① Web会議で
「11式機動歩兵 戮天
全長60メートル
超高密度高硬度カーボンナノパイパーダイヤモンド製の装甲は硬度12。ダイヤモンドをも上回ります。
さらに新型のMDFのFCは飛天の3倍の300です」
急遽開かれた作戦会議の席上で、早苗は黒色の巨大な人型ロボットの映像を見せながら説明を続けた。
会議室には早苗の他に研究局の局長、警備部部長、熊野課長、それとは別に説明用の大型ディスプレイの右端には葵たちのフェイス画面が表示されていた。葵たちはオンラインでの参加だ。
「第一世代との最も大きな変化は、パイロットが戮天に直接乗り込むことです」
「内部に乗る?」
葵がすかさず反応した。
「そうです。
そもそもSCAOが予言したカテゴリー5の電子機器無効化結界の原理はMDFの変形応用です。
MDFを瞬間的に膨張拡散することで広範囲に電磁気力への干渉を発生させると言われています。これはMDFが本質的に持つ性質でその干渉は複数次元にも及びます。
そのため従来の遠隔操作型レヴァネーセスではシナプスリンクが切断されシステムダウンを起こします」
「そうだとして、それと人が搭乗することとなんの関係があるんだ?」
警備部長がイライラしながら言った。
「MDFに対抗できるのはMDFだけです。
レヴァネーセスの周囲には常にMDFが展開されています。つまり、レヴァネーセスの中まではカテゴリー5の電子機器無効化結界は影響を及ばさないのです」
「戮天は電子機器無効化結界の中でも普通に動けると言うことですか?」
「SCAOの予測が正しければそうです。
カテゴリー5の出現。
電子機器無効化結界の存在。
今のところSCAOの予測はすべて現実になっています。ならば戮天もまた正しいでしょう」
葵の問いに早苗は力強くうなづいた。
「それで、その戮天は今どこにあるのですか?」
「1体は輸送中にDDの襲撃を受けて市中に擱座してますが、もう1体は双美研究所にあります」
「動かせますか?」
「問題はそこです……
研究所の戮天の稼働確認は完了しています。完璧に動きます。ただ、パイロットがいません」
「パイロットがいない?」
「適合者問題です。
戮天のDoLは2.21以上が必要です」
「2.21以上……」
「テストパイロットが1人いるのですが、そのパイロットはちょうど別件で不在なのです」
「良く意味が分からん!
DoLやら適合者とか、分かるように説明してくれ」
警備部長がいきり立って叫んだ。
「やれ、困ったもんだ」
熊野課長が肩をすくめ、小馬鹿にしたような笑いを浮かべる。
「Depth of Linkage、リンケージ深度。
飛天や戮天に使われているシナプスリンクとの相性の良さみたいなもの。数値が高けほどリンクがしやすくなる。
それが通称、DoLさ。
このDoLは人によって数値が違っていてな、ある程度の数値がないとレヴァネーセス操作システムの根幹であるシナプスリンクにリンケージできない。人の平均DoLは0.1。0.5を越えるのは1000人に1人いるかいないかと言われている。ちなみに飛天の必要DoLは0.58以上だ。
つまり、そっちのオンラインのお嬢さんたちは文字通り選ばれし勇者様ってことだ。そして、それが適合者問題ってやつさ」
2021/07/25 初稿




