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⑧ 繭

「了解!」


 ニャンが答えてショットガンを撃った。


 前後からショットガンを受け、《0020》は真っ赤に染まる。


キュロロロロロロロロ


 吠えた。

 次の瞬間。干渉膜が膨れ上がる。


ブツン


 怜奈のスクリーンが真っ黒に変じる。


 再び、BlackOutが起きた。

 




「ワン 起動成功」

  「……状況確認せよ」

「ニャン 起動できないです」


 頭でワンワンと虫が飛んでいるようないやな気分だった。


「……敵、エリア25へ移動中。目的不明です」

「そのまま、追尾続けて、下手に刺激して暴れさせないように」


「玲奈、玲奈、大丈夫?」


 それは摩耶の声だった。


「ええ、ええ、大丈夫。

でも、気分は最悪よ。

いま、何がどうなっているの?」

「本日2度目のblackoutで、あなたとニャンが再起動になったわ。ニャンは残念ながら破壊された模様」

「《0020》はどうなったの」

「今、エリア25へ移動中。目的は不明。私たちとしてはSSIBの設置完了まで下手に刺激するのを避けたいから静観よ」

「SSIBの準備は後どのくらいかかるの」

「30分くらいね」

「《0020》の今の映像は見れる?」

「それならモモのスクリーンを共有するのが一番良いわね」

「そう……」


 怜奈はそういうとモモのスクリーンを開いて見る。

 それには双美市の電波塔を昇る《0020》の姿が映し出されていた。


「なにこれ? あいつなにやっているの?」

「分からないわ。だから、静観よ」

「ふん。とにかく、現場にいくわ」


 玲奈が現場に到着すると、《0020》は塔のてっぺんまで上りきっていた。

 周りにはカナ、リー、モモ、ハナがいた。言い方を変えるとそれが残存兵力だった。

 たったこれだけで、塔に上ったあいつを引きずり下ろしてSSIBのところへ連れていけるのか非常に不安だった。


キュロロロロロロロロロロ


 《0020》が一際大きく咆哮した。


「なに? あいつの体からなにか出てない?」


 明らかに《0020》の体からなにか白いものが出ていた。その白いものは放物線を描きながら、ゆっくりと地上に下りてきた。


「ワンよりコマンドルームへ。

あれが見える? なんなのあれは?

攻撃した方が良くない?」



「なにかしら、あれ?」


 怜奈の問いかけに摩耶も答えを持ち合わせてはいなかった。美琴の方を見たが、美琴も黙った首を横に振るだけだった。


「なんとも言えないわ。

とりあえず、静観よ。でも、何かあったらすぐ対応できるようにしておいて」


ブツン


 スクリーンが真っ黒になった。


「なに、また電子機器無効化結界なの?」

「はい……いえ、えっと、良く分かりません。

ワンたちとの連絡だけではなく、全部の連絡が切れてます」

「全部って?」


 摩耶の問いに若葉は困ったように眉をひそめた。


「文字通り全部です。双美市内のカメラや基地への通信等も全て途絶しました」

「双美市全部?

今、双美市はどうなっているの?」

「分かりません。スカウターもないので情報を入手する方法が……」

「こちら叢雲(むらくも)です」


 摩耶と若葉に割って入ってきたのは玲奈のチーフオペレーターの叢雲(たかし)だ。


「双美市全体が、何て言うか、白いもので覆われています」

「白いもので覆われている……

意味が分からないわ」

「今、映像を回します」

「ワンのオペチームからの映像をメインスクリーンに映します」


 メインスクリーンに映し出されたものを見て、摩耶は言葉を失った。

 双美市がまるごと白いお椀のようなものですっぽりと覆われていた。


「なに……これ。まるで……」

(コクーン)です」


 摩耶の言葉を引き継いだのは、妙高山だった。


「コクーン?」

「そう、コクーンです。しかし、一つの都市をすっぽり覆ってしまうコクーンなどあり得ない」



2021/04/25 初稿


□□□ 次回予告 □□□

いつもと変わらないと思っていた日常

いつまでも続くと思っていた日常が

ゆっくりと壊れていく

運命に翻弄される普通の高校生

最上真一は何を考え、何を思うのか

次回、超弦天使レヴァネーセス 

epic5  壊れていく日常

さぁ~ 次回もぉ~ ハッスル ハッスル!

□□□□□□□□□□□□□


【お知らせ】

次回投稿は5月9日10:00を予定しております

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