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さて、船内で悪さをする奴は魔物のエサにしようか。

お読み頂きありがとう御座います!!

港町『ナガースフ』で客の乗り降りや荷物の搬入に4日かける予定である。

辺境領からの荷物はカルタス商会の物のみなのでココで王都行きのだけ下ろす事になっている。今回の航海は辺境領から『ナガースフ』そして『ダーラムス』に向かうのである。

『ダーラムス』の就航許可証は1ヶ月ほど前に辺境領に届いている。ちゃんとギルマス頑張ってくれたんだなあ。

今回の航海は試験航海も兼ねてなので魔の海峡超えはこの次に計画されている。ホントはこのまま行きたいのだが、マイケル兄さんとヴィーグル船長とカノーの3人がストップさせた。

マイケル兄さんは新型船の事を心配しての事で、ヴィーグル船長は魔の海峡にぶっつけ本番で行くのを許可せず、カノーは辺境領の交易品が品薄状態になる事を見越してのダメ出しだった。

流石に3人からの意見ではオレがひっくり返す訳にも行かない。と言う事で『ダーラムス』までの航海となっている。


ここから『ダーラムス』までは16日程度を予定している。『ダーラムス』から『コックスナル』までは5日も有れば着くので、陸路の4分の1程度で到着するのだ。

ちなみにオレ達が鉄馬と『シュワ』ちゃんを使って24時間走りっぱなしでも、王都から『コックスナル』までは1ヶ月チョイ掛かるからこれでも船の方が早く着く。普通の馬車なら鉄馬の3倍近くは掛かるのだから使わない手は無いと踏んでいる。

それに、ただ船での移動だけなら現地での馬車の用意も荷物の搬入搬出もやらなければならない。コレだと結局金も時間も余計に掛かる。

だが、馬車ごと船での移動なら降りたらそのまま移動出来るので時間も手間も金も使わない。

この船が陸路で使う経費の値段で使えるならお得だよね…と商人なら誰もが思うだろう。


船内での飲食は馬車でも構わない。ただし、ゴミは有料。火を使う事は禁止。破ると違約金で10倍取ると念押ししている。ここまでの航海では食堂が使われるのと馬車で食べるのは半々くらいかな。食堂は安くて量が多いので人気上々である。


ここで問題になるのは盗みなどの犯罪行為である。基本は犯罪行為をした者は直ちに下船して頂くと明記している。つまりは海の魔物の餌である。魔導具カメラを死角無く配置し、オートマタの見回りは警備用と隠密タイプにガンガンやらせてるので見つけ次第海に落とす様になっている。


今回、王国までの航海では出なかったが、『ダーラムス』までの航海で王国から乗って来た連中がこの船最初の犠牲者となった。

この連中は街を渡り歩いて盗みを働いていた様で、この船の事を聞き付けてやって来たらしい。

どういう言い訳をするつもりなのかちょっと興味が有ったので尋問する事にした。


「俺達が何したって言うんだ!あ?」


「証拠見せろや!証拠!!」


こいつ等は仲間もとっくに捕まってるのも知らずに息巻いているのだ。


「じゃあこの魔導具画面を見て下さい。コレは今日の1時頃の映像です」


馬車から物を盗む姿がバッチリ映っている。そして逃走経路から持って行った先までの一部始終が全て映っていた。コソ泥達は口を開けたまま何も言えない。

だが一人は何とか踏みとどまってまくし立てる。


「こ、こんなもん証拠になるかよ!お前らが俺達を盗人に仕立てようとしてんだろ!!」


「困ったなぁ〜この魔導具を造ったのは冒険者ギルドS級特待員のオレなんだよね」


「と、特待員って…あのオークロード殺しの…」


「あと、この持って行った先の連中も取り押さえて、盗品も既に回収済みなんだよね」


「なっ!…」


「バカな!!…」


「さて、そろそろ順番を決めて下さいね」


「順番??」


「何のだ??」


「もちろん、海に落とされる順番ですよ」


二人はこれからの事を悟ったのかブルブル震え出した。


盗人合計5名を甲板上の台に乗せて晒し者にすると、乗客達がそれを見て野次などを飛ばしている。良い頃合いにヴィーグル船長が乗客に向かってスピーチする。


「こいつ等は人の荷物を盗みやがった!!海の法に基づいて下船させる!!文句ある奴は手を上げろ!!」


もちろん文句無しで落とせ落とせの大合唱だ…うわぁ〜、すげぇ〜。


「では元お客人に下船して頂こう!!ウラアッ!!」


ヴィーグル船長の喧嘩キック炸裂!!バンバン落とされて行く!!うわぁ凄え!!

海に落とされた悪党は縛られてるから溺れるのは確定だけど、魔物が寄って来てガツガツ食べられちゃうのよね。お気の毒様。

船の上では海の法で裁かれる。コレは船乗りの常識だそうだ。船長は大歓声を上げてる客に大声でこう言った。


「ウチの船は冒険者ギルドS級特待員であの『オークロード殺しのアレス』が造った魔導具で監視や警備をしてるからよ!!皆、安心して乗ってくれや!!」


とまた大歓声だ。ヴィーグル船長は人を乗せるのが上手い、流石は元海賊の頭だな。ってか『オークロード殺し』とか言われた事無いんてすけど…。


こうして悪党は海の藻屑と消え、船は順調に航海して行く。


途中で漁船団とすれ違ったが、ウチの船の王国の旗を見ると、みんな手を振ってくれた。あのリーダーが居たかもしれない。漁が出来る様になったんだね、ホントに良かった。


「デカい魔物も少ないし海賊も出ねえ…アレス坊の言った通りだな。いや〜参った」


「色々と手を打ってますからね。だから就航許可証も貰えたんですから」


「一体何やったんだ?普通そこまで優遇されねぇぞ」


「うん、皆を困らせてた黒のクラーケンをやっつけただけで…」


「はぁ??クラーケンだと??馬鹿言うな!!ありゃあ倒せるもんじゃねぇぞ!!」


「てか、この船の魔導炉に使ってるデカい魔石見たでしょ?アレが黒のクラーケンの魔石だよ」


「…マジかよ…後でどうやって倒したか教えてくれねぇか?…」


「簡単ですよ、陸に飛ばしたんです。そこでオレとタマでやっつけたんです」


「と、と、飛ばすって??」


「瞬間移動の魔導具を改造して大きな物も運べる様にしたんです。5キロ先くらいならこの船も飛ばせますよ」


ヴィーグル船長はビックリしたような顔で固まってるし…まあ、普通はその反応だよな。


「これからは『黒のクラーケン殺しのアレス』にするわ…」


「だから、それやめなさいよ!!」


またどーしようもない二つ名を付けるつもりだな…。気を付けないと。


そんな感じでオレ達は粛々と『ダーラムス』を目指した。



◇◇◇◇◇◇



『ダーラムス』の近くの洋上にて、オレ達は魔物が少なくなった海で漁を再開している。


もう半年も前にもなるだろうか、突然、冒険者ギルドのギルドマスターから船を出して欲しいと言われた。ギルドマスターは昔からの知り合いでオレ達には良くしてくれてたから仕方無くその話を受けた。その船に乗ってきたのは小さい子供。何でも特待員でS級だと言う。

その子供は黒のクラーケンを一瞬で陸地の方に飛ばしてしまった!!そして陸地であの悪魔の様な黒のクラーケンを倒してしまったのである。

そしてその子供は魔石だけ取ると


「後は皆さんで使って下さいね。苦労されたのだろうし討伐依頼も無いんだから自由にどうぞ!船を買い直して漁を再開しても良いかな。もう魔物少ないですからね!」


オレ達はその子供の名前は忘れない。その名は…。


「リーダー!!前の方から何か来ますぜ!!」


「何だあの白いのは…速いぞ!!」


「みんな避けろ!!魔物かもしれん!!」


「ちょっと待て!前に錨か??」


「デカいぞ!!避けろ避けろ!!」


とてつもなく速くて白い物体が近くにやって来る。思いの外デカい。

上を見ると旗がたなびいている?ありゃあ船なのか??

ボーーーーー!!ボーーーーーー!!

音が鳴っている警戒用なのか??あの旗は…王国の旗??

まさか…あの坊やか???


「おい!みんなありゃあアレスの船だ!!クラーケン殺しのアレスだぞ!!」


「アレス!!〜〜〜!!お〜か〜え〜り〜!!」


船の上から手を振る人が沢山居るのでアレスの姿が分からない…。

オレ達は手を振った!アレスに届く様に!!

ありがとう!!アレス!!

必ず礼を言いに行くからな!!待ってろよ!!


ブクマや評価を頂きまして大変感激しております。

つたない小説モドキですが、皆様の応援が大きなモチベーションになっております。

また読みたいと思われた方はブクマと星な評価をお願い申し上げます。


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