さて、コッソリ見てた奴を引きずり出そうか。
お読み頂きありがとう御座います!!
サテラがやって来た翌日、オレはギルマスに連れられて領主様の屋敷にやって来た。
サテラは人見知りするので今回は連れてこなかった。タマとサテラはお留守番である。
「おお!!アレス!!良く参った!見事やってのけたな!!」
「領主様、お約束の通り船で戻って参りました。この度は帝国からも商人達がやって来ております。この就航で新たな交易が始まると確信しています」
「そうじゃ、そうじゃな…今までの陸路中心の交易から海路の交易へとな。嬉しく思うぞ!」
「領主様、是非に交易船『アルゴー』にお越しください。実は『アルゴー』の見学会がどの港でも大好評でして、街の皆様に見せる前に、領主様に見て頂きたいと思いまして用意しております」
「そうなのか?色々な不具合など無いのか?」
「本船『アルゴー』は交易船ですから、皆さんに親しんでもらうのも重要なのですよ」
「そ、そうじゃな。なるほど、皆に愛される交易船か…流石は特待員じゃ、器がでかいのう…」
領主様はすぐに支度をされて『アルゴー』にやって来た。近くに来てその大きさに圧倒されている。
『アルゴー』に乗り込んだ領主様と近衛兵団、ギルマスなど総勢20名が乗り込み『アルゴー』の説明を聞きながら船内を回った。
中でも馬車で移動出来るというアイディアがかなり評価された。リュピタルから他の4国へ陸路を使って交易が更に広がるからである。
食堂での会食ではやはり料理の腕前が評価された。近衛師団長は特に気に入ったらしく、チャックに猛アタックをかけていた。
「しかし、良く魔の海峡を通れたのう」
「今までの帆船ではあの海峡を通過するのは不可能です。海流と海流がぶつかる事による悪天候とうず潮で船の制御が出来ないのです。『アルゴー』は魔導船で動力が別ですから全く問題無く通過しました」
「なるほど…アレスは魔の海峡を渡れると分かっていたのじゃな?」
「確信では無かったですが、ある程度は読み通りでしたね」
「コレから忙しくなるのう。楽しみじゃな」
「領主様は実は私が就航させると確信してたのでは有りませんか?そんな気がしてならないのです」
「フハハハ!!そこまでの先見の明など有りはせぬよ!ただし賭けには勝ったがな!」
「アレス…お前のお陰でボロ負けだ」
「ええぇ〜〜ギルマスが?」
どうやら領主様はギルマスと賭けていたらしい。何だよギルマスはオレがしくじると思ってたのかよっ!オレが生温い目で見てるとギルマスは「そんなに怒るなよ…先に領主様にお前が来る方を取られたのだよ…」とガックリ来ていた。
こうして和やかな雰囲気で見学会は終了し、領主様とギルマスは帰って行った。
明日から街の皆さんの見学会を開催する事も領主様より許可を頂いて居るので、朝から回ってもらう予定だ。
と、その前に…『ダーラムス』からオレを”見学”してる人間を捕まえてやるかな。
オレは甲板に行くふりをして階段の所で天井に張り付いた。するとオレを見失ったフードの人が慌てて探している。オレは天井から声を掛けた。
「もうそろそろストーカー行為は止めてくれないかな?」
「!!そ、そんな所に…」
ん?この声聞き覚えがあるぞ…えっと…誰だっけか?
オレはフードの男の前に降りる。
「あれ?貴方は…」
「いやぁ、見つかってしまったのう…」
「サガン様??」
『コックスナル』十老頭のサガン。押しも押されぬ十老頭のトップであり、商人達の神様みたいな存在である。何故この人が…しかもお忍びとは…。
「フハハハ、アレス殿久しいのう。いやぁこの船や魔の海峡をどうやって越えるのか興味があってのう」
「なるほど…どおりで殺気も無いわけだ…これで分かりましたよ」
「何と?気付いておったか?」
「伊達にS級の特待員やってませんよ…『ダーラムス』からバレバレです…」
「そうだったのか…イヤイヤ、スマヌなぁ〜ホッホッホ」
「さあ、食堂で飲み物でもいかがですか?美味しい紅茶も有りますよ」
「そうか、ならば頂くとしよう」
オレはサガン師を食堂に連れて行く。オレはチャックに紅茶を頼んで席に座る。
「全く…声を掛けてくれれば良いのに…人が悪いですよ」
「まあ、そう言うな…そのおかげで色々と面白いモノが見れた。この船の凄さや君の凄さもね」
「それが目的ですか…全く…サガン様は自分で見ないとダメな人ですか?」
「うむ、やはりな自分の目で見た物は嘘が無いからな。それに情報量が違う」
「なるほど…『百聞は一見にしかず』ってヤツですね」
「ひ、やくぶん??」
「”百回聞くよりも一回見た方が良く分かる”という意味ですよ」
「ほうほう、難しい言葉を知っておるな。その通りじゃよ、やはり自分の目で見るのが確実じゃ。やはり見に来て良かったぞ」
「そうですか。まあそれならば何よりですよ」
キャサリンが紅茶を持って来たので二人で飲みながら話を続ける。
「しかし、あのシーサーペントとクラーケンの争いには肝を冷やしたぞ…まさか一撃で仕留めるとは思わなかったが…」
「まあ、あの程度なら…しかしあの位は避け切らないとダメなので『アルゴー』には回避の方法を考えさせてます」
「ほう…船自身に考えさせるか…」
「魔導船でありオートマタでもある『アルゴー』にはそういった予測や考える事も出来る様に造っています。経験を重ねる毎に進化する様に…常に同じ航海は存在しませんからね」
「なるほど、最善の一手を考えさせるか…面白いな、この船は」
「安全を考えると船体の姿勢制御は常に行わないといけないのでオートマタとして魔導船を造ったのです。相手は自然ですからね手強いですが」
「波や風に全て委ねない任せないと言う事か。自然相手では厳しいだろうがな」
「その為の魔法です。それも逆らうのでは無くかわしたり、利用したりと…水流と風の魔法が鍵ですが」
「言うは簡単だが…」
「その為の大きさと重さ、そして鋼鉄製なのも理由があるのです」
「色々と考えておるのう。ホントにお主には脱帽じゃよ」
「恐れ入ります…」
だけどサガン師は知らない。このオレを上手く操っているのは、誰あろう我が兄マイケル=デュミナス卿である事を。そしてサガン師はその事を兄と対面した時に初めて知るのである。
こうしてサガン師と話をしているとカルタスがやって来た。カルタスさんはサガン師を見てエラいビックリしていた。
「サ、サガン様…?何故サガン様がこの船に??」
「フフフ、『ダーラムス』よりコッソリ乗っておったのだ」
「いやぁビックリしましたよ…アレス様はご存知だったのですか?」
「『ダーラムス』からオレを見てる人が居るのは知ってたけど、サガン様と知ったのはさっきだよ」
「やはり見に来られたのですね…来る時は話があると思ってましたが…まさかお忍びとは…」
「もうすぐお迎えが来る老いぼれじゃ、好きにさせてくれんか?」
「もうすぐお迎えが来る人はこんな事しませんよ…」
「ホッホッホ!そうかのう?ホッホッホ」
カルタスさんをビックリさせて何故かご満悦のサガン師であった。
その後、デュミナスとの交易に関して正式に話を進めたいと言う事と税率区分などを話したいと言う事であった。まあ、詳しくは兄さんとやってもらう事になるのだが、『ダーラムス』との関係はどうするのか?など色々と話をした。やはりこの人はひと筋縄ではいかないな…やはり交渉はマイケル兄さんとやってもらおう。
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これからも楽しい物語を書いていければと思っております。
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