どうやら誕生日を忘れた人が居た様です。
お読み頂きありがとう御座います!!
テラー村長がマイケル兄さんとギッデ親方の工房に行ってる間、オレはトールさんとヘビーモスの件で話しをしていた。
「あのヘビーモスはこの樹海に住んでた奴なんですかね?」
「うーん、本来はダンジョンの下層とかにいるのがほとんどで、こういう場所に居るのは珍しいと思うよ」
「そうなると…ダンジョンがあるのかな?」
「確かに考えられなくも無い…スタンピードとか…だがそれだと、ここら辺も魔物が暴走して来るんじゃ無いかな?」
「樹海の魔物がそれを抑えてる…ってのは考えられないですかね?」
「突拍子もない事を考えるなぁ…でも縄張り意識が強ければありえなくも無い。但し、相当強く無いと逃げるはずだからね」
「前に少しだけ奥に入った時にヤバそうなのが多かったんですよね…」
「ならダンジョンの可能性は有るかも知れないけど、たどり着く前にかなりの強敵が出て来そうだね」
確かにそうだな…ダンジョンに行く間にとんでもない魔物とやり合うとか罰ゲームかっての。まあ調査だけなら『蜂影』先生に頼めるけどさ。しかし樹海の魔物の暴走に繋がるかも知れないダンジョンの存在を公にする必要は無いだろうな。
「まあ、謎は残るが下手に突っ突くのは止めるべきかな」
「トールさんの言う通りかな。やぶ蛇っぽいからなぁ」
「それよりも気になってるのは【月影の洞窟】の住人の事だよ」
そう言えばトールさんに何故【月影の洞窟】に『冥極樹の実』が有るのかを聞いた事が無かった…。
「【月影の洞窟】の住人ですか?」
「あっ!そうか!アレス君達に言ってなかったね!【月影の洞窟】には『冥極樹の実』を育ててる住人達が居るんだよ。ただし、住人が実を渡してくれるのかは何とも言えないんだよね…」
「最悪は『蜂影』先生に取って来てもらいます。背に腹は替えられないですから」
「基本は穏便に行きたいね。まあ、住人と話してみてだなあ」
「あ〜早く開かないかなぁ〜」
「そうだね、待ち遠しいね」
トールさんと話していたらマイケル兄さんがやって来た。
「アレス、明日は何の日か分かってるよね?」
「えっ、明日は…何の日だったっけ…」
「…アレス…自分の誕生日くらいは覚えておこうよ…」
「あ…そうだった…オレの誕生日だった…」
いやあ、すっかり忘れてたよ…正直、誕生日どころじゃ無かったからなあ…。
「おお、それはおめでとう!いくつになるんだい?」
「ボク8しゃい」
「アハハハ!冗談はともかく、ホントはいくつだい?」
まさかの勇者にまで年齢詐称疑惑を持たれたよ。オレは不幸だ…。
「トールさん…アレスが言ってるのは本当ですよ。今度8歳ですから…」
「えええ!!ウソでしょ??」
「今日はまだ7しゃい」
「信じられないのは無理もありませんよ。兄の僕でも信じられないんで…」
「マイケル兄さんだってどんだけぇ~ですよ」
「衝撃の事実だなぁ…兄弟揃って子供に見えなさ過ぎる」
「ぼ、僕まで…」
マイケル兄さんを年齢詐称疑惑の巻き添えにしたオレは、自分の年齢詐称疑惑に負けずに明日の誕生日に挑む。
その前に今日のうちにやっておく事がある。先ずは今森林を伐採しながら海に向かって開拓している開墾用大型オートマタをもう一台増やす事である。海までの道を早く繋げる為である。マイケル兄さんは来年には海が見えるだろうと言っていたが、その速度を上げる予定だ。
理由は二つ。一つはヘビーモスの魔石である。この魔石は造船用のオートドッグに使うか、巨大貨物船に使うかを検討する為にも早めに海に出て行く必要がある事。
もう一つは…『勘』である。漠然としないが嫌な勘働きがする…そしてこれを外した事が無い。だから急がせるのである。
一回作ったものなのでさほど時間は掛からない。但し、ドラゴンの魔石を3つ使って魔導炉も増やしたので、伐採と整地を一気に行えて、時間を短縮させる事ができた。
開拓現場にオレが新しいオートマタを持って行くと、現場の指揮をしていたマイケル兄さんが驚いていた。
「アレス…また作ったのかい?」
「何かね嫌な予感がするんで早めに海まで通したいんですよ。後、ヘビーモスの魔石をどうするかも含めてですけどね」
「…アレスも嫌な感じがしてたのか…実は僕もここ最近嫌な感じがしてたんだよね…」
「何か忘れてる気がするのだけど…まあ、とにかく海までの開墾を急ぎましょう」
「コレがもう一台増えるなら今年中にも海が見えてきそうだね!」
「コッチも改造するんでもう少し早くなりますよ」
オレは古い開墾用のオートマタにも改めてドラゴンの魔石と魔導炉を2つ取り付けて、現在の魔導炉の魔石をドラゴンの魔石に組み替えた。コレで作業効率も上がるだろう。
実際、目に見えて作業が進んでいく…こりゃあ凄えわ…自分の仕業なのだけどじっくり見てると結構な勢いだなこりゃあ…。
マイケル兄さんは「倍どころか4倍くらいの早さだぞ!」と言って驚いてたよ。周りの作業員もかなり引き気味だったからなぁ〜。
そんな中、一人の作業員が俺に話しかけてきた。
「アレはアレス様がお作りになったんですか?」
「うん、そうだよ。早いでしょう?」
「そりゃあもう!早いなんてもんじゃないですよ!それで…ちょっとお聞きしたい事が有るんですが…」
「作り方は秘密だよ…」
「いやいや!教えてもらっても作れないですから!!実はですね…畑作りに何か作って貰えないかと…」
「ほう、どういうのが必要なの?」
「土の掘り起こしとかで便利なのが出来ないかと…家畜も居ないので…」
「そうか…掘り起こしだけならすぐ作れるよ。ちょっと待ってね」
オレはトラクターのイメージに上にはダンプカーの荷台を付け、前後に二本づつ腕を取り付けた様なオートマタを製造して行く。鋼やアルミで【金属使役魔法】を駆使してつくっていく。魔導炉の魔石はワイバーンの魔石だ。コミュニケーション出来る様に荷台の前方に頭を取っつけて喋れる様にしている。
この子には『ファイヤーアキラ』と名付けた。もちろん色は燃える男の赤である。
「喋れるから色々とこうして欲しいとか『ファイヤーアキラ』に頼めばやってるれるよ」
「はぁ…あっという間に…アレは魔法ですか??」
「企業機密です」
「き、きぎょ??…とにかくありがとう御座います」
「ちょっとやって見ましょう。『ファイヤーアキラ』そこ耕して!」
「カシコマリマシタ」
『ファイヤーアキラ』が土を耕していくと、おおっ!と皆から声が上がる。耕した後、土の中の石などが横に出される仕組みになっている。そして後ろの手が邪魔な石を一時的に荷台に乗せ区画の外でダンプカーのように降ろしている。
「凄い!あんなに平らに!」
「土もこんなにフワフワだ!」
「後は皆で指示出しながら使ってね」
「ありがとう御座います!!」
皆喜んてくれて何よりだ。『ファイヤーアキラ』は皆に可愛がって貰えるだろう。
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