろんな人に手伝ってもらった。

隊員Aさん、Bさん、Cさん・・・あんなに手伝ってもらったのに名前覚えられなくて、ホントごめんなさい。



あんまり時間をかけるわけにはいかなかったのでちょっと手抜きになったけど大好評だった。こっちに焼きそばはないらしい。もったいないなぁ、おいしいのに。


隊員の人が、毎日同じメニューで飽き飽きしていた、と泣みだながらに愚痴をこぼしたのが給仕係の人に聞こえてひと悶着起きるという事件?もあった。すねてテントに引きこもってしまったのを引っ張りだすのにかなりの労力を使ったらしい。ガルマンさんが疲れた顔してた。


出てきた給仕係の人を慰めるついでに前の野菜スープみたいなものの作り方を聞いてみたんだけど、この世界では料理はほとんどが魔法で行われるみたいでその人はなんにも教えてくれなかった。

町でレシピを買えば材料をそろえるだけで簡単に作れるらしい。


給仕係いらなくね?






まぁそんなこんなあって今日も食事づくりを頼まれたので今日も作っている。



今日はチャーハンにしてみました。


チャーハンなら昨日の鶏ガラスープも使えるしね。


肉を多くしてくれとの要望が多かったので、スピーラという豚肉みたいな肉を大量に入れたら豚丼みたいになった。スピーラというのはこの世界でメジャーな肉らしい。いったいどんな姿なんだろう?豚っぽいのかな?

 

私はチャーハンに熟れたトマトを大量に入れて炒め,最後にとろけるチーズをかけてイタリアン風に食べるのが好きだ。

トマトとチーズの組み合わせは最強だと思う。






「おぉ~今日もうまそうだね~カイリちゃん。いや、君じゃなくてこの料理が。」


「マウロさん、セクハラはやめてください。食事中ですよ。」


「初めて食べますがホントおいしいですね、この料理。カイリさんは料理がお上手ですね。」


「いや~昔からやってたんで得意なんですよ~。」


今日もクイードさんは紳士だ。マウロさんは下品だけど。

一緒に食べてるのはクイードさん,マウロさん,Aさん,Bさん,Cさん。

ガルマンさんは見張りの時間らしくここにはいない。


基本この六人ぐらいと一緒にご飯食べている。

たいていは普通の世間話ばっかしている。世間話なんかできないけどね,ここの世間と私の世間じゃ合わないし。


今日もたわいない話で和やかに食事の時間が過ぎてゆく。


そしたらこんな話が耳に入ってきた。


「まさか使われた魔法が・・・だとはなな。」


「このまま町までなにもなければいいんだがな。」


「頭いってるよな?あんな魔法使うなんてよ。」


しゃべっているのはAさんBさんCさんの三人組,

なんか耳によろしくない言葉が聞こえた気がする。

どうしても嫌な予感がするけど聞いてみるしかないだろう。


「あのっ、その話詳しく聞かせてもらっていいですか?」








「なにか言い分はあるかな、アル?」


『あるあるくそあるめっちゃある!!だからまずその手を放せ!!いててて!!』


私が何をしているのかというと、アルをわしづかみにしアイアンクローをかけている。

これにはちゃんとした理由があるのです。けして気晴らしにやってるわけじゃない。

さっきの話をくわしく聞いたら湖で使われた魔法、つまり私の使った魔法は禁術だというのだ。禁術というのはその名のとおり禁じられた魔法だ。

 

即,ぼこぼこにしようと思ったけど,人前でやるわけにはいかないのでテントに戻るまで怒りを抑えるのが大変だった。






「あ~んな魔法を教えてさ~、私犯罪者になっちゃったよ~?どうしてくれんのさ~。」


アルをつかんでいる指にさらに力をこめる。私の指かアルのあるかどうかわからない頭蓋骨がミシミシいってるけどそんなのはどうでもいい。

ちなみに禁術を使った術者は問答無用で終身刑だって。


『知らなかったんだ、本当だ。俺が生きてた時代はそんな法律なかったんだ。だから放せ~。』


「うそをつくな~、この法律ははるか昔からある暗黙の掟って言ってたのよ~。」


『あ~!!ギブギブ。わかった、全部正直に話すから、放せ~。』





「さぁさっさと話しなさいよ。」


『湖で教えた魔法はな、デモナータと呼ばれる魔法の一つだ。』


「デモナータ?」


名前からやばそ~じゃん。


「禁術の中でも破壊力が頭一つ抜け出した魔法だ。使うだけでなく習得、研究だけで問答無用で死刑になる。」


死刑?終身刑じゃなくて?いやどっちも嫌だけどね。


「・・・ホント?」


『本当だ』


「・・・じゃあ私・・・死刑になるの?」


『大丈夫だ。バレなければ何の問題もない。』


「そういう問題じゃないでしょうよ・・・」


『バレても気にすんな。知った奴を消せばいいだけだし。』


『それに魔法を撃つときに見られなければバレないから大丈夫だ。俺の魔法陣は魔法痕を残さないようにしてるから魔法痕でバレることはねぇし。』


そういやガルマンさんが魔法痕が見つからないっていってたな~、いやそういうことじゃないって。


つーか発言がかなり悪者っぽいんだけど・・・こいつホントに大丈夫かな?


「だからそういう問題じゃないの。金輪際そのデモナータってやつを使わせようとしないでよ。」


はー頭痛い、まさか異世界きてそうそう死刑確定なんて。


『何言ってんだ、あれはデモナータの中でも破壊力はまだ三番目だぞ。まぁ爆発系魔法の中では最大魔法だが・・・』


あれで三番目?まだあれより強いのが2つもあんの?


なんでそんな魔法存在してんの?

いらないでしょ。









「他には隠してることはないよね?」


これ以上あったら胃に穴開くわ。


『え?』


アルがこれ以上ないぐらい分かりやすくきょどる。

えーマジで?


「・・・まだなんか隠してんの?」


いい加減にしてよー。


『いや、あのな、たいしたことじゃないんだけどな・・・』







実は契約ってのはブラフで私の身体を奪うつもりだったらしい。


「へぇ~それたいした話しじゃないんだね。」


これには私も怒りを我慢できない。

もしかしたら私という意識が死んでいたかもしれないのだ。


『だから最初にも言ったろ?俺もこんな形で蘇るとは思わなかった、って。これは保険で掛けておいた魔法が発動してんだろうが,ヒトダマになるとは思わなかったんだ。』


アルはなんか開き直ってる。

あれってこういう意味だったの?

ちゃんと乗っ取れるはずだったのになぜかヒトダマになってしまったと・・・


あーやっぱり絶対許さない。


「アル、まず言い訳より先に言うことがあるんじゃないの?」


お母さんに叱られたときのことを思い出しながら同じように謝罪を促す。


『・・・俺の辞書に反省という言葉はない。』


アルが決め顔で言う。あんたヒトダマフォームってわかってんの?全然かっこよく見えない。


「なにどっかの独裁者みたいなこといってんのよ、いいからとりあえず謝んなさいよ。」


謝ったらされで許すってわけじゃないけど、悪いことしたなら謝るのが人として当然のことだろう。


『俺は生前も謝ったことはない!!頭を下げたこともない!!』


こいつやっぱり人じゃないんじゃないの?

なに変な自慢してんの?


『やってから反省するようなことはしない、それが俺のポリシーだ。』


「・・・ちょっとかっこいいこと言ったのかと思ったわ。」


『いや今のはかっこいいだろ。』


ただのバカでしょ。

呆れてぐうの音もでないよ。


「はぁ。」


かわりにため息がでたけどね。


『反省する気も謝る気もないが・・・なんだ・・・その・・・お詫びに・・・』


それお詫びじゃなくね?

謝罪の気持ちがあって初めてお詫びになるんじゃない?


『デモナータを全部教えてやろう。』



・・・



『どうした?もっとよろこべ 生前は何度頼まれても誰にも教えなかったことを全部教えてやるといってるんだぞ。』


「・・・あんた・・・人の話聞いてないの?金輪際デモナータを私に使わせようとすんなっていったでしょうがっ!!」


某幼稚園の問題児によく使われる必殺ぐりぐり攻撃を本気でかける




『いてててマジでいてぇぇぇっ!!!』




アルの私にしか聞こえない絶叫がテントを突き抜け辺り一帯に広がった。


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