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4.00025 火の間の入口
骨格の間を抜けると、空気が一変して温度感のない温かさが広がる。プロメテウスの家の前には青い火が静かに揺れ、影だけがゆっくりと踊っている。火なのに熱がないその光景は、視覚と感覚の境界を曖昧にする。プロメテウスは遠くから、しかし確実に俺を見つめている。
「成美」
その一言は低く、遠いが確かな呼び声だ。火の入口に立つと、影が足元に落ち、まるで古い言葉が形を取り始めるように感じた。ここでは言葉が物質を変える。プロメテウスの気配は静かだが、言葉の一つ一つが世界の裏側に触れている。俺は息を整え、火の言語を受け取る準備をした。




