第二十三話:検証完了 ― episode 劉備(寿命・誓い)
System log updated.
Verification phase finalizing.
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検証対象:
劉備(字・玄徳)
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劉備は、
戦場で死ななかった。
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刃に倒れず、
矢に貫かれず、
夜襲にも、裏切りにも屈しなかった。
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それは、
奇跡ではない。
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関羽が生きている。
張飛も、生きている。
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それだけで、
この陣営は違っていた。
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誰か一人が倒れれば終わる、
そんな危うさがなかった。
背負う重さは分けられ、
立つ場所は守られていた。
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劉備は、
前に立つことをやめなかった。
だが、
無理に前線に居続けることもなかった。
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人を信じ、
人に任せ、
責任だけを引き受ける。
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それが、
彼のやり方だった。
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時は流れた。
戦は減り、
政が増えた。
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劉備は老いた。
それは、
敗北ではない。
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追われることもなく、
討たれることもなく、
夜ごとに剣を抱くこともなく。
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床に伏し、
息を整え、
周囲に人を残した。
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関羽と張飛が、
そのそばにいた。
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劉備は、
二人を見て、静かに笑った。
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「……桃園で誓ったあの日の言葉を」
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「最後まで守れず、
兄のほうが先に行くことになるな」
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詫びるようでもあり、
照れるようでもある声音だった。
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英雄としての言葉ではない。
皇帝としての言葉でもない。
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ただ、
兄としての言葉だった。
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関羽も、
張飛も、
何も言わなかった。
言う必要が、なかった。
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System log updated.
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✔ Survival confirmed
Target: Liu Bei
Status: Life completed
Condition: Natural conclusion
Outcome: Brotherhood preserved
(生存確認
対象:劉備
状態:生涯完遂
結果:義兄弟関係の維持)
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Verification complete.
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All survival conditions satisfied
within EASY mode parameters.
(イージーモード条件内で
すべての生存検証が完了)
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……
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劉備は、生き切った。
それで、
十分だった。
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歴史は、
守られた。
だが、
まだ軽くはない。
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ここから先は――
積み上げの物語だ。




