⑭ 結界、再び
「火器管制メニュー オープン……
20mm機関砲R、L」
真一は数時間前に教えてもらった手順を必死に思い出す。スクリーンに射撃マーカーが表示される。それは真一の視点に連動している。
「目標 ロック 対空射撃 オート! 」
左右の大腿部に装備されている20ミリ機関砲が唸りをあげ、《0020》に銃弾を叩き込む。
全てフィルタで弾かれるが、それでも弾幕がDDの動きをそれなりに抑制する。
「いいよ! 真一! 距離とって」
「爆発まで43秒」
「エネルギー反応急速に増加 来ますよ」
《0020》の目が発光する。
「避けろ!」
由真の絶叫とビームが発射されるのはほとんど同時だった。真一も必死に避けようとしたが、体がどうしても残った。右半身が光に包まれる。
「ジョーカー 被弾 FC 195」
「爆発まで 32秒」
いける!
FC残量と爆発時間を素早く計算して由真は勝利を確信する。踊り出したい気分だった。あまりの興奮に自分が真一を呼び捨てにしていることにすら気づいていない。
「真一、良くやった! あと少し。
10秒切ったらカウントダウンするから、タイミングに合わせて……」
キュロロロロロ
地面に伏せろ、と言おうとした由真を遮るように《0020》が咆哮した。
「結界発動!」
「な、なんですって?!」
「SSIB 起爆シーケンス……リ、リセット」
電子化無効化結界はさっき使ったばかりではないのか? なんで発動する?
由真は混乱する。そして、はっとなった。
無効化結界が連続して使えないなんてなんで言えるのか?
それが単なる思い込みであることに思い当る。そして、そこから導き出される結論は……
「エネルギー反応 上昇」
「……っは! し、真一、回……」
動揺のため、由真の回避命令が遅れた。ジョーカーが光の奔流に包まれる。
「ジョーカー 被弾 FC 151」
「ああ、ごめん。真一君、大丈夫?」
「大丈夫です。まだ、行けます」
由真の問いに真一は意外に思えるほどしっかりした声で答えた。
「起爆シーケンス 再起動 180秒待ってください」
工藤の言葉に由真は軽い絶望を覚える。振り出しに戻っている。これから爆発まで退避時間を入れて6分。今の真一に、それまで相手を引きつけておくことなど不可能に思えた。いや、そもそも6分で爆発するとは限らない。途中でDDが無効化結界を使ったらまた、最初からやり直しになるのだ。つまり、この作戦計画が最初から破綻していたのだ。
どうする? どうすれば良いの?
「こちら最上です」
声が割って入ってきた。
「今、起爆装置のところに戻っています」
はあ、はあ、と荒い息をしながらの声。おそらくは退避中に電子機器無効化結界が発動したのを知って、慌てて階段を駆け上っているのだろう。
「私に考えがあります」
早苗はそう言った。




