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超弦天使 レヴァネーセス ~ 夏に降る雪  作者: 風風風虱
epic 13 ハンプティダンプティ
97/104

① 動き出した時間

「《0020》の場所を探査して」


 摩耶はまず《0020》の位置特定の指示した。


「《0020》 見つかりません」

「見つからない? 良く探して。

また、地下に潜ったのかもしれないわ。

地震計の方を調べてちょうだい。

スカウターは双美市上空で情報収集」

「怜奈たちを突入させる?」

「いえ、ダメよ。状況が分からないのに突入させても大怪我するだけだわ」


 美琴の言葉を摩耶は却下する。


「酷いわね」


 スカウターからの映像を見て、摩耶は呟いた。街の中心の建物が軒並み倒壊していた。


「これは…… この円形の被害状況を見ると、どうやらSSIBが使われた見たいですね」


 妙高山が呟いた。


「飛天、確認!」


 爆心地と思われる地点に青いカラーリングの飛天が倒れているのが映し出された。


「あれは、第3中隊の飛天ね。誰の飛天?」

「識別コード照合中…… 0320302 ユーマ」

「ユーマ? 名取2尉の……でも、あれRB(レッドブラスト)じゃない。第3中隊の中隊長(レッドブラスト)は長良1尉でしょ」

「はい、そうですが、識別コードでは確かにユーマとなっています。

後、ユーマの近くに所属不明の機動歩兵を確認しました」


 スクリーンが拡大され、青い飛天の横で同じように倒れている黒い機動歩兵が映る。


「見たことのない機体……」

「12(ひとにい)式機動歩兵 戮天です」

「戮天?

すると、あれが噂の第2世代機動歩兵……」

 

 妙高山の言葉に、摩耶は興味深げに黒い機動歩兵を見つめた。飛天より二回りほど大きい。機密情報として名前だけは知っていたが実物を見たのはこれが初めてだった。

 

「第3中隊から連絡が来たわ」


 不意に通信が割り込んだ。(ぬし)は玲奈だった。


「第3中隊が《0020》を撃破したそうです」




「こちらER-01。今、搬送者2名を乗せた。離陸許可を願う」

「了解 ER-01。離陸を許可する」


 搬送者の一人は名取由真2尉。シナプスリンク過負荷による重度の神経網炎。もう一人も同じ。こちらの程度は軽いらしいけど、問題なのは民間人、それも未成年だと言うことだ。

 サブスクリーンに映る離陸するヘリコプターに摩耶は軽くため息をついた。


「最上真一って名前らしいわね」


 後ろからぬうっと美琴が現れた。


「らしいわね。 正直、誰よ? って感想よ」

「完全に査問会事案ね」

「覚悟してるわ。

初めての連続侵食。

初めてのカテゴリー5。

大規模コクーン。さらにそのコクーンの破壊。

初物づくしで胸焼けがするわ」

「どれ一つとってもお立ち台に充分よね。そりゃため息もつきたくなるわ」

「ええ、ええ。そうよ。

でも、そんなのはどうだっていいのよ。

私が落ち込んでるのはそんなことじゃないわ」


 摩耶は言葉を切る。視線の先はハンターから送られてくる双美市内各地の映像だった。


「コクーン内で発生したデモナイゼーションのこと?」

「……正直、この惨状を見ても未だに信じられない。そんなことってある?」

「さあ、私たちはDDについては知らないことばかりだから。

それに、それが事実かどうかを判断するのは私たちではないわ。

もっと上がやることよ」


 美琴の言う通り、デモナイゼーションについての審議が摩耶たちの遥か上の方で行われていた。


「はい、はい。分かってますよ」


 摩耶は口元を引き絞ると自らに気合いを入れるように大声で指示を飛ばした。


「双美市内を全域退去区域に指定。

第3防衛態勢に移行。

第32特務大隊は第41師団と連携して市内を探索して負傷者の救出をすること」

「了解」


 摩耶との通信を切ると玲奈はすぐに各中隊長との回線を開いた。

 第1中隊長、箕輪桃子1尉。

 第2中隊長、朧月美佐緒3佐。

 第4中隊長、川内優子1尉。

 第3中隊長が占めるべくフェイス画面がブラックアウトしていることをあえて無視して、命令を伝えた。


「負傷者の探索、救助は41師団に任して特務大隊はハンターによるカテゴリー1の排除を主任務とします。

各隊と連携する41師団の連隊を伝達します。

第1中隊は……」


2021/09/19 初稿

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