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スキマバイトを続けていただけの俺が、気づいたら世界初の勇者になっていた【全4話】  作者: 四月一日(わたぬき)こ


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第1話 クエスト一覧

 クエストは、掲示板から受注する。


 ユウトは毎日、愛用の端末を確認する。

 その中の掲示板に並んでいるのが、選べるクエストだ。


 内容は簡単に要約されている。

 場所、時間、作業内容、報酬。

 条件に納得すれば、承諾を押すだけでいい。


 雇用契約は存在しない。

 面接も、継続の約束もない。

 完了すれば評価が付与され、それが次の仕事に影響する。


 副業として始めた人間も多い。

 本業の収入だけでは足りない時代だった。

 自治体や国ですら、空き時間の活用を推奨していた。


 ユウトが今日選んだのは、人手不足区域での作業支援。

 時間指定あり、体力消費多め。

 その代わり、評価が高い。


 ユウトは迷わず承諾した。


 こういう仕事はやる人が少ない分、評価が伸びやすい。


 現場では、同じように集まってきた人間が黙々と作業をしている。

 会話はほとんどない。

 必要もない。


 作業が終わると、端末から完了通知を送る。

 数秒で結果が反映される。


《クエスト達成》

《評価が更新されました》


 作業精度、時間遵守。

 過去履歴との整合性。

 肉体系スキル、上昇。

 信頼性、安定。

 フィードバック、問題なし。


 数字が積み上がるのを見るのは、嫌いではなかった。


 最近、噂を聞く。

 一定以上の評価と履歴を持つ者だけが得られる、特別な称号があるらしい。

 それを持っていると、より条件の良いクエストが優先的に回ってくるという。


「まあ、簡単じゃないよな」


 ユウトはそう思う。


 特別な才能があるわけでもない。

 ただ、体は動くし、時間もある。

 何より、仕事内容が様々で、毎日が違う人生のようで飽きることがない。


 だから、続けている。


 毎日新たな世界で、クエストを承諾し、作業をこなし、評価を受け取る。

 それを繰り返すだけで、次の仕事が表示される。


 日常をまるでゲームの様にクリアし、経験が数値で評価されるのは、自分が主人公になったような気さえしてくる。


 肉体系クエストと頭脳系クエストをバランスよく選び、スキルツリーを伸ばす。

 社会貢献値を積み地位レベルを上げていく。


 噂に聞く称号、《勇者》への道は果てしなく遠い。

 しかし、順調に評価を重ねていくことに、今はただ喜びを感じていた。


 ユウトは、この時まだ知らなかった。


 この「承諾」が、世界で初めて勇者と呼ばれる人間を生むことになるとは。

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