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2.0009002話 風車のささやきと逆流の前兆


【導入】

4次元の朝は、いつもより少しだけ早く目を覚ましたように見えた。

成美元帥は静かに立ち、みゆとりらを見下ろす。みゆの腰には、あの風車付きのベルトがいつもより微かに震えている。

「いいかい、みゆ。今日は駄菓子屋の奥を調べる。演算ノイズが増えてる。風車は……気にしなくていい」

みゆはぴょんと跳ねて答える。

「はーい!風車さん、こんにちは〜!」

りらは端末を覗き込み、淡々と報告する。

「指令、風車に微弱な回転が検出されました。規定値以下ですが、波形に“揺らぎ”があります」

成美はその揺らぎを胸の奥で感じ取った。

(まだ小さい。だが確かに、何かが溜まっている)


【展開】

駄菓子屋の扉を押すと、ラムネ瓶がゆらりと笑い、棚の影が伸びる。浜口むすめは太鼓を抱え、にやりと笑った。

「おやおや、今日は風車がご機嫌ね。気合いの前兆かしら?」

みゆは目を輝かせる。

「なるみ、風車が回ってるよ!変身するのかな?」

りらは冷静に解析を続ける。

「指令、太鼓の波形と風車の揺らぎが共鳴しています。同期率はまだ低いが、増幅の兆候あり」

太鼓が一度、二度と叩かれるたびに、風車はほんの少しだけ回る。最初は指先で触れる程度の回転。だが、空気が逆流するような音が混じり、ラムネの泡が虹色に震えた。

「気合いは分け合うものよッ!」浜口むすめが叫ぶ。太鼓のリズムが変わると、風車は逆方向にふっと動いた。逆回転の瞬間、みゆの髪先がぴくりと跳ね、胸の光が小さく脈打つ。

「指令、逆回転は通常の変身前兆と一致しますが、波形が断続的です。完全なシーケンスには至っていません」りらの声は冷静だが、端末の画面には赤い点滅が増えていく。

成美は深呼吸する。風車の回転は“見せかけ”にもなりうる。だが今は、見せかけ以上の何かが近づいている気配があった。


【転】

駄菓子屋の外、空間の折り目が一つ、二つと増える。小さな裂け目から、遠い次元の匂いが漏れてきた。そこから流れ出すのは、演算の砂。細かい粒子が風に乗って舞い、風車の羽に触れるたびに光を散らす。

「みゆ、触らないで!」成美が叫ぶ。だがみゆは好奇心に勝てず、手を伸ばしてしまう。指先が演算の砂に触れた瞬間、風車がギュルッと強く逆回転した。空気が裂け、駄菓子屋の中のラムネ瓶が一斉に鳴った。

「指令、演算力が急増。波形が短時間で二段階上昇しました」りらの声が震える。みゆの胸の光が一瞬、変身後の輪郭のように浮かび上がる。だがその直後、光は弾けて消えた。風車は急停止し、羽は静かに止まる。

みゆは膝をつき、息を切らす。

「えっ、なんで……変身しないの?」

成美は優しく手を差し伸べる。

「まだだよ。溜めるんだ。溜めて、もっと大きくする」

浜口むすめは太鼓を抱え直し、にやりと笑った。

「見せかけの風車も、時には人を救うのよ。焦らずに溜めなさい」


【結び】

風車はまた静かに揺れ、微かな回転を続ける。駄菓子屋の外では、次元の裂け目が小さく閉じていった。りらはデータを整理し、成美はみゆの肩に手を置く。

「次はもっと深い層だ。5次元、6次元……風車はその都度、鳴るだろう。だが変身はまださせない」成美の声は穏やかだが、決意がこもっている。

みゆは小さく笑って立ち上がる。

「うん、わかった!もっと溜める!もっと強くなる!」

りらは端末をしまい、淡々と付け加える。

「指令、次の層へ進む準備が整いました」

三人は駄菓子屋を後にし、4次元のスロープを上る。風車は背後で、小さなささやきを続けている――回る、止まる、逆回る、また溜める。読者の期待は、まだ解かれないまま、次の波へと引き伸ばされる。



【成美式アンケート(短縮版)】

【今日のなるみ、どれくらい応援したい?】

① なでなで

② ほっぺむにむに

③ よしよし包み込み

④ 全力でいいこいいこ

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