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超弦天使 レヴァネーセス ~ 夏に降る雪  作者: 風風風虱
epic 11 夏に降る雪(前編)
86/104

⑥ 無理押し ごり押し そして、押す

 ガコン ガン!

 

 葵は怯むことなくスラッグ弾を撃ち込む。

 残り800メートル。


 事ここに至ればもう殴りあうだけだ

 先に根を上げたほうが負けよ!


「エネルギー反応 再度急上昇!」


 《0020》の目がギラギラと光始める。


「させるか!」 


 一声吠えるとスラッグ弾をDDの額に撃ち込む。


 バシュン


 当たった瞬間、《0020》の上半身がエビぞる。ほとんど同時に光学兵器が放たれる。光の奔流が虚しく垂直に伸びていった。

 

「おおおおお!」


 葵は腹の底から声を出しながら、スラッグ弾を連射した。




「よし、追い付いた」


 パイロットルームで由真は思わず呟く。

 ハウンド01(ゼロワン)02(ゼロツー)のモニタ画面に早苗が運転する車を捉えた。2体のハウンドはすぐに車の横を並走する。由真はマイクで早苗に声をかけた。


『無茶は止めてください。あなた一人でDDにどう立ち向かうつもりですか』

「……ご、ごめんなさい。でも、一刻も早くSSIBを起爆させないと真一の身が危ないのでしょ?」


 ハンドルに覆い被さるようにして車を運転していた早苗が叫んだ。


『気持ちは分かりますが、無茶をするのは止めてください。DD相手にどうするつもりですか?』

「……いえ、ご免なさい。なにも考えてませんでした」

『いいですか、SSIBの起爆はお願いしますが、今後は私たちの指示に従って、勝手な行動は絶対しないで下さい』

「……はい。分かりました」


 早苗は反省したように小さな声でそう答えた。

 

 それから数分して、早苗たちは目的地に到達した。早苗は車を降りてビルを見上げる。

 左右にハウンドを付き従えていた。


「このビルで良かったかしら?」

『いいです。このビルの6階です。エレベーターはもしもの時には身動きとれなくなりますので階段を使います。

ハウンドを1体先行させます。

最上さんはもう1体から絶対離れないで下さい。あなたを失うわけには行きませんからよろしくお願いいしますよ』

「分かりました」



『01を先行させます。最上さんはここで待機してください』


 6階フロアの手前の踊り場で由真は言った。早苗は無言で頷いた。


「工藤さん、6階の状況を教えて。DDはどの辺にいるの?」

「すまん、さっき監視カメラの外に出たっきり戻ってきてなくて、位置が特定出来ない」

「じゃあ、カメラから外れた場所を教えて」

「その階段を上りきって、右手の廊下を言ったところだ」

「了解」


 由真は工藤の言葉に従い01の歩を進めた。右手の廊下を進むとすぐに突き当たった。突き当たりにドアが一つあった。マニュピレータを使いドアを開けると螺旋階段が上に向かって伸びていた。


 屋上への階段……

 屋上にいるってことかしら?


 階段を上り、屋上へ出た。

 屋上にはエアコンの室外気や排気管、給水塔があるだけでDDの姿はなかった。


 どこかの物陰に潜んでいるのか?

 

 由真は首を捻りながら物陰を一つ一つ覗き、DDの姿を探し求めた。




ガン! バシューン


 スラッグ弾が命中して《0020》はのけ反る。

 残り600メートル。


ガン! バシュン


 爆心予定区域まで残り500メートル。

 

ガン! バシュン 


 後、400メートル


ガン! バシュン


 残り300メートル……残弾ゼロ


「くっ……

SSIBの起爆準備はまだ出来ないの?」

「まだです」

 

 秋月の回答に、葵は口角をあげる。空元気だとしても笑いでもしなければ気力が保てない。


「あら、そう。なるべく早くしてちょうだいよ。こっちはもうすぐ準備ができちゃうわ」


 ショットガンを放り投げると、アオの腰をぐっと下げる。DDの瞳が急激に光始めた。光学兵器射出の前触れだった。



「光学兵器 きます!」

「りゃあー!」


 戸田の絶叫と葵の気合いと光学兵器の発射はほとんど同時だった。

 MDFの防御膜と光学兵器がぶつかりバチバチと赤いを散らす中、ずるりと飛天が体を現す。


「FC 20 18 15……

危険です、危険。

このままではフィルタが飽和します!!」


ガリガリガリガリ


 光学兵器の領域を抜けだし、飛天は《0020》の体に取りついた。

 そのまま、渾身の力で押し込む。ずるずるとDDが押し込まれていく。

 爆心予定区域までの距離が縮まっていく。


 爆心予定区域まで後、残り150メートルだった。

 

 

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