閑話その肆、コックスナルの歓喜と憂鬱。
お読み頂きありがとう御座います!!
オレは『ダーラムス』から『コックスナル』に向かった。
1つは我が同士ゴードンさんと魔導具の話しをする事。こっちは楽しみ。
もう1つは冒険者ギルド本部に行ってオークロードの件と先日の黒いクラーケンの件を報告に行く為だ。こっちは苦痛。
まずは苦痛の方から…と言う事で冒険者ギルド本部にやって来た。
受付のお姉さんに顔を覚えられてた様で、直ぐにアレックス本部長がやって来て、いきなりゲンコツを1発食らった。死ぬかと思った。
「痛っ!!とっても痛いんですけど〜!暴力反対!!」
「何言ってやがる!こっちがどんだけめいわくしたと思ってんだ!ゴルァ!!」
「急ぎの用が有ったんだから無理言わないで下さいよ…。とりあえずオークジェネラルをどこに置きますか?」
「おう!こっち来い!」
アレックス本部長は裏の解体場に案内した。ここにも解体場有ったんだね。
オレはオークジェネラルを6匹取り出した。
「おい、コレだけかよ?黒いクラーケンは??」
「アレは魔石だけ貰って他は漁民のリーダーに渡しましたよ」
「はあ??な、なんて勝手な事を…」
「別にギルドからは討伐依頼も出てないし、漁民の皆さんは何年も被害を受けて来たんですよ。被害額の補填としちゃあまだまだ足りないくらいですよ」
「くっ…正論ばっかりこきやがって…よーしそういう態度ならお前もクソジジイ共の所に連れてくからな、覚悟しろよ」
オレとアレックス本部長はクソジ…じゃない、『老頭館』に向かった。
『老頭館』とは『コックスナル』の最高合議会が行われる場所である。そこでの決定は連合王国の決定より優先される最高決定機関の位置づけだ。
オークロードの討伐依頼はここから直接出ていた為に報告の義務があったのである。それをオレが蹴っ飛ばして逃げたので、ギルド本部が尻拭いをしてたのである。
入った合議場には十人の老人達が座って待っていた。何か最高裁判所の大法廷みたいだな…。
オレ達被告…いやいや、報告人は前に出された。
「お前がS級特待員のアレスか?オークロード討伐したのはお前達で相違無いか?」
「はい。冒険者はオレとサテランティス、後はトールさんの三人ですね」
「サテランティス…とトールはどうした?」
「今は実家に帰ってまして、しばらくは戻らないです」
「うむ…何故オークロードと闘う事になったのか説明をして欲しい」
「はい。我々の前にオークロードの軍勢が出て来たからです。ちょっと急いでたので…」
「な、なんと無謀な…逃げる手もあったろうに…」
何かざわざわしてる…面倒臭いなあ〜。隣のアレックス本部長は我関せずみたいにしちゃってさ…ブツブツ…。
「とにかく、オレの前に立ちふさがる敵は必ず殲滅してきたので同じ事をやったまでです。何か問題でも?」
「失敗したらどれだけの被害が出ると思ってるんだ!!責任を取れるのか?!」
「オレ、失敗しないので」
議場がし〜んとなった。よし!決まったぜ!やっぱりこのセリフはカッコイイなあ!
「では失礼を…」
「ま、待て待て!まだ有るのだぞ!クラーケンの件だ!!」
「クラーケン?ああ、あの黒いのですか?アレはクルージングに出たら”タマタマ”襲って来たので退治しました。降りかかる火の粉は払うので…何か問題でも?」
「むむ…それこそ失敗したらど…」
「オレ!…失敗しないので」
今度は被せ気味に言ってやったぞ!カッコイイ〜〜!!
「後は本部長にお聞き下さい。では失礼…」
オレは挨拶をしてそのまま部屋を出てしまった。
「なっ!アレス!ちょっと待てこの野郎!…」
後ろからのアレックス本部長の声が聞こえた。ウヒヒヒ…我関せず…なんて気取ってるからそうなるんてすよ!
オレはそのまま冒険者ギルド本部まで向かった。冒険者ギルド本部に着くと馬車に居たはずのタマが居ない。あれ?と思ってたら本部の入り口からタマを抱えたミラさんが出て来た。
「フフフッ、どうやらあの筋肉馬鹿を置いて来た様だね。流石はアレス、良くやったわね」
「ミラさん…あの後大丈夫でした?」
「もう大変だったわよ…今でもほとんど軟禁状態なんだからね…」
まあ、サボってオレのところに来たミラさんが悪いのだけどね…多分常習だろうし…。
「それよりも随分とご活躍じゃないのよ。オークロードと黒のクラーケンと来たか…中々やるわね」
「たまたまですよ。向こうから勝手にやって来るので仕方無くですよ」
「へぇ~、その割にはクラーケンは積極的だったらしいわね?」
「アレはウチで今度就航させる交易船の安全に関わる事なので」
コレは死活問題だからね。ココとの交易が繋がるかどうかで色々と差が出る。
「まあ、元気にやってるなら良いわよ。ただし、あまり派手に動き過ぎるとご実家から目を付けられるわよ。魔物退治も交易もね」
あっ…そうか…。マイケル兄さんもオレも感じてた、あのイヤな感じは父の事か…。
「はい、気を付けます。ご助言感謝致します」
「なに突然仰々しくなってんだい…。何かあったら相談しな。ウチ等はアレス、お前の味方だからね」
「いつもありがとう御座います。そういう時は遠慮無くそうさせてもらいます」
それからミラさんとしばらく魔女の国の事やサテランティスとトールさんの事などを話した。ミラさんはもう少し話したかった様だが、不穏な魔力を感じ取って「じゃあね」とタマをオレに預けて逃げてしまった。オレもマジにヤバいので直ぐに本部を離れた。
本部を離れたオレはゴードンさんに会いに行く。前は素通りしたから会えなかったもんね。店に行くとお客が結構居てメイドのオートマタが一生懸命働いていた。ほう、忙しいのは良い事だね。
「ゴードンさん!!アレスです!!」
「おっ!アレス!良く来たな!お前何かやらかしたって?冒険者ギルドでエラい騒ぎになってたぞ!」
「大した事無いですよ。それより…」
まあ、コッチだ、とゴードンさんに連れられて奥の部屋に入ったオレが席に着くとお茶を持って来てくれた。
オレはゴードンさんに小型化すべく開発途中の時計型転移装置の件を相談した。何故か動かなくなる現象を遂に突き止められなかったのだ。ゴードンさんは話を聞き、その魔導具を色々見ながら少し考えた後でこう言った。
「そうだなぁ…俺が考えるにはマジックポケットを使ってる事で亜空間の干渉が起こってるんじゃ無いかと思うんだ。転移だって亜空間を使うだろ?それくらいしか考えられないな」
「ハッ…そ、それだ!!ソレだよゴードンさん!!やっぱ流石だよ…なんで気が付かなかったんだろ…」
目からウロコとはこの事だ。ゴードンさんはオレが散々悩んで結論が出なかった問題点を一発で指摘してみせた。やっぱり持つものはマニアな友だよなぁ〜〜。
「まあ、よくある事さ。自分で見えない物も人から見ると良く見えたりするからな。アレスの役に立てたら嬉しいよ」
「ホント悩んでたんだ…いやあもっと早く相談したら良かったよ…」
「アハハハ!お前も忙しそうだからな。あんまり無理すんなよ」
それからゴードンさんと食事を挟んで夜中まで魔導具について話してしまった。二人で話していると色々なアイディアも浮かんでくるし、今回作ろうと思ってる魔導交易船の事なども相談して、色々と貴重なアドバイスをもらったりとホントに楽しい時間だよね!
いやぁ〜どっかの鬼と変な年寄り達と話すよりずっと良いね。正に天と地の差だよ!
早く交易船を就航させてココにも来やすくなるようにしなきゃな。
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