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⑧ 反撃開始

 真一は、突然呼び出された会議室で、戮天の話、適合者、DoLの話を聞かさせた。

 突然のゲリラ豪雨で頭の中が水浸しになり、脳が酸欠であえいでいるところにさらに、市内で進行しているデモナイゼーションやカテゴリー5のDDの説明が続いた。


 これは一体なんの冗談なの? と母親に問いたかったが、普段見せないようね深刻そうな表情から冗談ではないことがすぐに理解できた。


「つまり、僕にその『りくてん』というのに乗ってDDと戦えと言うことですか?」

「そうです。さっきも少し説明したけれど、レヴァネーセスの操縦はシナプスリンクという手法です。なのでシステムにリンクさえできれば普通に体を動かす感覚で誰でも動かすことができます」


 説明をしてくれたのは長良葵だった。助けてもらったときに責任者と名乗っていたのを真一は覚えていた。


「それで僕だけがリンクできる、という話ですね」

「そうです」

「でも、僕はそんなに運動が得意な方じゃないし、ケンカも強くない、というかやったことないです。役に立つとは思えないですけど」

「戦うと言ったけど正確には真一君は戦う必要はないの。

今回の戦いの大まかな流れはターゲットのDDをある特定ポイントに誘導して、あらかじめ仕掛けて置いた爆弾で仕止めることになるわ。

そこで問題になるのが敵の持つ電子機器無効化結界。これを使われると私たちの飛天は少しの間、活動不能に陥るの。爆弾も使用不能になるわ。そうなった時にターゲットの足止めをする役目をするものがいる。それができるのは戮天だけ」

「もしも敵が結界を使わなければ僕の出番はなしと言うことですか?」

「そうなります」

「でも、逆の言い方をすると、使われたら、僕一人でそのDDと戦うことになるんですよね。

しかも、爆弾の効果範囲内で」


 ああ、この子はこんな状況下に係わらず正確に事態を理解している、葵は感心した。

 この子はこの手の問題を乗り越える天性の才能を持っている、と思った。


 後、勇気さえあれば……


 そうすればこの少年は、今という絶望的な状況で戦況を覆す切り札(ジョーカー)になりうる。そう確信した。

 この少年の力がどうしても欲しい。葵はまるで恋を知った少女のように胸を高鳴らせながら言葉を紡いでいった。


「た、たしかにそうです。

でも、SSIB、あっ、今回使用する爆弾ね、これは地上20メートルで爆発させるのだけど、この爆弾の特性として20メートルより下には影響はないの。だから、爆発時に地面に臥せていれば問題ないわ。

それに戮天は強力なシールドを持っているの。これのお陰で短時間ならDDは君に触れることすらできないわ。

だから、結界を使われたら君は爆弾が爆発するまでDDにしがみついているだけで良いの」

「聞いているだけだと簡単そうですね」

「ごめんなさい。説明するほど簡単ではないと思うけど……」

 

 心の中でむくりと膨れ上がった罪悪感が言葉を濁らせた。だが、葵はその束縛を強引に断ちきる。


「今、それができるのも、頼めるのも君しかいないの。だから、できれば力を貸して欲しい」

 

 葵に懇願されて戸惑った真一は、母親を見た。と目があった。

 早苗は微かに首を横に降った。

 断れ、というサインだ。真一は迷った。


「確認させてください。

今僕らはコクーンというものに囲まれて脱出できない。さらにらこれが有る限り外からの救援は絶望的なんですね」

「そうです」

「このまま、閉じ込められていると、僕らはみんなが化け物になってしまうんですか?」


 そう言いながら、真一は眞菜の変わり果てた姿を思い出す。今頃、眞菜はどうしているのか、と思いを馳せた。


 まだ、あの倉庫で泣いているのだろうか


 そんな考えが浮かび上がった。

 真一は慌ててその考えを振り払う。


「断言はできないけれど、その可能性は否定できないわ」

「その中には妹や母も含まれるんですよね」

「……そうね」


 真一は少し目を閉じて考えた。


「分かりました。やります」

 

 真一は自分でも驚くほどのハッキリした声でそう答えた。



 


「こちらスズ。ターゲット《0020》に特に変化なし。相変わらず電波塔の天辺に巻き付いたままだよ」

「了解。みんな、配置は良い」

「スズ、良いよ」

「ヒメ、配置完了」

「ワークホリック、SSIBの起爆準備は良い?」

「こちらワークホリック、準備オッケーです」

「ジョーカー、良いか?」


 返事がなかった。


「ジョーカー、真一君、配置完了してますか?」

「……あっ、すみません。終わってます。

えーと、ジョーカー、配置完了です!」

「了解。これより作戦を開始する。

スズ、攻撃、開始!」


 葵の命令に従い、いすずは電波塔の《0020》に照準を合わせる。


「ターゲット《0020》 直接(D)光学(O)照準(P) AP弾 ファイヤ!」


 スズのキャノンが火を吹いた。《0020》の周囲に赤い膜が生じて、弾を弾く。勿論、MDFに弾かれるのは織り込み済みだ。いすずは構わず、キャノンを連射する。


「キュロロロロ」


 《0020》は一声吠えると、電波塔をずるずると降り始めた。


「《0020》 誘いに乗ってきました」

「良し! 攻撃しつつ、移動。予定ポイントへ誘導して!」

「了解!」


 葵たちの孤独な反撃がついに開始された。


2021/07/25 初稿


□□□ 次回予告 □□□


遂にカテゴリー5に対する反撃が開始される。

ギリギリの戦いの中、徐々にDDをSSIBの

爆破ポイントへと誘導していく葵たちだったが、

SSIBの起爆現場で予想外のことが発生していた。

果たして、葵たちにこの状況を乗り越えられるのか。


次回、超弦天使レヴァネーセス 

epic11  夏に降る雪

さぁ~ 次回もぉ~ ハッスル ハッスル!

□□□□□□□□□□□□□


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