表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超弦天使 レヴァネーセス ~ 夏に降る雪  作者: 風風風虱
epic 3 カテゴリー5の脅威
17/104

① 肥大する恐怖

「後退!

距離を取りつつ再度制圧射撃(サプレッション)!」


 怜奈の指示が飛ぶ。それに応えるように美佐緒の声が続いた。


「MOP ポインティング 継続

FS弾に切り替え 機動射撃 後退 散開

射撃準備! 

5、4、3、2、1、ファイヤ!」


 ブウウン


 赤い障壁がすべての砲弾を弾く。


キュロロロロロ


 勝ち誇ったように《0020》は咆哮する。




「なに、あれ?」

 

 コマンドルームで成り行きを見守る摩耶が小さく呟いた。《0020》の左肩がぼこぼこと膨らみ、隆起する。と、にょきにょきと伸びる。


「腕が再生した!」


 摩耶は絶句する。先の砲撃で千切れた左の一番上の腕が現れたのだ。

 しかし、再生とは少し違う。復活した腕は巨体なカニの爪のような形状をしていた。それは元の《0020》ではなく『皿を持つ男』の物だ。


「仲間を喰らって能力を取り込んだってこと……」


 摩耶はびくりと身震いした。



「再射撃準備!

ヘリ部隊からのミサイル攻撃も加える。

距離も取りなさい。各自 およそ8000をキープ。

指示、こちらで引き取ります!」


 玲奈は一言宣言する。


「FS弾 セット! 

MOP トレース ポインティング!

各ヘリ スーパーファイヤフライ 2連射 

射撃準備!」


 その時、《0020》は左腕で自分の右腕を掴むと、そのまま引きちぎる。だらだらと紫色の液体が吹き出るがすぐに、肉塊が成長して新たな腕が生じた。左腕と同じく巨大な爪だった。


「…… 2、1 ファイヤ!」


 飛天たちのキャノンが一斉にFS弾を吐き出す。無数の火の矢が《0020》を取り囲む。が、全てフィルタに阻まれ、本体には届かない。


「ファイヤフライ到達まで5秒!」


 時間差でミサイルが迫る。16機の戦闘ヘリが放った総計32発のミサイル。


 キュロロロロロロ


 潰れた右目がボコボコボコと半球上に盛り上がる。中心が割れる。そう、まるで蕾が開き、大輪の花を咲くようだった。向日葵(ひまわり)を連想させる形状の中心は金色に光っていた。


 チカッ


 花弁にあたるところから光が発する。目映い光が空を引き裂く。中空で無数の火の玉が沸き起こった。



「ミサイル 全弾 破壊!」

「ヘリ部隊に損害 

ストリクス2号機、4号機撃墜 5、7号 ローター被弾 緊急回避運動中!!」


 コマンドルームにオペレーターたちの緊迫した状況報告が響く。


「『皿を持つ男』の断裂系光学兵器と同じです」



 「やって くれるわね……」と、摩耶は苦々しく呟く。

 つまり、《0020》は完全に『皿を持つ男』の力を自分に取り込んだのだ。


「ヘリ部隊 散開 《0020》より20キロ後方待機!

第1、2、4中隊前進。 

全機で囲んで押し込む!」


 それは怜奈の声だった。

2021/04/18

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ