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みんながSになるくらいの女の子

「はい!!今日の練習は終わり!」


「「「お疲れ様でした!!!」」」


部員の掛け声とともに練習が終わる。


続々と部員が用意された飲み物を飲んでいく。

私もそれに続き飲んでみた。


市販のものより、

糖度が薄くなっているので口当たりはちょうどよい。




この後授業がある部員がほとんどだから、

糖度を抑えて眠くならないようにという配慮のもとの飲み物だ。



「さて・・・・」




私は授業がないからこの後は大学のカフェにいってコーヒーと

ベーコンレタスサンドを食すのがルーティンになっている。


カフェに行こうと思い、

更衣室に忘れ物を取りに行こうとすると、

体育館の廊下の端の方にある自販機の物陰から何やら声が聞こえてきた。



「あんたさ・・・そういう服きてさ。りょーちゃん様を誘惑でもする気?」


「下心丸見えなんだよ。」


「まじさ、お前のその牛のような胸はさ、ダンスするには不向きだからさ、グラビアでもやったら??」


あれは、りょーちゃんの取り巻きを自称している、ケイの一派だ。


「べ、別にそんなつもりは。」


囲まれているのは、エリカだ。


確かにあの胸元を強調する服装は同姓から見ても、非常に刺激的に感じる。


ただ、エリカはいつも何かと目の敵にされている。



今日はちょうどやり玉にあげやすい外見をネタに難癖をつけられているところか。


エリカは、ダンスの筋もいい。

見た目もいい。


ただ、人付き合いが苦手なのか、

こうやって目の敵にされることが多い。  



そして言い返すこともできないのか、

こうやって黙ってやり過ごすことが

彼女なりの処世術になっているのか我慢することが多い。


ダンス中もしばしばいやがらせを受けることが多い。



私はどうするか決めかねていた。



助けてもいいのだが、エリカになつかれてもそれはそれでちょっと面倒くさそうなのだ。



ただ、エリカはダンス部の躍進に必要な人材だと感じている。

ここらで病まれて、退部にでもなったら損失は大きい。


いや。

こんな打算的な考えは後付けである。

そう考えながら私はすでにその取り巻きに近づいていたのだから。



「おう、ケイちゃんの一派かな??エリカさんもご一緒ですか。仲がようござんすねえ。」


「あ?なんだ・・・・ああ。ルナさん」


「そう、みんなのルナさんさ。」


えへんと胸を張る。


「いや、誰がみんなのルナさんですか・・・・」


「ええ!!違うの!?だって、あんた私のこのナイスバディをよくちらちら見ているじゃない

!」


「はあ!?なんで私が・・・・」


取り巻きの一人は相当焦っている。


他の取り巻きが私と絡んでいるやつをじとっと見ている。


「今の話は本当なの?」


「場合によっては、ケイ様に報告を・・・・」


「いやいや!!違うから!!私は・・・・」


軽く仲たがいが始まる。


そこですかさず茶々を入れてみる。


「えー、他の人たちも同罪じゃない?だって聞いたよ?」


そういって、スマホで録音した音源を再生する。








「あんたさ・・・そういう服きてさ。りょーちゃん様を誘惑でもする気?」

「下心丸見えなんだよ。」

「まじさ、お前のその牛のような胸はさ、ダンスするには不向きだからさ、グラビアでもやったら??」






そこで音源は止まる。


「これをケイが聞いたらどうなるかなあ??みんなエリカの胸に夢中になって体育館の脇に追いやって今にもくんずほぐれつしようとしていたと報告したら?」



「ちっ・・・・・」


取り巻きの一人が舌打ちする。



「あれえ?先輩に舌打ちはよくないなあ・・・・自分の性欲が満たされないからイライラするとかさ・・・。やっぱりケイにしっかり指導してもらった方が・・・・」



「ひい!!それだけは・・・・・くそ!行くよ!」



そういってエリカを囲んでいた包囲網は解かれた。



「大丈夫かい?エリカ?」


「あ、ありがとうございます・・・・。」


エリカは少し弱っているように笑っている表情を見せる。



しかし、少し怒りというか何かしら負の感情がまとわりついているような表情を見せる。


こういう反抗的な顔と普段の頼りなさそうな表情ギャップが

部員の加虐心を刺激していることが自覚できればすこしはいじめもなくなるだろうに。



「で・・・では・・・・・」


「まあ、待ってよ。エリカは次は授業かな?」


「あ・・・いえ・・・とくには・・・・今日は午後まで何もないので一度家に帰ろうかと・・・・」


「そうなんだ。実は私も暇なんだけど、、どう?カフェでベーコンレタスサンドでも食べにいかない?」


「は・・・はあ・・・・・。」



エリカは目がこれでもかと泳いでいる。

軽くパニックか。



「いや、特に他意はないのよ。暇だから話相手が欲しくてさ・・・おごるからさ。ね?」


「はあ・・・・じゃあ・・・お言葉に甘えて・・・・。」


特にエリカと話しをしたいわけではないのだが、

こういうメンタルケアも必要な気がした。



だって、そうやって、

私はこのダンス部に貢献したいと思っているから。


「じゃあ!行こうか!!」


「わ!」



エリカの手を引いて歩く。

エリカは顔を赤くしながら、もじもじして歩いている。


こういうところだよなあ、Sゴコロをくすぐるエリカの仕草って。


「うん?」


更衣室の方から物陰が見ていたような気がした。


「気のせいかな・・・・?」



「あ・・あの・・・」


「なあに?」


「あそこの、、ベーコンレタスサンド・・・早くいかないとなくなってしまいますから。」



「お?エリカも好きなの!?じゃあ早く行こうか!」



視線は気になったが、エリカの以外と乗り気なのを見て

歩みを早めることにした。

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