⑥ 後悔
「連絡がとれました」
秋月曹長からの連絡がきた。
「どうやら、向こうも同じような情報を持っているらしいです」
「なんですって?」
「詳しいことは良く分からないですが、そんなことを言っていました。それで、こっちで保護した3人の話を聞きたいって話です」
「分かりました。じゃあ、ヒメオペビークルで保護したら双美研究所に連れていって」
「了解」
その時、鋭い警告音が鳴った。葵は何事かと驚く。ハウンド03のモニタ画面が赤い明滅を繰り返す。
マーク《0001》 レジストコード 0127 『腹上華』
マーク《0002》 レジストコード 0113 『Daddy-Long-Legs』
マーク《0003》 レジストコード 0133 『KotakPersegi』
マーク《0004》……
複数のDDの存在を示すマーカが忽然と、そして次々と表示されていく。
「な、なんなの……」
グランドでは避難してした人々が逃げ惑う姿が映し出されていた。悲鳴、怒号、銃の発砲音が聞こえてくる。
「ハウンド03 グランドへ移動!」
葵は慌ててハウンドをグランドへと移動するように命じる。スタンドを走り出したハウンドの行く手を阻むようにDDが立ちはだかった。体中からムカデのようなものが飛び出てきた。
マーク《0014》 レジストコード 0142
『centipedeman』
ハウンド03のAIが素早く目の前の敵にマーキングをする。
「《0014》 迎撃!」
12.7ミリがセンチピートマンを薙ぎ倒した。20式5.56mm小銃の銃弾は弾いたムカデの外郭も対物用重機関銃の12.7ミリ弾には役には立たない。
倒したDDの上を軽やかな跳躍で飛び越える。
が、その前に今度は『ハンマーヘッドデビル』が3体現れた。
着地と同時にショットガンを連射して、これも一掃する。
葵はイライラと舌打ちをした。
大した相手ではないが数が多くて中々、グランドへとたどり着けない。そうこうしている間に被害者が増えるばかりだ。ハウンド1体で捌ききれる数ではない。
「麻衣、由真。 双美ドームにDD多数!
至急増援を送って。ハウンド1体では手が足りない」
あまりの急展開に、先程の少女の言葉が事実であったと後悔をする。信じていればあらかじめ手が打てたはずだ。
自分の判断ミスで、みすみす助けられた命が失われていくのは身を切られるより痛かった。
「くそ!」
グランドに降り立つと目につくDDに向かい持てる火力を全てたたき込んでいった。




