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超弦天使 レヴァネーセス ~ 夏に降る雪  作者: 風風風虱
epic 11 夏に降る雪(前編)
81/104

① 序盤戦

 飛天のハンドキャノンが火をふく。

 しかし、AP弾をMDFで弾き飛ばしながら《0020》はスズに向かって猛進してくる。

 ズズも後進しながら、打ち続けた。

 

 ブゥン


 幾重にも重なる障壁が《0020》の姿を一瞬掻き消した。


「?!」

 

 その障壁の膜を突き抜け二本の鈎爪が飛び出してくる。回避は間に合わない。いすずは咄嗟に両手をクロスして防御の体勢をとった。


 ブゥン ブウン


 スズのフィルタが爪を弾く。が、衝撃を完全に殺すところまではいかず、飛天がずりずりと後退する。


「スズ FC 93

次、来るぞ。掴まるな、逃げろ!」


 チーフオペレーターの轟の声が言うように、弾かれた爪は、大きな弧を描きながら再び、いすずの飛天に襲いかかる。

 いすずはバックステップで距離をとる。


「対空迎撃 オートモード セット!」


 背面走行をしつつ、大腿部の20ミリ機関砲が散発的に唸りを上げた。AI制御による正確なに弾幕が迫り来る爪を叩き落とした。もちろん弾丸はすべてMDFで弾かれており《0020》へダメージが通っている訳ではないが、防御としてはそれで十分だった。


「Aポイント通過 計画通り Bポイントへ誘導中!」


 タクティカルマップを横目にいすずは、さらに逃げる。


「高エネルギー反応 

敵 光学兵器 来る!」


 轟チーフの声と《0020》の目からビームが発射されるのはほとんど同時だった。


「うひゃ」


 いすずは飛天をわざとスリップさせて回避する。スクリーン前面が青白い光に包まれる。


「こんにゃろ!」


 いすずは、すぐに後転して立ちあがろうとする。《0020》は無防備に後転する飛天目掛けて容赦なく爪を伸ばした。ところが爪が届く直前、手前の地面が突然爆発した。《0020》は体勢を崩す。爪もコントロールを失い、虚しく道路を抉るだけに終わった。


「やっぱ、いすず3尉は器用だな」


 轟チーフが感心したように呟いた。

 爪の攻撃を予測して、いすずは後転しながらハンドグレネードを《0020》の手前に投げつけていたのだ。それも2つ。


「ああいうの得意ですよな。

子供の頃、新体操やってたって言ってましたから、その辺の影響じゃないですか」


 サブオペレーターの桑田2曹の解説に応えるように立ち上がったいすずは新体操の棍棒よろしく地面に置いたハンドキャノンを踏む。くるくると円を描きながらキャノンが宙を舞った。


「HE弾 セット!」


 淀みない動きでキャノンをキャッチすると続けざまにHE弾を撃つ。狙いは《0020》にではなく、その前方に建つ左右のビルの根元だった。

 爆音、煙が立ち上ぼりビルがゆっくりといすずと《0020》の間に崩れ落ちた。


「Bポイント到達 進路遮断したよ」

「了解。 

B1(ビーワン) B2(ビーツー) B3(ビースリー) B4(ビーフォー)

設置爆弾 起爆」


 桑田サブオペレータの声が響く。

 と、ドン、ドン、ドォーン、ドォンと爆音が続く。《0020》の後ろと右手のビルが倒壊して通りを塞いだ。


「《0020》の進路封鎖完了

作戦第2段階に移行可能です」

「了解 作戦第2段階に移行

麻衣、攻撃開始!」


2021/08/22 初稿

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