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超弦天使 レヴァネーセス ~ 夏に降る雪  作者: 風風風虱
epic 1 デーモンスレイヤー
4/104

④ 天使……魔物を狩るもの

 麻衣はモニタの正面に目を凝らす。双美山のなだらかな山裾が見えた。緩やかに右下に下降する坂。その右端に動くものがあった。そのやや上に《▲0010》というタグが付与されている。『皿を持つ男』はやや背中を丸め、まるでよろけるようなギクシャクした動きで東方、モニタ右端へと移動していた。


「ヒメ機 起動正常

武装準備 ガンキャリー オープン

各武装 安全装置解除急げ!」

  「ユーマ機 起動……」

「スズ機 起動正常」

    「あっ、ちょい待った リンクレート ずれた 調整…… あっ、うん。オッケー」


 ヘルメット内のヘッドセットから漏れ聞こえる同僚たちの通信をBGMのように聞き流しながら麻衣は準備を進める。


(ウイング) 展開」


 飛天の背面から触手のようなものが伸びる。通称 ウイング。子供が天使のコスプレをした時につける小さな翼のように見えないこともない。もとより空を飛ぶためのものではない。が、飛天の命綱であるMDFを作るための装備だ。


「MDF 起動 ブレーン 形成確認」


 「アオ機 オールクリア コンプリート!」というオペレーターの声とともにモニタ上面に葵のフェース画面が投影された。

 

「ヒメ機 オールクリア コンプリート」


 続いて秋月の声がする。自分のフェース画面が映し出された。

 麻衣は自分の顔がモニタに映し出されるのが苦手だった。なにか落ち着かない気分になる。


「ユーマ機 「スズ機 オールクリア

            コンプリート!!」」


 一拍置いて由真、いすずのフェース画面も映し出された。モニタの左右に青い色をした巨人が立ち並んでいる。右手、胸部が赤くペイントされているのが中隊長機のマーキング。葵の搭乗機体。TACコード アオ。

 左が由真。TACコード ユーマ。


「作戦開始。

タイムチャートは転送済みよ。ナビに従って。火線開いたら、後は臨機応変に!

よし 各自動け(ムーブ)!」


 葵の号令とともに三体の飛天が猛然と走り出す。

 モニタ中央に『→』が表示される。麻衣はその指示に従い移動する。

 視線を動かし、左側に戦術マップを小さく映す。目標は常にマップの真ん中に固定される。▲マークの真南のやや下に□のマークが見える。そこが自分の攻撃位置だ。そこを目指して懸命に飛天を走らせる。


「気をつけて! 来るわ」


 葵の緊張した声が響く。見ると『皿を持つ男』の首がぐるりと回って、こっちを見ていた。軽く200度は回っている。普通の人には出来ない芸当だ。麻衣はいすずにせがまれて一緒に見た古いオカルト映画を思い出した。確かにあれは、悪魔憑きの話だったな、と思う。

 

 そうね、あいつも人間じゃあないものね

 あのくらい首が回っても不思議じゃない


 なぜだかそんなことを麻衣はゆっくりと思考した。

 時間が凍りつく。

 チカッと男の左目が光る。

 モニタ全面が真っ白に光った。











 ズン


 オペレータールームが微かに揺れた。


「ヒメ 直撃!」


 ヒメのサブオペレーター松永(まつなが)1士の悲痛な叫びがこだました。



2021/04/04

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