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超弦天使 レヴァネーセス ~ 夏に降る雪  作者: 風風風虱
epic 1 デーモンスレイヤー
7/104

⑦ クロスコンバット!

「5秒遅延(ディレイ) HE弾 セット」


 麻衣の声だ。

 ヒメ機がキャノンを撃つ。しかし、それは男の手前の地面にめり込んだだけで爆発しない。


「3秒遅延(ディレイ) セット」


 続けざまに二発目を撃ち込んだ。が、これも男の手前の地面にめり込むだけだった。

 男の目の輝きが増す。ユーマ機はまだ、地面と格闘している。


「下がってください。

0秒遅延(ノーデイレイ) セット」


 麻衣が三発目を撃ち込む。男の目が光の奔流が撃ち出される。と、同時に足元の地面が爆発をする。HE弾三発が一斉に大爆発した。地面が根こそぎ崩落して男は体勢を崩す。ユーマ機を狙った光線があらぬ方向に外れ、双美山の山肌を焼き払い、空の彼方へ消えていった。


「うまい! このまま押し込むわよ」


 葵は地面に転がった男に向かってハンドキャノンを撃ち込み、さらに左のポケットから手榴弾を取り、男へと放り投げる。


「FS弾 セット」


 麻衣も距離を詰め、倒れた男に向けてキャノンを撃ち込む。


「お待たせ! 助かった」


 ようやく足を抜いたユーマ機も攻撃に参加する。アオ、ヒメ、ユーマ機がキャノンを撃ち込み、手榴弾を投げる。猛烈な爆発と土砂の中に男の姿が埋もれる。


「火力を集中させて!」


 葵は最後の手榴弾を投げ、20ミリ機関砲を稼働させる。残弾的に残り二十秒ほどしか撃てないが、撃ち尽くしてもここで一気に男のフィルタを飽和させて勝負を決めるつもりだった。麻衣も由真も持てる全火力を注ぎ込む。


「行け 行け …… そのまま押しきれ……」


 オペレータールームでモニタを見る秋月は拳を握りしめ小さく呟いていた。もうもうと上がる土ぼこりに隠れてしまい、男の状態は分からない。


「?!」

「……」

「うあっ!」


 光がいきなり土ぼこりを真一文字に切り裂いた。


「アオ ヒメ ユーマ 被弾!!」

「アオ機 FC 73」

「ヒメ FC 50」

「ユーマ FC 14!!」


 緊張した声でオペレーター達が報告する。

 土ぼこりがかき消え、男が姿を現した。


「なにあれ」


 由真の呟きが通信回線に漏れる。

 男の首が幾重にも捻れ伸びていた。ギリギリと絞ってネジ切れる寸前の雑巾のようだ。

 ギュルン

 不意に弛緩し、首がぐるぐると回転し始める。

 ゴッ!

 男が光線を放った。コマのように回転する頭が全周360度を焼き払う。


「アオ ヒメ ユーマ 被弾!!」

「アオ FC 43」

「ヒメ FC 22」

「ユーマ…… フィルタ飽和! ブレーン消失……」


 ザシャ


 ユーマ機は両膝をつき、そのまま地面に倒れた。頭部、右肩、右腕が抉りとられていた。


「ユーマ機 大破」

「由真 心肺停止 状態(ステイタス) レッド!」


 雪森衛生士が悲鳴を上げた。

 モニタに表示されていた由真のバイタルデータは軒並み平坦(フラット)になっていた。

 ユーマオペレーターチームの工藤、橘、雪森の三人が騒然となる中、最前線も緊迫の度合いを増していた。再び男の首がギリギリと捻られていく。


 不味い 不味い 不味い

 また、さっきの攻撃をするつもりだ


 葵は内心焦る。

 あの全範囲無差別攻撃は避けれない。

 もう一回食らえば自分はともかくヒメのフィルタは持たない。ここは後退して、増援頼むべきか……


「一時後退。 距離を取って!

大隊本部に連絡……」


 命令に反してヒメ機が猛然と突進し始めた。

 大隊長に増援を依頼しようとしていた葵は驚く。


「ちょ、ちょっと何をしている!」

「今の攻撃、双美市内に届いている。 早く止めないと被害が拡がる」

「だからと言って突っ込んでも…… きゃっ!」


 極限まで捻られた男の首が再び高速で回転し始めた。


 ゴッ!


 光線が発せられ、葵たちをなぎ払う。光線の一部は20キロ先の双美市内にも到達する。光線が高層ビルを真っ二つに破壊した。


「被弾! アオ FC 19」

「ヒメ…… ヒメ機……」


 グシャグシャに破壊されたヒメ機のハンドキャノンが地面に落下した。

2021/04/04

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