さて、船旅を更に楽しもうか。
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ブクマ人数が100人超えました。
嬉しい…。
『ターディス』を出発したオレ達は『ナガースフ』へ戻って行く。
今回は馬車の数も人の数も倍近くのお客が利用している。その大半は『コックスナル』の目ざとい商人達である。
彼らは今までの移動手段とこの船旅を天秤にかけているに違い無い。まあ、どう考えてもうちの船に乗る方が良いに決まってるけどね…子供でも分かる話だよ。1回でも使ってしまえば戻れないだろうね。
船内を歩いていると質問を受ける為に『アルゴー』の球体がそこら中に居てお客と話している。凄いタスク容量だなぁ〜聖徳太子もビックリやあ〜。
歩いているとカルタスさんがやって来た。
「アレス様、先程マイケル様より連絡が参りまして、デュミナス領の例のモノが出荷出来るらしいです」
「おお!遂に来たか…アレが出荷出来れば更にウチの有望株になりそうだよね!」
「他では中々難しいでしょうからね。しかしながら良く思いつきましたね…アレス様には毎回驚かされますよ」
「実は随分前からリッカさんに樹海の薬草の生息地分布図を依頼しててね、それを見た時に何種類かは育てられないかな?と思ったのがきっかけだよ」
そう、デュミナス領の次の一手は薬草の特産品としての栽培である。薬草の中でも育てやすいモノでなおかつ貴重なモノを厳選して栽培に挑戦していたのだ。リッカさんにアドバイザーを頼み、移住して来た中でも試験栽培に明るい人を厳選してやって貰っていた。
その中の一つでマジックポーションの素材になる薬草の栽培に成功したのだ。
「まだ何種類かは試してますからね〜楽しみですよね。ところで栽培した薬草はそのまま乾燥させて売るのですか?それとも製品にしちゃいますか?」
「リッカさんの話だと他の薬にも利用する様だから、乾燥させた物もある程度は売ろうかと。でも基本はコチラでマジックポーションを製造する予定だよ。そうなれば仕事の受け皿になるからね」
「なるほど!仕事も増えて売る商品も増えると…流石ははアレス様だ」
「褒めても何にも出ないよ」
「またまたそんな事を言って…ところでもう一つのアレは…」
「ああ、う〜ん…徒労で終わる可能性が高いとは思うのだけど…まあ、モノは試しって感じだよ。期待はしないで」
「そうですか…アレがもし出来たらもっと大変な事になりますよ…」
「そう思って持って帰ったのだけどね…向こうでは笑われたよ。他にもそういう輩は絶えず居るらしいからね」
俺が持って帰ってきたのは【魔虫ガイム】である。『ロックス』の孤児院で忍法を操るという少年マルスに逢えなかったオレはガイムシルクを少し調べて【魔虫ガイム】の養殖場まで足を運んだのだ。
その時にオレが持って帰ろうと想わせたのが、ガイムが食べていた草である。それは何度と狩りで入った樹海に見慣れた草であったのだ。それとこの不毛の地の魔素の量である。それが感覚的に樹海のソレに似ていたのである。
それらの事から向こうの人には笑われたが、【魔虫ガイム】を譲り受けてデュミナス領に持ち込んでいたのだ。
今は区画を少し設けて例の草がふんだんに在る樹海の場所で【魔虫ガイム】専用のオートマタ『オオワダ』君に任せてある。
『オオワダ』君は二足歩行の飼育用オートマタなのだけど、世話をする時に土下座の様な格好で見守るので思わず命名してしまった。まだ”常務”ではなくヒラだけどね。コレが上手く行ったらもちろん”常務”に昇格だな。
「まあ、そっちは気長にやるさ。ところでアルミの原材料はどう?造船にはアルミの合金を多用したいからさ」
「今回もコチラに搬入していますよ。最近コチラで何かに使ってると思われたのか、有料でとか言って来たので場所を変えたばかりです。無料じゃなきゃ要らないよってスタンスで。直ぐに謝ってきましたけどしばらくは放っておきます」
「流石は『守銭奴のカルタス』とよばれるだけはあるなあ」
「それ、やめて欲しいのですけど…」
カルタスさんと話し別れた後で聞き耳をたてていた商人達から色々と聞かれたが、小出しに話をして離れていく。
そう、カルタスさんとオレは彼らが聞き耳を立てている場所でわざわざ話しているのだ。コレでデュミナス領の交易品に興味を持つだろうし、口コミも広がるって訳だ。船旅は情報操作や情報交換の楽しい場でもあるのだよ。
甲板に出ると何やら集まって酒盛りしてる奴やゲームをしたり、魚釣りしたり、遊んだりしている人達もいる。結構広いスペースだしなあ。そうだ、暑い時期にはビアホールやろう。
釣りをしている人に声を掛けてみる。
「何か釣れますかぁ〜?」
「お兄さんで5人目〜」
なるほど、魚は釣れてないみたいね…。オレはデカい魔導具リールをつけた竿を取り出して海に疑似餌を放り込んだ。しばらくするとヒットした様でリールを自動で巻き取ってゆく。結構な大物じゃね?
「ウルア!!!」
掛け声と共に引き上げるとメーター位の魚が飛んで来た。シーラに似た魚だなあ。
オレは釣れない人達の生温い眼差しを受けながら頭の急所を刺して神経シメをする。意気揚々とチャックの所に持って行くと…
「坊っちゃん…コイツは毒があるので食えないですよ…」
先に言ってよぉ〜。だから生温い眼差しで見てたのかよ!!
釣りに失敗したオレはまた甲板に戻るとちょっと騒がしい。
「おい!ワイバーンがコッチに来るぞ!!」
「ヤバい!逃げろ!!」
とか大騒ぎになってる。『アルゴー』は大丈夫だと説明してるのだが、乗客は結構パニックになってる。仕方無いので拡声器で大声を出す。
『みなさーん!!落ち着いて!!この船はワイバーンの攻撃も弾き返しますので安心して下さ〜い!!』
といった先からワイバーンの火球が弾かれている。でも何でこのワイバーンは【禁書】の『モンスターララバイ』が効かないんだ??ちょっと興味が有ったのでタマに狩らせる。
「タマ、お願いね」
「ニャアアア!!!」
タマは空中を走る様にワイバーンの元まで行くと、まるで瞬間移動の様にワイバーンの懐に入り、タマの猫パンチ一閃!!ワイバーンは首元をざっくり切り裂かれて絶命した。
落下しそうなワイバーンに強烈タックルで甲板までぶっ飛ばす。タマは空を走る様にオレの肩の上に。よーしよーしと頭を撫でてあげる。とても可愛い。
タマはワイバーンくらいなら魔力持っていかないでも片付けるからね。
乗客が見守る中異次元バックマックスにワイバーンをいれ込んで再びチャックの元へ。
「坊っちゃん、また何か持ってきましたね?」
「ワイバーンを狩ったよ。どうする??」
「おお!ワイバーン!!甲板で捌きましょう!!」
チャックと甲板に戻り、ギャラリーが居る中チャックがきれいにワイバーンを捌いていく。ギャラリーからはため息が漏れるほどきれいに捌いていく。
「坊っちゃん、コイツは繁殖期のオスだね。頭がちょっと赤いでしょ?」
「そうか、だからこっちに来たのか。餌取り要員なのだね」
「まあ、ココに襲ってきた時点でアウトだわ。坊っちゃんが居るんですからね」
「うん、狩ったのはタマだけどね」
「おお、タマも流石に強いなあ!坊っちゃんの相棒ですからね!」
「ニャア〜〜」
タマもチャックに褒められてご機嫌である。
この日の乗組員の晩飯はワイバーンステーキだった。
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