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4.00041 境界層のゆらぎ(外歴)
スロープの傾斜が、ここにきて急に“柔らかく”なった。
踏みしめたはずの地面が、まるで水面のように沈み、
次の瞬間には金属のように硬くなる。
ここは 3.342次元から、さらに半歩だけ深い層。
三后の実家に入る前の“境界層”だ。
エメラルドの光が、鏡の破片のように空中を舞う。
メーテリュの骨格が、遠くで低く鳴る。
プロメテウスの火が、影を長く引きずる。
三后の気配が、ここでは“混ざる”。
俺は息を整えた。
この層は、三后の本質が漏れ出す場所。
つまり、嘘がつけない場所だ。
スロープが、俺の足元で小さく歌った。
「覚悟はあるか」とでも言うように。
俺は一歩、前へ出た。




