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異世界転移

やっと転移しました。

「ウチの学校、こうして遠い生徒にはバスを乗っけてくれるあたり良心的だよな」

「そうだね」


 放課後、真名と闘真はバスに乗って下校しようとしていた。

 真名たちの通っている阿久津学園は送迎バスがあり、遠くから着ている生徒はこうして駅まで無料で送ってくれるのだ。

 真名の定位置はいつも後ろから二番目の左の席。詰めて座ってその隣に闘真が座り、前に闘真の彼女である猿川綾香とその親友である犬山さんが座っている。


 犬山綾香。

 ショートカットした暗めの茶髪に、ヘアバンドをしている少女。

 顔立ちは整っているが、蛇原や志々目などの美少女程ではない。

 クラスに何人かいそうなかわいい子。

 特徴といえば闘真の彼女といったところぐらいである。


「ねえ佐藤くん、よかったらここ教えてくれない? 先生の話つまんなくて寝ちゃっててさ」

「え? 僕よりも闘真に教えて貰ったら? 闘真の方が成績良いよ?」

「ダメよ。コイツ天才肌で何言ってるか全然分かんない。佐藤くんの方が頭いいよ」

「え?分かりやすく説明したろ? アレで分かんねえのか?」

「アッハッハッハッハ! ……ねえコイツ殴っていい?」

「ま…まあまあまあ! 本人悪気ないんだから!」


 こうやって親友とその彼女とその親友と楽しそうに話すのが真名の日課。

 そして、ソレを恨めしそうに2人の美少女が睨むのがいつもの光景だ。

 これだけならいつもの光景。

 特に気にすることなんてない……。


「ッ!? まぶし!?」


 突如、強烈な光がバス中に照らされた。

 真名は咄嗟に目を手で覆い、光から視力を守る。

 何があったのか真名は一部始終見ていた。

 真名は動体視力と反射神経に優れ、この一瞬で何が起こったのか理解しているのはこの場で彼だけである。


 突如、白く光る幾何学模様が現れ、金縛りにあった。

 文章にすれば意味分からないが、目の前で起きたのだから仕方ない。

 紋様――魔法陣によって引き起こされた超常現象。

 誰よりも早く気づいた真名の動きは早かった。


「皆、バスから出ろ!!」


 大声で叫ぶ。

 魔法陣はまだ全体には広がっておらず、中央部にしかない。

 超常現象の原因が魔法陣なら、その範囲外にいる生徒が金縛りになっている可能性は低い。

 目が慣れたので腕を降ろして瞼を開く。

 何か、この状況を打破する手段があるかもしれない……!


「……ックソ!」


 魔法陣は、既に全体を満たすほどの大きさに拡大していた。

 悲鳴を上げる生徒達。見るまでもなくパニックしているのが分かる。

 同じくバスに乗車している教師も出るよう言っているがもう遅い。とっくに真名が言っている。

 だが、それでも真名は諦めない。


 水筒の水を掛けて魔法陣を消そうと試みる。

 無駄。

 すぐさま蒸発してしまい、魔法陣は全く消せていない。 


 再び、魔法陣が爆発したかのように輝く。

 窓の外からでも分かる程の強烈な光が教室中に溢れ、生徒たちの意識が一瞬だけ途絶えた……。









「生きているか真名」

「うん、ちゃんと意識もあるよ」


 親友と軽口を叩きながら、真名は持ち前の動体視力で生徒が全員揃っているか数える。

 バスにいた生徒はちゃんと全員いる。全員呆然としてたり動揺しているようだが、怪我している者もいないようでホッと胸を撫で下ろした。


 次に目を向けたのは巨大な金の像。

 豊満な肉体に優し気な微笑みを浮かべる女神像だ。

 しかし何故だろうか、真名はその像から何か奇妙な悪寒がした。


 どうやらここは寺院らしい。 

 木造の柱には仏像か神の像かよくわからない彫刻が掘られており、天井には大きな梁が見える。

 かなり大きな寺院であり、中から見てもかなり圧巻だ。

 真名たちは奥にある台座のような場所の上にいるようだった。数段ほど差がある、

 寺院は二階まで吹き抜けており、上の階から武士らしきものがこちらを見下ろしている。

 中でも目立つのはその中心にいる戦国時代のような鎧を着こんだ老人である。

 の老人は寺に響く程の大声で話し始めた。


「煌皇国《すめらぎこうこく》へようこそ勇者様方。我ら煌皇国民はあなた方を歓迎致します。

 私は大将の地位に就いております申す者、名をボリス・オカトフ。以後、宜しくお願い致します」


 ボリスと名乗った老人はニコリと微笑を、しかし目は笑っていなかった。


転移する前、我が主人公は少し抵抗を見せました。

いや、普通いきなり訳の分からない事件に巻き込まれかけたら何とかしようとするでしょ。

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