パリピ、旅立ち
本格的に、夏だ
近所で、セミが騒々しい
ゲタゲタと鳴いている
なぜあいつらはあんなにも騒々しいのだろう
もう少しだけでも
静かにできないものだろうか
たとえば私のように
私がそんな詩を呟きながら、炎天下の住宅街を歩いていると、小学校四年生の弟が後ろからチャ・チャ・チャーッと駆け寄ってきて、言った。
「姉ちゃん、今日もインテリジェンスに溢れてるね!」
弟は犬だ。
話せば長くなるのだが、二年前のある日、急坂を駆け下りていた時、前方に立ち止まってこっちを見ていた柴犬とぶつかって、体が入れ替わったのだ。
かわいそうで、かわいい。
「じゃ、先に家帰ってるよーっ」
そう言って、弟は、飛んでいった。
弟はエンジンつきだ。
軽い身体に1,500ccのDOHCエンジンを搭載している。
かなり速い。
あっという間にトップスピードに乗る。
ゆえに弟は、家を勢いで通り過ぎ──
旅立っていった。
思い出を作るため──
今、どうしてるかな……
楽しんでたら、いいけど……