表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/18

君は別の訓練所で鍛えてもらうよ


 時間はほんの数分前に遡る。

 真名が澤田とやり合っていた頃、闘真も同様に私闘を繰り広げていた。


「くたばれ鬼龍院!」

「こ、この野郎!」

「死ねや!」


 罵声を浴びせながら2人の聖徒が掌から風の刃と石礫がそれぞれ撃ちだされる。

 最後の一人は腕に岩のような装甲を覆って殴りかかる。

 そこで事故が発生した。


「ぐあッ!?」


 なんと、岩の装甲の聖徒に、風の刃が当たったのだ。

 連携が取れてなかった。

 考えなしに攻撃するのだから当然の帰結だ。


「何すんだお前!?」

「んだよ、邪魔したのはお前だろ!?」

「何やってんだ、来るぞアイツが!」


 揉めている間に闘真は行動を開始。

 まずは水の刃を出す聖徒、野田目掛けてビームを出した。


「う…うわ!?」


 野田は堪らず水の刃でソレを相殺。

 ぶつかった両者の攻撃は水蒸気となって二人の姿を隠す。


「うわッ!? お前、余計なことすんなよ!?」

「はぁ!? お前がミスしたから俺がやってやったんだろ!?」

「んだとコラ!?」

「揉めてる場合か?」


 また仲間割れ。

 そうしている間に闘真は三人に接近して攻撃を仕掛ける。


「おらッ!」

「ぐべッ!?」


 一人目。

 身体を大きく開いた、距離を優先した左ストレート。

 的確に相手の顎を捉え、一瞬で意識を刈り取った。


「い、いつの間…ぐぇ!?」


 二人目。

 背後の相手目掛け、腰を回転して振り向きながら、その勢いを拳で叩きつける。

 ガツンと入った拳により、鼻が骨折。

 ボタボタと鼻血を流して戦意をへし折った。


「う、嘘だ…ぶへぇ!?」


 最後。

 下腹部に前蹴り。

 反対の脚で地面を蹴り、飛距離を上げて離れた相手に蹴りを当てる。

 蹴られた生徒は腹を押さえながらその場を蹲った。


「つ、強ぇ……」

「さ、三人がかりでも勝てないのか……」

「てか佐藤も強くねえか?」

「ああ、アイツ、あんなに動けたのかよ……」


 真名と闘真の戦闘力に戦慄する聖徒たち。

 彼らは二人を遠目に視てざわざわ騒ぎ出す。


「す、すごいわ真名くん! 流石ね!」

「やっぱり強ぇなお前。まあ、前から知ってたけど」


 真名に寄ってくる美少女2人。

 これのせいで折角上がりかけていたクラスメイトからの真名の好感度が下がった。


「お、おい。また四大美少女のうちの2人が佐藤に近づいてるぜ?」

「まさか2人とも知ってたんじゃねえのか?」

「だからいっつも一緒にいるのか!?」


 とは、ならなかった。

 むしろ真名の力を見抜いてモーションをかけていたであろう2人を担ぐような声まである。

 つい昨日までは釣り合わないとか何とか言ってたのに、現金なものである。


「ちょっと闘真! 貴方やり過ぎよ!?」

「んだよ、ちゃんと手加減したろ!?」

「どこがよ!根岸なんて鼻折れてるじゃない!貴方ソレでもマスクランナーになるの!?」

「ああなるね!テレビのちびっ子たちに襲ってくる敵と戦う意義と勇気を教えてやるさ!」


 対する闘真は彼女と軽いケンカをしていた。

 彼の彼女である犬山は暴力や喧嘩が嫌いだ。なので闘真にはこういった真似をしてほしくないのだが、当の本人は直す気がない。

 降りかかる火の粉は払う。喧嘩を売られたら買う。こういう性格なのだ。


「そこまで!今回はあくまで訓練として受けとめるが、今後は私闘がないように! 貴方たちの力は人間に向けるには大きすぎる!運が悪ければ死ぬことだってあり得るのだ!」


 大声でボンスが締めたことでこ騒動は終わりになった。


「それじゃあ俺は怪我人を運びますね。……あ~、祝福の攻撃にしちゃ大分軽いっすね。毎回重傷者が出るイベントなんですが」

「………」


 ポツリと、イーミルが怪我人を運びながら呟いたその不穏な言葉を、真名の耳は拾い上げた。


「……アイツら、俺らが争うのを視野に入れてたみたいだな」

「うん、おそらくこの力の危険性を見せしめるためだろうね」


 闘真が後ろから現れ、真名に話しかける。


 彼らはボンス達が止める気がない事は知っていた。

 炊きつけることはしないが、予想はしていた。しかし止めるつもりはないといったところか。

 力を手に入れて浮かれたら、そりゃ使いたくなる。気が大きくなり好戦的になるものが出る。

 そういった者たちがぶつかり、怪我を負うことで、他の浮かれていた者たちを牽制する。

 使い方を誤ればこうなるぞと。


「……まあ、分かるっちゃ分かるな。実際、あいつらは言ってきくような感じじゃなかったし」

「そうだね」


 別に、ソレが悪いとは言わない。

 確かに褒められたことではないが、実際にあの暴走した四人が言葉で止められるとは思わないし、祝福で痛い目を見なくては分からなそうだった。

 けど、何か引っかかるものがある。ソレが何なのか、まだ高校生の二人には分からなかった。



「それじゃ、俺らは普通に練習でもするか」

「そうだね」


 とりあえず考えを切り上げて練習に戻ろうとする二人。

 そこに待ったをかける人物がいた。


「あ、佐藤真名くんだね?君は別の訓練所で鍛えてもらうよ」

「え?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ