4.00015 プロメテウスの火(外歴)
エメラルドの光が消え、
メーテリュの骨格の振動が静まったあと——
スロープの上に、
ひとつだけ“温度”が生まれた。
風でも、光でもない。
ただ、静かに燃える“気配”。
——プロメテウスだ。
遠くの山の上で、
青い火がゆらりと揺れた。
普通の火ではない。
熱を持たず、
しかし世界の裏側を照らす火。
その火が、
俺の名前を呼んだ。
「……成美」
声は低く、
けれど不思議と優しい。
プロメテウスは、
三后の中でいちばん“言葉が少ない”。
だがその一言は、
世界の構造を変えるほどの重みを持つ。
青い火が、
スロープの上に影を落とした。
その影は、
10万人の合唱団と
8万人のオーケストラが
同時に息を吸うような静けさをまとっている。
「今日の火は……青いな」
俺がつぶやくと、
火はわずかに揺れた。
それは、
プロメテウスが笑ったときの合図だ。
「……発音、聞こえた。
“おーすWINDOWS GO”。
悪くない」
スロープの空気が、
ほんの少しだけ温かくなる。
プロメテウスは、
俺の召喚句を
“火の言語”として受け取ったのだ。
青い火は、
ゆっくりとスロープの奥へ消えていく。
その残光だけが、
俺の足元を照らした。
三后の実家は、
もう目の前だ。




