ある日の少女
ある日の少女。
日って域越えてますけどね。
後これ初短編。
ある朝のことです。
ある家に住む少女は、ベッドの上で一冊の本を読み始めました。
毎朝の日課だからです。
その本はファンタジーと呼ばれる、少女が大好きなものでした。
ですが、この本は両親が買ってきたということを思い出すと、急に読むのをやめ、パタン、と本を閉じてしまいました。
少女の両親は、両方ともいつも海外で働いているので、少女は幼いころから母の姉、伯母のところに預けられていました。
そんな少女を、伯母とその夫の伯父は、いつも励ましてくれますが、少女の心は晴れません。それどころか、どんどん心が曇っていくような気がするのです。少女は、そんな気持ちのまま、毎日を過ごしていました。
そんな日ではない、ある朝のことです。
その日は、少女の誕生日でした。
ですが、こんな日でも、両親が帰って来るはずがありません。
毎年届く、形だけのプレゼント。中身はいつも、もう少女が飽きてしまったものばかりです。両親はいつもいないので、少女が飽きてしまったことを知らないのです。
前読んでいた本も、両親から届いたものでした。これは、誕生日ではなく、「偶然買ってしまった、こちらはいらないからあげる。」という、心などこもっているはずもないものでした。
それらは、届いてから封を開ける前に伯母たちが倉庫へ運びます。数年前から少女が頼んでいることです。
少女は、こんなものは見たくないのです。
伯母たちも、そんな少女の気持ちを分かっています。もう、この少女には、本当の親より伯母、伯父の方が親のようなものでした。
そんな少女を、2人はちゃんと受け止めてくれました。優しく、心の傷がいえるまで。
10年が経った、ある朝のことです。
10年前から、1度も親は帰ってきません。ずっと見ていないせいで、少女…いえ、娘は親の顔を忘れてしまいました。親も、娘の顔など忘れているでしょう。それどころか、娘のことすら忘れているかもしれません。
そういう親なのです。
もう娘は、親のことは考えないようにしました。そして、子供がいなかった伯母たちのところに、養女に入りました。もともと伯母たちが育ててきていたので、生活はたいして変わりありませんでした。昔から、本当の家族のようだったからです。
また数年が経った、ある朝のことです。
突然、娘のところに本当の親が帰ってきました。
娘は、すぐに自分の部屋にこもりました。
あんな親は、いないものだと考えていたからです。
ですが親は、ちゃんと娘のことを考えていました。
ちょうど、娘に会うような服を、何着も買ってきていました。ちゃんと娘の好みに合っています。なぜ、こんな服を買ってこれたのか、娘は少し聞いてみました。
両親は、「伯母たちに、毎月1枚ずつ、娘の写真を撮って送ってもらっていた」と言いました。
娘は驚きました。両親はとても優しい顔で笑っていました。
娘は両親を理解し、そして仲良くなりました。
ですが、もう娘の親は伯母と伯父です。本当の両親は、『母の妹夫婦』ということにしかならないのです、戸籍上は。
ですが、伯母はこう言いました。「私たちの家で、全員暮らせばいい。そうしたら、養女とかも気にならないでしょ。」と。
そして、娘と本当の親は、その案にのり、全員がここで暮らすことになりました。
幸い家は広く、ちゃんと全員が住めるようになっていました。
本当の両親が持っていた家は売り、娘の将来に使うことにしました。
両親が本当に自分のことを思ってくれていたのだと、娘は少し涙が出ました。
それから1年経った、ある朝のことです。
娘は本当の両親と今の両親と、5人で楽しく暮らしていました。いえ、もうすぐ6人になります。本当の両親の方に、新しい子供ができたのです。女の子で、もうすぐ生まれる予定です。
娘は妹が生まれるのを、とても楽しみにしています。
そう、とても楽しみに――――――
お読みいただき、ありがとうございました。




