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第一話 雒鳳破 ― 決まっていた死
初めて投稿します。
〈雒鳳破〉
――鬨の声?
こんな場所で、だと。
「伏兵……!?」
脳裏に地形が浮かぶ。
狭隘、死角、退路の細さ。
最悪の条件が、すべて揃っている。
まさか――
いや、考えている暇はない。
「退却だ!」
声が自分のものだと、一瞬遅れて気づいた。
「ここで戦えば、士気を乱されたまま潰される!」
勝ち目はない。
あるのは、被害を抑える選択肢だけだ。
「伝令兵! 各部隊長に伝えろ! ここは一旦引く!」
その言葉と、ほぼ同時だった。
鈍い衝撃。
胸に、何かが深く突き立つ感触。
――ああ。
ここで俺は死ぬ。
理由は分からないが、直感だけははっきりしていた。
だが、撤退の命令は出した。
伝令は走った。
ならば、あとは諸将に任せるしかない。
「俺も……ここ、まで、か」
視界が傾く。
龐統、字は士元。
雒鳳破にて、戦死。




