第一話
初投稿です。
あたたかく見守ってください。
生命の力強さを魅せるような青々と繁る森
排気ガスに汚染されていない透き通るようなきれいな空気
荒みきった心を洗うような小川のせせらぎ
それらに包まれて私は・・・
異世界?へワープした。
私,櫛宮海里はごく普通の公立高校に通うどこにでもいるような
ごく普通の女子高生だった。
成績並 容姿平凡 運動能力にいたっては最低ランク。
この一年ちょっとの高校生活では友人と呼べるような人はいなかった。
この点だけが普通じゃないかもね。
別に性格が暗いわけじゃないし,自分で言うのもなんだけど嫌な奴じゃない。
どっちかとていうと明るいほうだとも思う。
友人がいないのにはちゃんと理由がある。
ハブられていたわけじゃないよ,友達がいなかったというより友達は作らないようにしていたというほうが正しいかもしれない。
中三のときにそれまでの友人とひどくもめてしまったということで,こんな思いするぐらいならもう友達なんかいなくてもいいや,と思ったのが理由である。
だから誰も私のことを知らないとこなら知り合いがいるとこよりましだろうと思って家からかなり離れた今の高校に進学したのだ。
ちなみに通学時間は一時間半です。
高校では,友達なんかいらないわ,という雰囲気を出しながら過ごしている。
別に今の生活に何の不満も無いし,
元々おしゃべりが好きなほうではなかったので一人でも結構平気にすごせていた。
同じクラスの人は気のいい人ばかりでたまに気をつかって話しかけてくれる人もいたんだけど,
なかなか上手に返事をすることができず気まずい事になったのを覚えている。
そして今日も黙って学校に行き,黙って授業を受け,黙って休憩時間を過ごしていた。
・・・寂しいわけじゃなくてつまらなかっただけです。
いつものように授業が終わるとすぐ家に帰った。
学校に残っていてもやることないしつまんないしね。
まぁすぐといっても帰るのに1時間以上かかるんだけど・・・
電車とバスを乗り継ぎ一時間以上かけて家に帰るとまず朝方干した洗濯物を取り込んだ。
最近はまだ春のくせに暑いのでよく乾いていた。
なんで私が洗濯をやっているかというと,親が共働きで忙しく私はとてつもなく暇だからである。
まぁ家事は嫌いじゃないし,料理にいたっては好きなぐらいだ。
当然今日の晩御飯も私が作るんだけど,なーんか眠かったので,今日の晩御飯何を作ろうかなー暑いしなんかさっぱりしたものがいいかな?と考えながら制服のままちょっと横になった。
はずだったのに気が付くと鬱蒼と繁るジャングルだった。
・・・なぜ?
周りにあるのは巨大な木ばかりで真上をみないと空すら見えない。
そのせいで森に不気味さを与えている。
しかもどこからか気味の悪い,ジャーという鳴き声も聞こえる。聞いたことのないような鳴き声だ。捕まえたら新発見とかでお金とかもらえないかな?
オーケイオーケイ まずは状況を整理してみよう。
ここはどこかも分からない,人も住んでなさそうなジャングルの中,
私は特に格闘技とかサバイバルとかできるわけじゃないし,どっちかといわなくとも運動音痴な普通の女子高生・・・
「・・・死ぬんじゃない?私?」
そーだよ,死んじゃうよ助からないよ。
ヤバいよ,このままじゃ猛獣に襲われてパクリ・・・
ホントやばいわ。
ていうかここどこ?
アマゾン?
あきらかに日本じゃなさそうだけちゃんと帰れるのかな?
早く帰って夕御飯の買い出しも行って今日の分の洗濯もしなきゃなんないのになぁ。
いまいち危機感がないなぁ・・・私。
「そーだ,何か役に立ちそうなもの持ってないかな。」
こういうときは偶然役に立つものが入ってたりするはず。
少なくとも私が今まで見てきた漫画ではそうだったわ。
そう思いポケットをあさってみる。学校から帰ってすぐ寝たので絶対なにか入っているはずだ。
「ガサッ」
なにかが入っている音がした。
確実になにかは入っている。
「やっぱりね,流石私。
そうね,ナイフとかあったら便利かな・・・使えないけど。
サバイバルの必需品っていうしテレビでもよく言ってるし。
さぁナイフ的なものよ,でてこい!!」
タラタラッタラ~ン
「飴玉3個~」
確かに入っては・・・いた。
入ってはいたがどうやっても生き延びる助けにはなりそうにはない。
・・・絶望が私を包む。
最後の希望がとぎれ私の命の灯火が徐々に輝きを
失っていっている気がする。
その代わり怒りが体に満たされてゆき,
そしてその怒りをきっかけに勇者的な力が目覚め・・・
るわけもなかった。
一介の女子高生にそんな都合のいいことがあるわけなかった。
つーかなんで飴玉?まったくもって入れた覚えないんだけど・・・
ここ数年食べた覚えもないし・・・
草の上にバタリと倒れこむ。
「はぁ~ マジでどうしよう。
別に目標があるわけじゃないけど17歳で死ぬのはイヤ~。」
誰もいないので人目を気にせず,小さな子供が駄々をこねるように
草の上を転がりまわった。
ちょっと懐かしいかも・・・
しかし,いくら誰も見ていないとはいえいい歳した女子高生が
やる行動ではないなと気づき,1分もたつ前に恥ずかしくなって立ち上がった。
「よしっ, 悩んでもしょうがないしとりあえずここから移動してみよう。
何かいるかもしれないしね。」
そう動かなくちゃ何も変わらないわ。
いるのが・・・ひとだったらいいな
ネガティブになった気持ちを切り替えるため
3個のうちの1つの飴玉を口に含む。
甘い味と香りが口いっぱいに広がる。
それだけで元気がでた気がした。
そして私はあてもなくジャングルの中を歩きだした。