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超弦天使 レヴァネーセス ~ 夏に降る雪  作者: 風風風虱
epic 8 時は残酷な女王の吐息
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⑤ ハンター出撃!

「あっ……」


 席を立とうとした由真は一瞬の立ち眩みに体をよろめかす。慌てて雪森(ゆきもり)技術医官が支えた。


「ちょっと!

やっぱり無理なんじゃないの?」

「大丈夫。大丈夫」


 由真は笑顔を見せながら自分を掴む雪森風花(ふうか)の手を剥がす。その指に込められた意志の強さに風花はその先の言葉を諦めた。

 オペレータールームの一角に据えられたパネルへ手を置くと由真は言う。


「認証 由真 名取

セキュリティコード Q 3 1 α キュウスリーワンアルファ- 3 3(ハイフンスリースリー)


 コードを言い切るとパネルに顔を近づける。緑のレーザー光が一瞬の由真の顔を舐めるように照らした。


「認証パス」


 無機質なアナウンスとともにルームの壁がスライドして通路が現れた。飛天のパイロットルームへ続く(みち)だ。

 由真がその中に入ると壁は開いたのと同じように音もなく閉じた。通路の先のドアをあけるとそこは飛天のパイロットルームだった。半球状の空間の真ん中にシートが一つあった。

 由真がシートに体を預けると工藤の声がした。


「準備はいいか?」


 いつでも、との答えに工藤はハンター起動シークエンスを開始する。


「ハンター起動準備!

トランクオープン!」

「トランクオープン!」


 オペレータービークルの横に駐車されているガンキャリーの中央付近の扉が開く。黒く細長い箱のようなものが地面に三つ下ろされる。幅1メートル、長さ2メートルほどの大きさだった。


「ユーマ ハウンド01(ゼロワン)02(ゼロツー)03(ゼロスリー) 起動」

「各AI 動作正常 

ヘッドアップ! カメラ 展開」


 箱の前方から突起のようなものが上へと伸び、さらに先端が左右に広がり双眼鏡のような形状になる。すると由真のいるパイロットルームの、今はなにも映っていない全面スクリーンに三つの小さな画面が現れた。各ハンターのカメラがゆっくりと左右に動くと映し出されている映像も左右に動いた。


「カメラ 動作正常」

起立(スタンドアップ)!」


 箱の下部から四つの脚が伸び、生まれたばかりの子馬のようによたよたと立ち上がる。そして、ピョコンピョコンと跳び跳ねた。


「脚部正常」

「ウェポン1 オープン

安全装置(セーフティ) 解除」


 右側面からアームが伸びる。そのアームには重々しい銃身をもつ12.7mm重機関銃がついていた。これが三式四足歩行型ハンター、通称ハウンドのメインウェポンだ。

 重機関銃は滑らかな動きで全周360度をぐるりと回転し、さらに上下にも動いた。


「稼働域確認 異常なし」

「了解

ウェポン2 オープン

安全装置(セーフティ) 解除」


 ジャキンという金属音をさせながら左側面から散弾銃が現れた。重機関銃と比べるとずいぶんと小振りだが近接戦闘ではこちらの方が役に立つ場合も多々あった。


「ウェポン3

安全装置(セーフティ) 解除」


 最後は前面固定の9mmパラベラムの安全装置が解除される。


「ハウンド 起動完了 オールグリーン」

「了解。

由真のハウンドの一体はオペビークルの警護に残します。

残りは市内に展開、市民の避難支援、カテゴリー1の排除をします。

私はエリア1~9、麻衣は10~18、由真は19~24を担当」

「了解」

「了解」

「よし! 散開(ムーブ)


 葵の号令一下、8体のハウンドが一斉に双美市内へと散っていった。

2021/08/07 『衛生士』→『技術医官』に変更

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