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⑧ 眠れる天使、その名は……

「ああ、双葉。無事で良かったわ」


 早苗は双葉を思い切り抱き締める。双葉も泣きはしなかったが、早苗の背中へ両手を回し、渾身の力で抱きしめ返した。その腕にはもう絶対放さないとありったけの意志が込められているように思えた。

 とは言え、永遠に抱きしめたままでいることは状況が許してはくれなかった。名残惜しそうに早苗は双葉を引き離すと、一言真一を労った。


「真一、あなたも無事で良かった。双葉を守ってくれたのね」


 なぜだか真一は言葉がうまく出なかった。ただ黙ってうなづく。

 

「時間が無いの。あなたたちの話を聞かせて」


 早苗の問いに、真一が避難所で突然化け物たちに囲まれてしまったこと。そして、4人で倉庫へ立て籠り、その内1人が化け物に変わってしまったことを話した。話しながら真一は誰も化け物に変わってしまった眞菜を見捨てて逃げたことを指摘しないことに胸を撫で下ろしていた。


「ふ~ん、今の話と双美ドームの状況を鑑みるとこの双美市内で原因不明のデモナイゼーション現象が発生していることは間違いないな」


 熊野課長がモジャモジャの頭をさらにモジャモジャにしようと髪をかき混ぜながら言った。


「それで我々はどうなってしまうんだ?」


 局長の質問に熊野課長は口許を歪ませる。怒っているのか、笑っているのか、良く分からない表情だった。


「原因不明って言ってるでしょ。分かりませんよ。

何らかの条件を満足する特定の人間だけがDDに変身するのか、単に時間の問題でみんなDDになってしまうかのどっちかでしょうが……

まあ、根拠はないが私の研究者の直感は時間の問題でみんなDDになっちまうんじゃないかな、と言っている」

「なにを呑気なことを言っているんだ。

そうだとしたら、一刻も早くデモナイゼーションを止めなければ我々は破滅だ」


 警備部部長が叫んだ。しかし、熊野課長はうるさそうに首をかしげるだけだった。


「言うのは簡単だがね、どうやら止めれるのか誰にも分からんのよ」

「それでも専門家か!」


 警備部長が今にも熊野課長に掴みかからんばかりに気色ばむ。早苗が慌てて中に入った。


「ちょっと、今は争っている場合ではありません。

仮説をいちいち検証している時間的余裕は私たち無いんです。

だとしたらやれることを一つ一つやっていくしかないと思います。

事実の積み上げで言えば、今回のデモナイゼーション現象は私たちがコクーンに閉じ込められてから起きていると思われます。

となればコクーンを破壊すればデモナイゼーションも止まる可能性が高いのではないでしょうか?」


 早苗の言葉に、熊野課長は堪えきれずに吹き出した。


「アハハハ。それは傑作だ。

だとしたらますます望みは薄いよ。さっき言ったろう、コクーンを破壊する方法はないって」

「コクーンは破壊できないとしてもコクーンを発生させている存在なら破壊できます」


 しかし、早苗は動揺することなく淡々と反論した。


「どういう意味だね?」

「このコクーンを作ったDDは倒せるということですよ」


 早苗はいすずが送ってきている電波塔の画像を指差した。そこには塔の天辺に鎮座しているDD カテゴリー5の姿があった。



「なるほど。状況は分かりました」


 双美ドームに大量発生したDDをなんとか排除した後に急遽開かれた作戦会議で、デモナイゼーションとそれを止めるための方策の説明を受け、葵は静かにうなづいた。


「可能性が低くてもそれにかけるしかないことも理解しました。

ただ、問題なのはコクーンのせいで外部の増援が望めない以上、私たちの3機の飛天のみであのカテゴリー5に挑まなければならないと言うことです。

先の戦闘の経験から判断するに僅か3機の飛天の火力ではあのDDを倒すことは不可能です。

となると頼みの綱はやはりSSIBになります。

なんとかSSIBの効果範囲に奴を誘い込むしか勝機はないでしょう」


 葵は戦況を分析して淡々と答えていった。そこには気負いも絶望も楽観もなかった。


「そして、もうひとつ、そして最大の問題があります。

カテゴリー5が有する電子機器無効化結界です。なんとかSSIBの効果範囲に誘い込めたとして、そこで奴に結界を展開されれば私たちの飛天のみならずSSIBも停止してしまうでしょう。

お聞きします。一旦機能停止した場合、SSIBの再起動にどのくらいかかりますか?」

「およそ3分ですね」


 早苗の答えに葵は、3分、と噛み締めるように呟いた。


「再起動後、オペレーターが安全な場所に避難するのに3分として合計6分。それだけの時間があれば奴は余裕で逃げ出すことができます」


 葵の出した結論に、誰も何も言わなかった。気まずい沈黙だけが時を刻んでいった。


「一つ可能性があります」


 どれ程の時間が経過したのか、掠れた声が沈黙を破った。声の主は早苗だった。


「カテゴリー5の電子機器無効化結界に対抗できるものが一つだけあります」

「いや、最上課長。まさか……」


 早苗の提案に局長は狼狽する。しかし、早苗は顔色一つ変えることなく先を続けた。


「そのまさかですよ、局長。

きたるカテゴリー5との決戦のために開発された第2世代機動歩兵 戮天(りくてん)です」


2021/07/18 初稿


□□□ 次回予告 □□□


刻一刻とデモナイゼーションが進行する中、

葵たちは持てる戦力すべてを投入して反撃にでる。

その中に否応なく真一も巻き込まれていく。

激闘の果てに生き残るのは人が魔物か


次回、超弦天使レヴァネーセス 

epic10  反撃

さぁ~ 次回もぉ~ ハッスル ハッスル!

□□□□□□□□□□□□□

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