牛の首

「牛の首」　器のみ

知りし者　無為に死す

牛のごと　口ふたぎ

文(ふみ)の主　呪いやれ

突きの隙　誤って

不意の弓　受けたれば

苦地(くち)の尽(つい)　生の果て

無期の土　回帰へと

繋がりは　断ち切りて

ただ独り　死にゆかん

憂しの句碑(くひ)　打ち立てて

倦むことも　軛(くびき)なり

意思背き　繋がれて

一方向　首揃ふ

吾こそは　安寧と

嘯(うそぶ)くも　意味無けれ

風聞は　音尖り

被疑被害　連鎖して

既視の罪　身に戻り

死地の悔い　幾重にも

血に乘る死　抗えず

切り取る詩　遺りもせず

知己の死期　決める夜話

知る者も　問う者も

縊死の髄(ずい)　垂れて散り

形成(かたちな)す　「牛の首」