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4.00034 軸の揺らぎ
回廊を抜けると、メーテリュの調律が必要な軸の揺らぎが見えた。小さな亀裂が世界の骨格に走り、歩くたびに微かな不協和音が生まれる。彼女は無言で近づき、指先で亀裂の角度を確かめる。調整は痛みを伴うが、終われば音は滑らかになる。俺はその作業を見守りながら、自分の内側にも同じ亀裂があることを知る。修復は外だけでなく内側にも及ぶのだ。
メーテリュは言葉少なに、しかし確実に手を動かす。「軸は真っ直ぐではない。真っ直ぐに見せるだけの技術が必要なの」。彼女の手が触れるたびに、俺の呼吸が整い、視界の歪みが消えていく。だが完全な修復はできない。亀裂は痕跡として残り、それが俺の歩き方を変える。変化は痛みと引き換えに、新しい安定をくれる。




