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祝福とインキュバス

このお話は追放系に近いです。なので主役の祝福も追い出される様な内容です。

 僕たちは、総本山で軍事訓練を受けることになった。

 いくら特別な力を持っても、所詮はぬるま湯に浸かりきった日本の高校生。

 殴り合いも碌にしてこなかったのに、いきなり戦えなんて無理に決まっている。

 よってここで訓練を受けることになった。


「それでは、本日聖徒の皆さまの行使を務めさせていただきます、近衛武士団隊員のイーミル・ソーンダースと申します。以後御見知りおきを」

「同じく近衛武士団隊員、ボンス・アレンビーと申します。もっとも、我らが講師を担当するのは今日一日なので聖徒の皆様に覚えていただく必要はありませんが」


 二人とも大将の恰好に比べたら見劣りするが、それでも立派な甲冑を身に纏っている。

 ただ、二人とも外人顔なんだよな……。


 イーミルさんは二十代前半の赤髪茶目の天然パーマ、鼻は丸いが彫りは結構深い。

 ボンスさんは二十代後半の緑髪黄目のロングヘア―。鉤鼻でこの人も彫りが深い。


 どうやら文化は日本っぽいのだが、国民はヨーロッパ系らしい。

 最初はちぐはぐな印象を受けたが、着物などを着こなすところを見るに、コスプレのような感じはしない。


 そうだ、ここは異世界なんだ。元の世界と違って当たり前だ。


「聖徒の皆さまには、戦うための“祝福”と、この世界の言葉を理解して使用するための翻訳能力がエキドナ様から授かっております」


 聖徒。

 エキドナが異世界から遣わした勇者をこの国ではそう呼ぶらしい。


「それでは、皆様はこの水晶に触れてください。これで皆様の祝福が分かるはずです」


 言われた通り僕たちは水晶の前に列を作って順番に触れる。

 最初は闘真。軽く右手を触れると、淡い光を発しながらまるで液晶画面のように文字が映った。

 水晶の中に浮かび上がる『祝福:光の勇者』という単語とその説明文。

 闘真の祝福は光の力を操ることらしい。


「光……俺が?」


 怪訝そうな顔をしてもう一度触れる。しかし文字に変更はない。光の勇者のままだ。


「なあ、兵士さん。この祝福ってどういう基準で決められるの?」

「さああ。私達にはエキドナ様のお考えは分かりませんが、一説によれば祝福とが本人の才能や生き様によって決まるらしいです」

「ふ~ん、才能と生き様ねぇ……。今時の高校生なんてバカ騒ぎしかしてねえのに、形に出来るような才能も生き様もねえと思うだけどな」


 ソレは僕も同意だ。

 日本の高校でぬくぬく暮らしていた僕たちに、ちゃんとした能力に出来るような才能や生き様なんて無いと思うんだけど……。



「それで、この祝福とやらは、どうやったら使えるんです?」

「簡単ですよ。体内に巡る力………聖気を活性化させ、放出するんです。そうすれば発動出来る筈です」

「分かりました。……ビーム」


 人差し指を適当な方向に向け、言われた通りにやる。

 途端、指先から青色の光が射出され、その先にあった案山子を貫いた。

 遅れて案山子が大爆発。木っ端微塵になった。


「「「………」」」


 僕たちは呆然とした。

 十秒が、一分か、それとも一瞬か。

 目の前の出来事を理解しきれずに、僕たちの頭はフリーズした。

 たぶん、祝福を使った本人も、アドバイスをした武士団の二人もそうだと思う……。


「す、すげぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 この中の誰かが叫んだ

 ソレを合図にするかのように、次々と膠着が解け、ワイワイと騒ぎだす。


「お、俺も使いてえ!」

「俺も俺も!どんなチートかな?」

「私が先よ!私の方が近かったじゃない!」


 次々と水晶に触れ、戦闘特化の祝福が浮かび上がる。

 魔剣使いだとか、風の奏者だとか、結界師だとか。

 チートというには物足りないが、それでも元の世界ではありえない力。

 皆、特別な力を手に入れて浮かれていた……。


 皆、浮かれて忘れているけど、僕たちが与えられた力は元の世界で言う支給される武器みたいなものだ。

 魔王とその部下を殺すための道具。そして、僕たちもその武器を向けられる危険性がある。

 彼らにとって僕たちは少年兵、しかも扱い的に鉄砲玉のようなものだ。

 

「……しかも、何だって言うんだよ僕のは」


 雄淫魔(インキュバス)

 皆が祝福に夢中になっている中、こっそり水晶に触れると、このとんでもない文字が浮かび上がっていた。

 効果はインキュバスっぽいことが出来ること。すごくアバウトでどう使えばいいか分からない。


 周囲からの視線が痛い。

 女子は勿論、男子からも侮蔑の視線を食らう。

 クソ、嫌な予感がしたから皆が力に熱中している隙を狙ったのに……!


「ふ…ふひひ。佐藤く~ん、随分とピッタリな力を手に入れましたなあ」


 ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべながら、クラスメイトの一人が僕を指さした。

 気まずくなった僕は目を逸らすけど、その子は僕に構わず話し続ける。


「君とは一緒にいたくないなぁ。どう思います、女子生徒の皆さん? 寝ている間に、エロ同人みたいな展開にされてしまうかもしれないのですよ」


 エロ同人って、そんな漫画みたいなことあるわけないだろ。

 そう言いたかったけど、今まさに漫画やアニメみたいな目に遭ってるんだ。ソレを言ってもあまり意味はない。

 ソレに、僕が如何わしい能力を手にしたのは事実だ。

 彼のように危惧されても文句は言えない……。


「おい、根岸……」

「ん?なんですか大神さ…へぶぉ!!」


 闘真くんが僕を指さしている生徒――根岸くんの肩に手を置く。

 根岸くんが振り向いたと同時、彼の顔面を殴り飛ばした。


「え!?何してるの闘真くん!?

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