さて、新たな港に向かい旅立とうか。
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途中2回ほどの嵐に遭遇したが『アルゴー』はそのまま進路を突き進んでいた。乗客も最初は戦々恐々としていたが、2回目の嵐の時にはほとんど気にしていない様子だった。
『ラスカンフェル』を出てそろそろ10日になるので前方を注視していると船らしきものが見えてきた。そろそろかと思っていたがやっと『カスケード』がやって来たのである。『カスケード』が汽笛を鳴らしながら近付いて来た…と言っても船同士だから離れているのではあるが。
操舵室ではテレビ電話魔導具でヴィーグル船長とモーグ船長が話をしている。
「よお!モーグ!久しぶりの海はどうだ??」
「お頭、この船ってオレは要るんですかい?」
「フハハハ!!お前オレがアレス坊に言ったのと同じ事を言ってるぜ!!」
「いやぁ〜何でもこの『カスケード』がやっちまいますからね…名ばかりの船長って気がしてますよ…」
「嵐はどうだった??揺れたか??」
「少しくらいは揺れないと…でも大きくは揺れないですよ。大した船ですよコイツは…それでこの速度ですからね。凄い船ですよ」
「まあ、嵐が多い海域なのはお前も承知の通りだ。上手く嵐を抜ける様にだけ気を付ければいいぞ。そういうのも教えてやるのが俺らの仕事だ」
「なるほど…とりあえず了解しましたぜ。お頭はそのままリュピタルですかね?」
「ああ、他も回ってからリュピタルだな。魔の海峡に挑戦だが…まあ、大丈夫だろコレは。座礁だけ気を付けるがそれの対策も万全だからな」
「レーダーやソナーだけで無く、空と海中も調べてますからね。完璧ですよ」
「だな。まあ後は行ってみない事には解らないからな!」
「そうですね!それじゃあお頭!アッシはこの辺で…」
「おう!またな!」
ヴィーグル船長とモーグ船長が話しをしている最中、オレとカルタスさんは商人達と『カスケード』を見ていた。商人達は『カスケード』もかなりの大型船だと言っていた。『アルゴー』が規格外にデカいのかもしれないね…この世界では。
「おい、あの船もかなり速いぞ!!アレが『ラスカンフェル』とデュミナス領の定期便になるのか?」
「うん。あの『カスケード』は定期便専用にする事にしたよ。ほぼ1ヶ月周期に行き来できそうだよ。思ったよりも早くすれ違う事になったし」
「アレス様、やはり『ターディス』にも定期便が欲しいですね。恐らくは向こうもその様に言ってくるでしょう」
「だよね〜。サガンの爺様ならそうゴリ押ししてきそうだね…とにかくマイケル兄さんと相談だね。情勢にも寄るからね…そこら辺を見極めないと」
「こりゃ連邦の奴らにひと泡吹かしてやれそうだぞ!」
「あいつ等散々人の足元見やがって…これからは海上交易でガッチリ儲けてやるぜ!」
「こっちから封鎖してやれば良いんだよな!」
かなり帝国の商人達は連邦に恨みを持ってる様子だ。まあいきなり封鎖されたらそうなるわな。コチラにとっては良い事ずくめなのだが。
「そう言えばアレス様、中型船はどの位の期間で造れたのですか?」
「1ヶ月掛からないかな。次はもう少し早くなると思うよ」
「はあ??あ、あの船を1ヶ月で造ったって??馬鹿言いなさんな」
「いや、事実だよ。この船が3ヶ月くらいだからね」
「おいおい…マジかよ…」
「ウチの『オケアノス』は巨大な造船用オートマタだからね。24時間年中無休で造るから早いのさ」
「デタラメにも程があるな…」
現時点で中型船は造り始めているはずなので着く頃には1隻、リュピタルまで行って帰る頃には3隻にはなってる。これを就航させると王都までや『コックスナル』には早く着くから便利である。
それから嵐には遭遇せずにデュミナス領まで行く事が出来た。デュミナス領に到着するとどデカい灯台が出来ていて、船内の乗客がビックリしていた。正直、オレもビックリしていたが…。
ここで3分の1くらいの商人達が降りて街道を通り、色々と回って行く様である。他は出航までの一時滞在だが商売は忘れない。かなりの大盛況ぶりで街中どんちゃん騒ぎだな。
オレはタマとフクゾウを連れてマイケル兄さんの屋敷に戻った。
「ただいま〜〜」
「おかえり!ご苦労様だったね!」
「ニャア〜〜!」
「おかえり〜タマ〜元気にしてるみたいだね〜」
タマは兄さんにモフモフされてご満悦である。マイケル兄さんはオレの肩に乗ってる小さな黒いスライムに気が付いた。
「おや?新顔だね?黒いスライムとは珍しいね!」
「うん、黒スライムの『フクゾウ』だよ。フクゾウ!マイケル兄さんだよ、ご挨拶して」
フクゾウはマイケル兄さんの肩に飛び移ってぴょんぴょん跳ねている。
「フクゾウ、宜しくね!」
「ところで兄さん、カノーはどうしたの?」
「カノーには王都に行ってもらっている。兄上への書状とか色々ね」
「ほうほう。何か悪巧みですか?デュミナス卿…」
「それ、やめなさいよ!」
マイケル兄さんはまだデュミナス卿と呼ばれるのが苦手な様だね。もうそろそろ自覚してもらわないとなあ〜。
「そうだ!アレス、今度ウチにも冒険者ギルドが出来る事になったぞ」
「ええ!!本当ですか??ビックリだな!!」
「急速な発展と海上交易の中心地として認められたようだ。まあ、十老頭が動き出したのだ、冒険者ギルド本部も動かざるおえまい」
「確かに…総長はかなり牽制してましたからね。そうですか冒険者ギルドがココに…」
冒険者ギルドが街に出来ると言う事は、その街が認められた証でもある。大きさや経済力、ダンジョンの有無なども有るが、交通に関しても要所である事も重視される。ウチは経済力と交通の要所で選ばれたのだね。
「街の名前どうするの?マイケルにするの?」
「それだけは無い」
「じゃあどうするの?デュミナス?」
「向こうの屋敷のある方をデュミナスにしようと思ってたんだ。こっちはどうするかな…」
「エリオットにする?」
「エリオット兄さんに焼き殺されたくはないね…」
「ミレーナ…は無しで…」
「おっ、良いじゃないか。ミレーナは喜びそうだけどな…僕は構わないが」
「ミレーナ姉さんの銅像とか立てさせられそうだよ…オレが…」
「よし、ミレーナにしよう。それが良い」
マジでミレーナになってしまった…。港町ミレーナ…まあ、悪くないかもな。デュミナス領の屋敷のある街は『デュミナス』そして港町は『ミレーナ』と正式に決まった。冒険者ギルドはミレーナに置かれる予定だ。
「アレス、ミスリル鉱脈の洞窟までの開発に着手するよ。リッカさんの薬草地図からは離れていて問題は無さそうだ」
「鉱脈の洞窟を精製所に作り替えますか?そうすれば今よりは効率も上がります。開発地は薬草畑ですかね?」
「開発地は薬草畑だね。今の場所よりも魔素が濃いのでもっと良いものが出来そうだとリッカさんが言ってた。洞窟は精製所に替えよう、効率化を目指すのと鉱脈の防衛もやらないとね」
「なるほど、オートマタで開墾は大丈夫そうですね。精製所は結界と警備用オートマタを新たに造るかな。『タマダ弐号』を防衛隊の管理者にします」
「うん、そこら辺はアレスに任せる。『アルゴー』でリュピタルまでの道筋が付いたら着手してくれ」
「分かりました。あ、そうだマイケル兄さん、【ガイム魔虫】の件ですが…繭を作った様なのでもしかするかも知れません」
「なっ!?本当なのか?それはとんでも無い事だぞ?」
「明日、実験場に行ってきます。『オオワダ』君が上手くやってると良いんだけど…」
翌日、【ガイム魔虫】の実験場に向かった。『オオワダ』君が土下座をしながら世話をしているようだ。非常に熱心な『オオワダ』君に感心するよ。
「どうだい『オオワダ』君?【ガイム魔虫】の具合は?」
『アレスサマ、【ガイム魔虫】が卵産んだアルヨ。卵は保護の結界してるアルヨ』
「凄いじゃないか!!コレで孵ってくれたら…『オオワダ』君を常務に昇格だ!!」
『アレスサマ、常務ってナニアルカ?』
イマイチ感動してない『オオワダ』君をよそにオレは感動していた。これが成功したら…世界中がひっくり返るぞ!!
マイケル兄さんに報告すると兄さんもかなりビックリしていた。これはチャンスとしか思えない。後は無事に孵化してくれるのを祈るばかりである。
そしていよいよ出航の日である。
馬車の駐車スペースは初めて9割に達した。やはり商人の口コミは凄い。オレもマイケル兄さんもホクホクである。既に完成していた中型船は『シルフィード』と名付けられ、既に出航している。『ミレーナ』と『ナガースフ』を結ぶ。この船にもヴィーグル船長の元手下のコリーさんというおっちゃんが船長になってる。
「よし!『アルゴー』発進!!『ナガースフ』に向かえ!!」
ヴィーグル船長の大きな声で引き締まる思いだ。さあ、待ってろよリュピタル!!こうしてオレ達はリュピタルの『セリュース』を最終目的港として出航したのであった。
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これからも楽しい物語を書いていければと思っております。
素人の小説モドキですが、皆様に楽しんで頂けたら嬉しいです。




