合同訓練―2
「Hunter01、配置完了」
〈Command02、了解〉
戦場で名前は呼ばない。ここでは、私は奇襲班のHunter01として動く。ヘッドセットから聞こえるCommand02の声は指揮官のルイーゼだ。そして訓練開始の合図としてサイレンが鳴り響く。
訓練場の最北部にある塔が2組の――防衛側の司令部だ。そこを目指して南から侵攻してくる5組を迎え撃つ。私は訓練場の中央部から南西方向に進んだ所、背の高い木の中にいる。枝葉が多いので遠目からだと身を隠せているが、近づかれたら見つかるかもしれない。そこから目視で敵を探す。他の奇襲班のメンバーはバディで行動するが、私は1人だ。理由は単純に奇数人数だったことと、私が体力バカかつ速いせいで付いていける仲間がいなかったことだ。ルイーゼの苦肉の策、決断だったと信じたいが、初めての団体訓練なのにソロとは悲しいではないか。
気を取り直して、南に広がる無彩色の訓練場を注意深く見渡す。
30分ほど経っても、人影は見えないし、司令部から何の連絡もない。不審に思いながらも、定時連絡を入れる。
「Hunter01から定時連絡。配置場所から変わらず索敵中。敵影は見えない。動きはあったのか?」
〈Command02からHunter01へ。引き続き、待機と警戒を。敵全員が敵司令部から動いていない。同様の報告と魔力探知により確認している〉
「Hunter01、了解」
どういうことだ。まさか、今更作戦会議でも開いているのか。それとも仲間割れでもしたか。今回の訓練のように攻防分担がされているから、防衛側は侵攻しないけど、本物の戦場だったらどうなっているか分からない。まさか罠?あちらも魔力発生装置を使ったのか。
そこへ、通信音が入る。
〈Command02からHunter01へ。単独任務を命令する。敵司令部へ斥候として赴け。敵に動きがあった場合は引き返してもらう〉
「Hunter01からCommand02へ。……1人で?」
〈あんたならできる。Hunter01へ、健闘を祈る〉
「……Hunter01、了解。任務開始する」
おいおい、ルイーゼ、何を命令してるの!おそらく彼女の独断ではなく、指揮官2人で考えた結果だと思うけど、これから何をしでかすんだ。逆に攻めるとか言わないよね。まぁ、ただ敵司令部を視察するだけで、後は防衛に徹すると信じるが。信じたいが、あの子の性格だと、報復とか考えてないよね。後が怖い。
奇襲と斥候とでは、隠密行動という点では似通っているかもしれないが、私は斥候なんぞ想定してなかった。だから、それっぽく隠れて情報収集しなければならない。ようは見つからなければいいと考えて、行動するしかない。全くもって無茶な命令だ。
幸い、私は魔力探知されないし、5組の司令部は見晴らしのいい塔ではなく、倉庫のような見た目の平屋なので、木の上や物陰からの見張りがいなければ、近づけるだろう。なるべく最短ルートで、急いで敵司令部に向かう。魔力探知によれば敵全員が一箇所に留まっているので、移動中の警戒は最小限にスピード重視で進む。5組は全員魔法が使える上、今回用意された魔力探知の装置にも検知される基準値の魔力量を持っている。だから探知を妨害されない限り、全員の足取りを追える。妨害装置は市場に出回らないし、軍事利用目的でとても高価で貴重だ。使ってないと考えるのが妥当だ。
10分ほど走ったところで、敵司令部が見える物陰に落ち着く。周囲を見渡し人影がないことを確認して、連絡を入れる。
「Hunter01、敵司令部の近くに到着。人影は確認できない」
〈Command02からHunter01へ。依然、魔力探知は敵司令部内に複数の魔力を確認している。そこ以外で、味方以外の魔力は探知していない〉
「Hunter01、了解。これより、敵司令部内を偵察する」
さて、本格的な行動開始だ。まず、敵司令部である建物の内部構造だが、同じ広さの部屋が3つある平屋のはずだ。曖昧なのは地図を覚えるのに必死で、建物内に入ってないし内部構造などはちゃんと覚えてないからだ。しかし窓がいくつかあり、なぜか数箇所は開いている。まぁ、今日は風が気持ちいいしね。
建物へ足音を立てずに近づき、それほど高さのない窓の下に身を寄せる。もちろん開いている窓だ。その窓は磨りガラスで全開しているわけではないが、影が映り込まないよう注意して聞き耳を立てる。すると、思ったよりも大きな声が複数聞こえてくる。内容は愕然としたが。
「ねえ、ずっと帯状に敵が並んでるんだけど!しかも、数えた感じ50はある!20人どこから呼んだの⁉︎」
「教官に規則違反だって進言しても、違反してない、しか返されないんだよ!」
「30も50も変わらないだろう!早く倒しに行こうぜ」
「ダメだって!倍の人数なんだから、ちゃんと計画的に行動しないと」
「その計画が全然決まらないじゃないか!」
「だったら、考えるの手伝ってよ!」
「だから、正面から叩けばいいだろう?数の差より、実力差で潰せばいいじゃん」
「正面にぞろぞろ行って、完全に囲まれたら終わりだ。実力差はあっても、限度があるだろう」
「……囲まれる前に、やれば」
「それを考えようとして、口を挟むのはお前たちだろう」
5組について調査した時、それぞれの教科で成績上位の人が何人かいた――つい5日前に定期試験の結果が張り出された――こと、あまり協調性がなく個人主義の者が多いことが分かった。しかし、ここまでとは思わなかった。あちらの議論も終わってないし、どう報告したものか。なんなら、煙幕を室内に放って手刀で倒していこうか。それか催眠魔法が使えたら、全員を眠らせることができて楽かな。
とりあえず状況だけ報告しよう。窓から少し離れ、小声になる。
「Hunter01より、偵察報告。1つの窓から室内を視認できる限り、20名を確認。その室内では作戦会議が開かれていた。これより残りの部屋と10名を捜索する」
〈Command02よりHunter01へ。話し合いの内容は?〉
「……前線で50の魔力を探知したことに、……驚き、攻め方を話し合っていた」
〈……了解。Hunter01は偵察続行〉
「Hunter01、了解」
本当は複数人の斥候が、部屋を見張ったり人を探したりすべきだが、生憎私は1人だ。他の窓を確認しよう。
今ほど観察していた大声の聞こえる窓からさらに離れ、壁を伝って右回りに進みながら開けられた窓を探す。建物を半周し、最初の窓があった壁から反対側に到着し、ここでも開けられた窓を見つける。ほんの少ししか開いてないので、室内の様子を見るのは容易ではなさそうだが、もう一度聞き耳を立てる。
「……退屈」
「待機命令だ。待つしかない」
「50分経ったのよ。いくらなんでも、様子見とかさせて情報集めるくらい思い付くでしょう」
「会議室に行って、レイナがそう提案すればいいじゃない?少なくとも、ここでグダグダ言うよりはマシじゃん」
「マリン……あっちから大声、聞こえるでしょう。行っても無駄よ。私、徒労に終わるのは嫌なの」
「レイナ……」
「ていうか、30人に対して指揮官は3人で十分だろう。なんで20人も頭揃えて、脳味噌使ってるんだ?教官の授業、忘れっちまったのか?」
「我がクラスメンバーは意識が高いからか、指揮官候補者が20人になった」
「その指揮官選出に10日かかったのは、お前も覚えているだろう?あの時の教室の空気はサイアクだった」
「命令に動かされるのは、組織の9割だろう?さぞ競争と頭脳戦が、お好きなんでしょうな。ボクには理解できない」
「……退屈」
「おい、アルダール。お前は鳩時計か!3分おきに言いやがって」
「……退屈で、寝そう」
「間違っても授業中だ!寝るな!」
この部屋には10人いる。5組全員30人を確認できた。しかし、逆に5組が動くのか心配になってきた。とりあえず残った正面玄関を偵察してから連絡を入れよう。
また壁伝いに移動し、玄関扉の横に止まる。万が一、人が出てきたらまず口を塞いでから気絶させよう。私が立ち止まった所の真上には、全開になっている窓が1つある。3回目、最後の覗き見をする。
そこに、人はいなかった。玄関ホールと思われる小さな空間と、そこから室内に続く2枚の扉、そして謎の物体が鎮座していた。いや、“謎”ではなく、教本で見た覚えがある。
工学の授業?違う。記憶の中では、ぼやけた線で輪郭が描かれていた。
あれは、そう、世界史の教本の中程のページ。予習でサラッと読んだところだ。
小規模爆発の時限式爆弾。
魔法の使えない民族が多く住む東大陸で使われるもの。点火して数秒後に爆発し、周囲に熱と破片と衝撃をもたらすもの。
あれを、使おうとしたのか?ここセルヴィア王国がある西大陸では、普通お目にかかれない。だが貿易が盛んなこの国では、商人や珍しいものが好きな貴族が持っていてもおかしくない。用法用量を守るなら火薬は一般家庭でも使われるくらいだ。
すぐに報告を!爆弾など見間違いのほうがいい。しかし、本物なら小規模でも危険度は高い。建物から離れ、ここに来た時の物陰に隠れる。
「Hunter01より、偵察報告。建物内に敵30名と、時限式爆弾を1つ発見。大きさは人の頭ほど」
〈Command02よりHunter01へ。爆弾の詳細を〉
「実物を初めて見たので不確かだが、魔法道具ではなく、火薬を使った東大陸の物と思われる。……世界史の教本に載ってた」
〈Command01よりHunter01へ!それは、東大陸で鉱山発掘や戦争に使われている爆弾のことか?威力は中級魔法以上だぞ!〉
「……おそらく」
〈つまり、敵全員がいるその建物内で爆発したら、防護障壁は解除され戦線離脱。2組の勝ち、ってこと?〉
〈……っ、ルイーゼ!これは訓練だ!爆発規模が不明な物を、ここで使う訳にはいかない。マーガレットを危険に晒す〉
〈……冗談よ。Command02よりHunter01へ。教官に報告する。指示があるまで待機〉
「Hunter01、了解」
ルイーゼの判断は戦場では最適解かもしれない。もし味方1人が重傷を負ったとしても、30の敵を屠れるのだから。しかし、今は訓練であり、敵役と言えど5組の30人は同じ訓練生、仲間だ。フェルナンドの判断が正しい。
通知音がする。思ったよりも早い。
〈教官のジズだ。2組のハウサで間違いないか?〉
「……、はっ。間違いありません」
どういうことだ。教官自ら連絡するとは。
〈君の目の前の建物、そう敵司令部。そこで発見した爆弾に点火しろ。私からの指示だ〉
「……できません」
〈なぜだ?担当クラスが違えど、教官からの指示を無視すると?〉
「……訓練中と言えど、指揮官以外からの命令は遂行しません。私は待機中であり、指揮権の移行は確認しておりません」
〈……よし、及第点だな。その指揮官からの指示を待て〉
〈Command01より各位。敵――5組が、合同訓練における禁止事項に抵触した。各位、警戒態勢を解き、司令部に集合〉
終わったのか。60分も緊張状態で、じっとしていたクラスメイトは大丈夫だろうか?早く司令部に戻ろう。走っても20分はかかるから、みんなとは遅れて到着するけど、みんなの顔を早く見たい。
指示を受けてすぐ、その場から離れたので私の耳には届かなかったけど、敵司令部である建物からは、悲鳴にも怒りにも聞こえる声が漏れ響いたそうだ。なぜ負けたのか、と。
走って走って、ようやく司令部に到着する。塔の出入り口に人影を見つけ、その人物から声をかけられる。
「お疲れ様!君が最後だよ」
「……トーマス!ありがとう、急ごう」
「走りっぱなしだっただろう?歩きながら息整えて。すぐに話し合いだから」
「分かった。3分で整える」
私は宣言通り3分で息を整えると、塔の最上階――5階に向かう。ここから指揮官2人が指示を出していたのだ。足音に気付いていたのか、部屋への扉を開けた途端にたくさん声をかけられた。教室と同じくらいの広さに、2組全員とアズリスタ教官が部屋で待っていた。
「全員揃ったな。埃っぽいが座るといい。発言する時だけ、立ってくれ」
一応床の上だが、野外で座っていいと教官が許可するなど初めてだ。みんな少し困惑しながら、その場に腰を落ち着ける。
「まず、2組にとっては不完全燃焼かもしれないが、勝敗は付けない。理由は聞いての通り、5組が禁止行為を行ったからだ。それに加えて、訓練学校の外部で購入した物、かつ学校内に持ち込み禁止の物を、ここ――訓練場に持ち込んだという校則違反にも当たる。搬入経路は調査中だ。では、指揮官2人から今回の作戦の評価を」
「はい。みんな命令を忠実に遂行していました、と言っても待機だけですが。マーガレットにだけ斥候の命令を出しました。ここは私たちの判断ミスで複数人で敵状偵察に行かせるべきでした。1人に負担が大きくかかってしまうのは、戦場でも人間関係においても良くないことで編成を見直すべきでした。マーガレットは期待以上のことをしてくれました。あとで彼女のことを労ってください。私からは以上です」
「彼女に補足します。魔力発生装置は問題なく動き、敵を混乱させました。そのせいで敵――5組は侵攻するのを躊躇したようです。ここまでの作戦は成功していたと、僕は感じます。以上です」
「2人とも座れ。今回のレポートだが、文字数は変えずに課題を追加する。追加課題は“配属希望先とその理由”だ。元の課題“今回の訓練での自身とクラスの行動の評価”に付随した理由でも構わん。……さて、5組と合流する前に質問したい者は?……クラレンス」
「はい。話に出た持ち込み禁止の物は、何だ?あ、いや、何でしょうか」
「クラレンス、言葉遣いは卒業までに直すよう努力を。まあ、気になって探られるのも困るから言おう。ただし他言無用で、話題にも出さないように。爆弾、を偵察中だったハウサが発見した。幸い被害はない。これ以上は調査後に話す。良いな」
「「「はい」」」
「では、質問はないな。……30分後、装備を脱いで授業開始時と同じ場所に集合するように。解散」
装備を脱ぐ時間を考えたら、急いで行動したほうがいいな。そう考えて立ち上がると、名前を呼ぶ声が聞こえ、誰かに背後から抱きしめられる。柔らかい感触と嗅ぎ慣れたシャンプーの匂いに、ルイーゼだと確信する。え、こんな可愛いことする子だっけ?
「ちょっ、ルイーゼ!」
「背中がガラ空きよ、Hunter01!」
「なんで、その呼び方なの!今日は終わったでしょ!」
「なによ、カッコよかったのに。一番の功労者め、あとでお菓子大量に送ってあげる」
「うわ〜、お菓子はダメ!身体作りに影響出るから。それより移動、早くしないと」
「はいはい。照れ屋なんだから」
「照れてない!」
うわ、なんか生温かい目でみんなが見てる。多分ルイーゼの珍妙な行動を見てるんだ。私に注目してないはずなのに、自分の体温が上がっていくのを感じる。
そのままルイーゼを引き摺るようにして塔の階段を降り、装備を脱ぐために倉庫へ急ぐ。遅刻すると文句を言いながら、装備を元あった場所に戻し、集合場所に小走りで向かう。列に加わったのは5分前だった。
「本日はご苦労だった。明日一日予定されている合同訓練も実施する。改めて規律に遵守した行動を心掛けるように。本日はこれにて終了、解散」
「「「はっ」」」
結局、午後の2時限分で予定されていた合同訓練は4限目を残して終了した。時間がこんなにあるなら、やることは一つ。
「ルイーゼ!4限目の時間にレポート書いちゃおう」
「私はいいけど、シャワーとかいいの?」
「どうせ放課後に体動かすから、後回し」
「あんた、あんなに走ったのに足りないの?」
「授業と自主トレーニングは別でしょ。ほら、教室行こう」
「はぁ、全く元気ね」
私たちの会話を聞いていた一部のクラスメイトも一緒に教室へ移動し、レポートをまとめた。記憶がはっきりしているうちに書くと、終わるのも早い。全員終わる頃にはお喋りに変わり、今日の私の活躍と明日午前の訓練の話になっていた。明日は何事もなければいいのだが。
4限目終了の鐘が鳴り、いったん部屋に戻った後トレーニングのためにグランドに出る。そこからいつも通りランニングと、開放されているトレーニングルームの機器を使う。夕食にはまだ早いくらいの時間になったら、シャワーで汗を流す。部屋に戻れば、夕食までの時間で勉強するルイーゼがいる。いつものルーティンをすると、3限目の訓練の記憶が薄れていきそうだ。
「ルイーゼ、お待たせ。ごはん行こう」
「もう、そんな時間か。片付けるから待っ
てて」
「はーい」
食堂で夕食を食べたら、部屋で授業内容の復習を2人でするのが日課だ。今日もしようと思ったが、座学がなかったので明日の話になる。
「明日は2組が攻撃側だけど、今日の感じだと出たとこ勝負になりそう?」
「正直、相手が攻めてこなかったのは痛かったわ。実力が分からないもの。集めたデータが頼りにはならないと思って行動しましょ」
「……今日みたいに5組が仲間割れしなきゃ、明日の勝負は分からないね。あんまり話さないほうがいいけど、あそこまで仲が悪いとは思わなかった」
「まぁクラス分けは失敗した、って感じはあるわね。典型的な貴族主義の家柄の子、親が成り上がりで自信のある子、気位の高い騎士一家の子。それが見事に集まったクラスだから、衝突が多いのはよく聞くわ」
「改めて聞くと、メンバーの偏りがすごいね」
「そんなクラスだけど、クラス内でできたカップルは二組もいるそうよ。すごい気にならない?」
「ルイーゼは恋人が欲しいの?可愛いんだから、声かければすぐ作れそうだけど」
「うーん、欲しいかもしれないけど、今は違うかな。それよりもあんたのことよ、マーガレット!あんたも可愛いんだから、作れるわよ!」
「いやいや、言ったでしょ。まだ恋人はいらないって」
「でも結婚願望はあるんでしょ?そうやって、訓練生時代は勉強が、新兵時代は任務を、昇進したら部下を、引退したら教官に、って忙しさに感けて、恋人を作れないで一生独身になるのよ」
「うわー、あり得る未来、やめてー」
「だ、か、ら。モテ期が来ているうちに捕まえなきゃダメなの。あんた、鈍いわけじゃないんだから気付いてるでしょ?」
「そりゃ、まぁ。好意は持ってるのかな〜、とは感じるけど。恋愛初心者なので、確信は持てないです!」
「これは落とすのが大変そうね」
「そういうルイーゼは、好きな人、はいないの?」
「好きかどうかより、出世に有利かな、って思う人は何人か。2組だと、フェルナンドだけなのよね」
「私の想像より仕事一筋だったのね、ルイーゼ」
「ほんとは独身希望よ。家が面倒なのよ。結婚せずにいろいろ邪魔されるより、従っているように見せたほうがマシ」
「……結婚する人、わかってくれる人だといいね」
「そうね」
セルヴィア王国は西大陸の中でも比較的、魔法を使える者が多い国です。隣国に魔法大国があります。
逆に東大陸の人族は魔力を有していない者が大半です。そのため魔法以外の技術が発達し、爆弾もそのうちの1つです。