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鳥の楽園  作者: 七星北斗
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1 話すもの

 ここは沖縄立純大学(おきなわりっじゅんだいがく)。僕の名前は矢島鉄(やじまてつ)歴史学者(へんたい)である。


 助手の飯田和花(いいだわか)とともに、沖縄立純大学の学生達の講義のために沖縄を訪れた。


 沖縄は最高気温を更新し、本日も晴天なり。汗が滝のようだ。


 そして、無事に講義は終了した。講義をして感じたが、喜ばしいことに優秀な学生が育っているようだ。


 流石、沖縄で一番偏差値が高いといわれるだけはある。


 僕は、頭のいい人間は目を見ればわかる。この大学の学生達は、みんな明るく、輝いて見えた。


「矢島先生」


 物思いに耽っているときに、突然後ろから声をかけられたことで反応が遅れる。 


「矢島先生、お疲れ様です。本日は遠いところお越し頂き、ありがとうございます」


「いえ、こちらこそ、お招きくださりありがとうございます」


「矢島先生の講義は生徒達にとても好評で、私も勉強になりました」


「ありがとうございます。ですが、室崎(むろさき)さんからご連絡いただいたときは驚きましたよ」


 室崎は額の汗をハンカチで拭った。そして、この物語の始まりを告げる。


「実は矢島先生に講義を依頼したのは、ある伝説の解明をお願いしたいからなんです」


 矢島は頭を捻って考える。伝説…って何で僕?まあ、伝説?の解明は歴史学者として好奇心を刺激するけど。


「突然すぎて正直ビックリしましたが、とりあえずお話をお伺いしてもよろしいですか?」


 室崎は眉間に皺の寄った顔で頷き、提案する。


「少し長い話ですから、落ち着ける場所でお話しましょう」


 矢島は早くこの暑い陽射しから逃れたかった。しかし、顔だけは平静を装う。


「ええ、かまいませんよ」


「でしたら客室でお話しましょう。さあ、こちらです」


 矢島は室崎の後に続く。しかし、この大学は広くて案内人がいなければ迷いそうだ。


 室崎に案内されて歩くこと数分。どうやら目的の場所に辿り着いたようだ。


「どうぞお入りください」


 室崎に誘導されて部屋に入り、ソファーに腰を掛けた。しかし、この部屋はクーラーが効いてて寒いくらいだ。


「暑いですから、アイスコーヒーでよろしいですか?」


 矢島は渋い顔で首を横に振る。


「申し訳ない、コーヒーは嫌いで」


 室崎の中では、学者はコーヒー好きであるイメージが強かった。


「それは失礼致しました。では冷たい麦茶を用意しましょう」


 室崎は連絡を取り、しばらくするとドアのノックとともにエプロンを着た食堂のおばちゃんらしき人物が、麦茶ポットを持って現れた。


「お手間を取らせてしまい、申し訳ない」


「お気になさらずに」


 おばちゃんは丁寧に氷の入ったコップにお茶を注ぐと、軽くお辞儀をして、部屋を退室した。


「それでは、お話させていただきますね」


 矢島は頷くと、室崎の話に耳を傾けた。


「ですが、話の前に、このお話はご内密にお願いします」


「はい、わかりました?ですが、理由をお聞きしてもよろしいですか?」


「申し訳ない、今はまだ話すことはできません」


「そうですか」


 何やら悪い予感がするが、話を聞くだけ聞いてみることにした。

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